「eBay Japan Awards 2023」発表! セラー・オブ・ザ・イヤーはカメラ販売のシュッピンが2年連続受賞

桑原 恵美子

セラー・オブ・ザ・イヤーを含む3冠を獲得したシュッピン株式会社 グローバル戦略部長 小野新平氏

北米、欧州、アジアを中心に、世界中に出品・販売・輸出できる世界最大級のオンライン・マーケットプレイス「eBay(イーベイ)」。その日本法人として、日本セラーの越境 EC(海外販売)を支援しているイーベイ・ジャパン株式会社は、2023年度に優秀な成績をあげた日本のセラー(販売者)を表彰する「eBay Japan Awards 2023」の受賞企業(者)を2024年3月15日に発表した。

「越境ECの“3つの壁”が、消えつつある」

「eBay Japan Awards」は、日本の全てのeBayセラーを対象に、1年間の販売実績や、バイヤー(購入者)評価、年間での成長率、商品カテゴリーごとの成績などを選考基準に優秀なセラーを選定し表彰するイベント。最も優秀なセラーに贈られる「セラー・オブ・ザ・イヤー」をはじめとした従来のアワードに加え、今年はeBay公式の多国展開ツールを活用して米国以外での売上を伸ばしたセラーに贈られる「eBaymag アワード」と、eBayでの販売において最も良い顧客体験を提供し、日本セラーの地位向上に貢献したセラーに贈られる「Great Buyer Experience Award/顧客満足度 アワード」を新設。個人・法人を含めのべ16社(者)の多彩なセラーが選ばれた。

授賞式後の取材では、イーベイ・ジャパン株式会社 代表取締役社長 岡田雅之氏が、越境EC参入を阻む “3つの壁”がなくなりつつあると語った。岡田氏の言う“3つの壁”とは、物流・言語・文化。物流については配送ソリューションが進み、東京を5時に出発したアイテムが翌日には米国に届けられるようになっていて「アメリカ国内に注文するより早く届く」と話題になっているほど。言語の壁は、ChatGPTやAI翻訳などの登場で、ほぼ不安がなくなっている。そして3つ目、商習慣などの文化の壁については、「その壁を乗り越えるお手伝いをしていく」としつつ、カスタマーサービスにも生成AIを活用することで、この壁もいよいよ消えつつあるという。今から数年で越境ECが大きく変わり、「 “越境”という言葉がなくなればいいと思っている」とも。

授賞式に登壇したイーベイ・ジャパン株式会社の代表取締役社長 岡田氏

【セラー・オブ・ザ・イヤー】シュッピン株式会社

2023年のeBayにおける販売実績、バイヤーからのフィードバック等の総合的評価トップのセラーに贈られる最優秀賞「セラー・オブ・ザ・イヤー」を受賞したのは、カメラ事業「Map Camera」を運営するシュッピン株式会社。「セラー・オブ・ザ・イヤー」と「カテゴリーグロースアワード」に、新設の「Great Buyer Experience Award/顧客満足度 アワード」を加えた3冠を獲得した。

「イーベイは日本のフィルムカメラを多く販売するプラットフォームとしてよく利用されてきたと思うが、ここ1年でデジタルカメラへの移行が強くなっていると感じる。またスマートフォンで撮影するよりもちゃんとカメラを使って撮るという、より嗜好性・専門性の高いユーザーが増え、それにつれて平均単価も上がってきている」(シュッピン株式会社 グローバル戦略部長 小野新平氏)

シュッピン株式会社はアワード創設以来初となる3冠を達成(小野氏は写真右から2人目)

【ニューセラー・オブ・ザ・イヤー】槇田晴吾(個人)

2022年以降にeBayで販売をスタートし、最も売上を伸ばしたセラーに贈られる新人賞「ニューセラー・オブ・ザ・イヤー」を獲得したのは中古ゴルフアイテムショップ「JapanGolf Ayasetrade」を運営する槇田晴吾氏。国内ECの会社に15年ほど勤務し、50歳を機に個人事業主として越境ECを始めたという槇田氏は、「荷物に同梱する手紙を書いて支えてくれた妻にも感謝をしたい」と喜びを述べた。

