メルカリが一律料金で発送~置き配の新サービス「エコメルカリ便」提供開始
メルカリは2024年3月28日に行われた「メルカリ 新配送サービス発表会」で、SBS即配サポート株式会社、三菱商事株式会社と連携する新サービス「エコメルカリ便」の提供開始を発表した。まずは東京都(島しょ部除く)・神奈川県・埼玉県・千葉県でスタートする。
新サービス「エコメルカリ便」3つの特徴
株式会社メルカリ(以下、メルカリ)は2024年3月28日、新たな配送サービス「エコメルカリ便」の提供開始を発表した。
同社では、2015年にヤマト運輸の配送サービスを使えば遠距離の送料の一部をメルカリが負担する「らくらくメルカリ便」を提供開始。2017年には、郵便ポストに投函できるサイズであればポストからも発送できる「ゆうゆうメルカリ便」(※1)を、2020年には匿名配送で梱包も任せられる「梱包・発送たのメル便」を、それぞれスタートさせている。
今回スタートする新サービス「エコメルカリ便」の特徴は大きく3つだ。
【1】メルカリで扱う宅配便を100サイズまで送料一律730円で送ることができる
【2】発送側は、非対面発送サービス「SMARI(スマリ)」から発送できる
【3】受け取り側(購入者)は、置き配指定で受け取ることが前提
発表会冒頭、株式会社メルカリの⼭本真⼈氏は、「今回のサービスは、昨年創業10周年を迎えて新たに掲げたミッション『あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる』を軸にしたもの。価値の循環の中でも、特に物の循環を進めるにあたっては、なくてはならないものが配送サービスであり、配送するという行為をさらに滑らかにするべく、配送サービスを継続的に強化することが非常に重要だと考えている」とサービス開始理由を説明。
また現在、全国に年間で約50億個(※2)も届けられている宅配便の荷物のうち、5%から10%ほどがメルカリの荷物であり(※3)、コンビニエンスストアからの発送に関して約8割がメルカリの発送(※4)となっているというデータを紹介。「メルカリはすでに日本の物流宅配の領域において社会的な影響が非常に大きい。今回スタートしたサステナブルな配送サービス『エコメルカリ便』は、メルカリグループが目指す循環型社会の実現に向けた大きな第一歩となる」とも語った。
※1:郵便ポストから投函できる「ゆうゆうメルカリ便」は、「ゆうパケットポスト」と「ゆうパケットポストmini」
※2:出典 国土交通省「令和4年度 宅配便・メール便取扱実績について」
※3:令和5年における日本全体の宅配便取り扱い個数のうち、メルカリの荷物が占める割合(メルカリ調べ)
※4:コンビニエンスストアで発送される特定配送業者のサイト連携サービスにおけるメルカリの割合(メルカリ調べ)
割安な一律料金&非対面で発送・受け取りが完結する新サービス
続いて株式会社メルカリの進藤智之氏が、新サービスの内容を具体的に解説。同社が2024年2月に1万人のメルカリ利用者に対して行ったアンケートの結果、メルカリで商品を出品・発送する際に面倒・手間だと感じることとして「送料を抑えるために梱包サイズを小さく工夫する」(58.1%)、「送料を考慮して販売価格を決める」(52.6%)、「商品のサイズを測る」(34.5%)という回答が多かったという。
「サイズによる送料の変動が、お客様のメルカリ利用の課題だったが、新サービス『エコメルカリ便』では宅配便100サイズまで一律730円で発送できるという、シンプルでわかりやすい料金設定を実現。サイズ計測の手間をかけずに梱包発送ができるようになった。また再配達を削減することで、配達員の労働時間は年間で24,360時間相当、さらにCO2排出量は年間約69トン相当が削減できる(※5)」(進藤氏)
※5:配達員の労働時間削減量、およびCO2削減効果は、※平成27年 「宅配の再配達の発生による社会的損失の試算について」より提示された試算方法を用いて算出
「エコメルカリ便」で、EC事業需要に応えていくインフラが構築できる
「エコメルカリ便」でメルカリと連携するSBS即配サポート株式会社の前⽥光治氏は、配送業界全体が抱えている課題として、再配達率15%に起因する悪影響を挙げた。非効率な配達により人件費が増加し、労働力が不足する。また再配達で同じ場所を何往復もし、走行距離が延びることでCO2排出量が増え、燃料代高騰の影響ももろに受ける。さらに再配達に時間をとられるため『労働時間が長いのに賃金が見合わない』と、配送業界のネガティブイメージを与えてしまっているという。
「しかし商品を置き配にする『エコメルカリ便』を展開していくことはドライバーの労働環境改善にもつながり、定着率も向上し、EC事業需要に応えていくインフラが構築できる。さらに、自宅で受け取るため待っているというユーザー様の受け取りストレスも低減し、配達側と受け取り様側に良い効果が生まれる」(前田氏)。
ローソンへの配送の戻り便トラック空きスペースを生かした配送サービス
「エコメルカリ便」で大きな役目を果たすのが、非対面発送サービス「SMARI(スマリ)」だ。「SMARI」は三菱商事株式会社の食品流通・物流本部 物流開発部が展開するサービスで、同社では物流業界の課題解決に際し、グループ会社が運営しているローソンの巨大な配送網に着目したという。
「ローソンでは1日2回、冷蔵便の配送が行われている。非対面発送ボックス『スマリボックス』をローソン店舗に設置し、ローソン店舗への配送を終えた戻り便トラックの空きスペースで『スマリボックス』に入れられた荷物を運ぶことで、ユーザーの非対面発送ニーズを満たすことができる。さらに既存物流網を活かした安価な物流コストで、CO2排出を抑制することもできる」(三菱商事株式会社 砂⽥重⽂氏)
「スマリボックス」は2019年4月に関東のローソン100店舗からスタートし、現在は関東、中部、関西の3大都市圏に加えて、駅構内など約3000拠点にまでネットワークを拡大中だ。
「エコメルカリ便」は今夏までに、東名阪エリアまでの拡大を検討中で、対応サイズも拡大する予定。また、現段階では未定だが、将来的には「メルカリShops」に出店するEC事業者も活用できるようになるかもしれない。新たな配送サービスの今後の展開も追っていきたい。