楽天がタイ産品の販路拡大を後押し! タイ国商務省国際貿易振興局とMOU締結で「越境EC」変化
楽天グループ株式会社(以下「楽天」)と、タイ国商務省国際貿易振興局(Department of International Trade Promotion, Ministry of Commerce, Thailand、以下「DITP」)は2024年5月10日、タイ産品販売促進のパートナーシップに関する覚書(MOU)を締結した。
日本国内におけるタイ産品のさらなる販路拡大を目指す
楽天によれば、「MOU」の締結は「両者のさらなる協力関係の下、『楽天市場』を起点とし、日本国内におけるタイ産品のさらなる販路拡大を目指す」ためのもの。
楽天では創業当初から「楽天市場」を中心に、地域経済の活性化および国や地域が抱える社会課題の解決を目指し、中央省庁や地方自治体はもちろんのこと、海外政府機関とも連携。2023年度は今回のタイ国をはじめ、アメリカ、欧州連合、オーストラリア連邦など8つの国・地域・団体と海外産品のPR事業を実施。それぞれの越境ECが活発化する中、タイ国に関しては2021年からPR特集企画を展開してきた。
楽天の取締役副社長執行役員 武田和徳氏は「楽天市場では20000点以上のタイ産品が出品されています。2021年からは毎年タイ産品を集めた特集企画を行い、昨年(2023年)は180以上の店舗様にご参加いただき、定番の商品や食品など、多種多様の商品を取り上げタイ産品の魅力発信および販売促進の実施してきました」と説明。加えて2023年は東京・代々木公園で開催された「第23回タイフェスティバル東京」でDITPと連携して「楽天市場」で「タイフェア」を同時開催するなど、オンラインとオフラインを融合した取り組みを行った実績もある。こうした中での「MOU」の締結だ。
今後は日本ではまだあまり知られていない最新商品なども、取り上げる機会が増えていくという。
1カ国1事業者を選定する中で、世界10カ国目となる日本で楽天を選んだ理由
一方、タイ国側はなぜ楽天を選んだのか。
現在、タイ国では越境ECに注力。DITPでは各国の主要ECプラットフォーム運営者と連携し、タイ産品の認知度拡大・販売促進を目的としたプロジェクト「TOPTHAI」を展開。すでにカンボジア王国、マレーシア、中華人民共和国、インド共和国、インドネシア共和国、シンガポール共和国、フィリピン共和国、台湾、アメリカ合衆国(以上、アルファベット表記順)で各1事業者を選定し、「TOPTHAIストア」が開設されている。
「TOPTHAI」の10カ国目となる日本では、楽天が選定されたわけだが、これについてタイ国副首相兼商務大臣 プームタム・ウェーチャヤチャイ氏は、「楽天グループは日本のトップ企業であるだけでなく、世界でもその名が通る企業」であることを理由の一つとして挙げた。
そのうえで、「これまでも私たちは様々な国で様々なプラットフォームで協力関係を築いてきましたが、楽天市場に関しても大いに期待をしています。今後は(楽天市場を通し)品質にこだわる傾向が強い日本の消費者に向けて、高品質な商品を紹介していきたいと考えています」と説明。数々のプラットフォームがある中で、「日本の消費者」を強く意識しての選択であったことを感じさせた。
楽天がタイ国越境ECの強力なパートナーに
米グーグルとシンガポールの政府系投資会社のテマセク・ホールディングス、米ベイン・アンド・カンパニーがインドネシア、マレーシア、シンガポール、フィリピン、タイ、ベトナムの6カ国で調査した「the 8th edition of the e-Conomy SEA report - Reaching new heights: navigating the path to profitable growth, today.」(※1)によれば、東南アジア主要6カ国(インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)による2023年のデジタル経済の規模は、前年比11%増の2180億ドルになると予測されている。
東南アジアの越境EC旋風に、場合によっては今回の「MOU」締結がなにがしかの影響を与える可能性もある。少なくとも、「MOU」締結により、楽天がタイ国から日本への「越境EC」を後押しする強力なパートナーとなることは間違いないだけに、その動向に注目したいところだ。
武田氏は最後に「(これまでの)データを基にメンバーシップの有効活用を行い、2000SKUほどある商材を積極的に紹介していきたい。これまでは店舗が扱う商品が中心でしたが、提携する中で今なお知られていないタイのおいしいものやいいものを集め、一堂にご紹介できるようなページや店舗を準備していこうと考えています。またオフラインでの特産品イベントも手掛けてきていますので、そうしたリアルの場も一つのマーケティングの接点として活用しながらやっていく予定です」とした。