「ゴルフ関係のアイテムでは、最新モデルよりも少し前に人気があってよく売れたものが中古として海外で人気が高い。そういうものは海外ではあまり流通していないし、日本の中古品は状態がよく、海外では『中古と思えない』と歓迎されることが多い。私は国内のECから始めたが、海外のほうが高く売れることがわかり、越境ECを始めた。その中でも一番高く売れるのがイーベイだった」(槇田氏)。

「世界のユーザーからゴルフに誘われるなど、人とのつながりができたことがとてもうれしい」と語る槇田氏(写真左)

【カテゴリーグロースアワード】株式会社JFA

「カテゴリーグロースアワード」は、注目する11のカテゴリーで、目覚ましい成長率を記録し、他セラーの手本となる販売活動によって高い顧客満足度を獲得したセラーに贈られる優秀賞。激戦区のハンドバッグカテゴリー(アパレル・バック・ブランド小物)で受賞したのは、「Brand JFA」を運営する株式会社JFAだ。

「オークション形式では毎日一定数の商品を出品して、確実な売上を確保する方針を採っている。2023年は新たに何かを始めたというより、出品商品の写真のクオリティーを上げるなど、今までしてきたことをさらに良くし、一生懸命にやった」(株式会社JFA ディレクター兼バイヤー 小林昂介氏)。

ハンドバッグカテゴリーで受賞した株式会社JFA(小林氏は写真左から2人目)

【カテゴリーグロースアワード】大網株式会社(あみあみ)

アニメグッズカテゴリーで受賞した大網株式会社は、国内最大級のホビー商品通販「あみあみ」を1999年から運営しており、今年の年商は約400億円規模。15年前から越境販売を始め、昨年初めて国内と海外との比率が50%になったという。

「越境ECでは自社ECとeBayの2本立てにしているが、自社ECにはディープな層、eBayには新規のライトな層、よりコレクティブなものを探しているバイヤーが多い。最近は動画サイトが普及しているため流行が伝わるのが早く、日本で流行っているものは同じタイミングでアメリカでも売れるようになっている」(大網株式会社 あみあみ事業部 eBay販売統括 アンガ・スプラヨギ氏)。

アニメグッズカテゴリーで受賞した大網株式会社(スプラヨギ氏は写真左から2人目)

【カテゴリーグロースアワード】株式会社Laffey

自動車パーツカテゴリーで受賞した株式会社Laffey 代表取締役 荒木誠氏は、元高校教師という経歴の持ち主。

「昔のスポーツカーの部品がよく売れているが、その中でもアニメ系のもの、例えばハローキティのハンドルカバーはよく売れている。(世界に向けて販売するには)メイド・イン・ジャパンの強みを考えつつ、まず自分が好きなものを中心にして海外市場を見れば、同じものが好きな人は海外にもいる。その人に向けて届けることを意識するといいと思う。弊社では、出品数を増やすことを意識して取り組み始めたところ、今年は売上が2倍になった」(株式会社Laffey 代表取締役 荒木誠氏)。

かつて高校で数学を教えていたという株式会社Laffeyの荒木氏(写真左)

成功するセラーに共通しているのは「失敗を恐れない強さ」

株式会社Laffeyをサポートするebayの担当者は「成功しているセラーに共通している特徴はあるか」という質問に対して、以下のように回答した。「ものおじせず、何事も恐れず、そこにチャンスがあったらまずやってみるという人が多い。チャレンジ精神を持ってトライ&エラーを覚悟で挑戦されている方、そして毎日コツコツと対応できる方がebayで成功されていると感じる」。


記者プロフィール

桑原 恵美子

フリーライター。秋田県生まれ。編集プロダクションで通販化粧品会社のPR誌編集に10年間携わった後、フリーに。「日経トレンディネット」で2009年から2019年の間に約700本の記事を執筆。「日経クロストレンド」「DIME」他多数執筆。

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