2024年に入り広告業界の倒産が急増 コロナ禍で加速したデジタル化への対応が課題に
株式会社東京商工リサーチ(以下:東京商工リサーチ)は2024年5月14日、2024年1月から4月の「広告関連業」倒産状況を公表した。本記事では一部内容を抜粋して紹介する。
※※本調査は、2024年1〜4月の全国企業倒産(負債1000万円以上)のうち、日本産業分類の「広告業」「広告制作業」を集計・分析している。
2015年以来、9年ぶりの40件台に増加
2024年1〜4月の「広告関連業」の倒産は40件(前年同期比37.9%増)で、2015年以来、9年ぶりの40件台に増加した。
コロナ関連支援の効果などで2020年以降、広告関連業の倒産は4年連続で年間100件を下回り、2022年(56件)には1989年以降の最少件数を更新。
しかし、各種支援の終了・縮小とともに、コロナ禍で悪化した業績の立て直しが遅れた事業者の淘汰が目立ち始め、2023年は82件(前年比46.4%増)に急増した。
※画像元:広告業界の倒産急増、年間100件超の可能性 コロナ禍で加速したデジタル化への対応が課題に (株式会社東京商工リサーチ)
広告関連業倒産の40件すべてが法的倒産
形態別では、広告関連業倒産の40件すべてが法的倒産だった。うち、破産が39件(前年同期比34.4%増)で、広告関連業倒産に占める構成比は97.5%にのぼる。
地区別では、関東が最多の23件(前年同期比27.7%増)で、構成比では約6割(57.5%)を占めた。次いで、近畿が6件(前年同期比50.0%増、構成比15.0%)、九州が5件(同400.0%増、同12.5%)、中部が4件(同33.3%増、同10.0%)の順。
都道府県別では、東京が最多の15件(前年同期16件)。以下、大阪5件(同2件)、福岡4件(同1件)、神奈川(同1件)と三重(同ゼロ)がそれぞれ3件と続いた。
アナログからデジタルへのシフトが加速
2024年1〜4月の広告関連業(「広告業」「広告制作業」)倒産は40件(前年同期比37.9%増)で、同期比較では2015年(40件)以来、9年ぶりに40件台に乗せた。この水準で推移すると、2024年はコロナ禍前の2019年以来、5年ぶりに年間100件台に乗せる可能性が出てきたという。
経済活動や人流が本格的に戻ったことによる広告需要の回復は好材料の一方、コロナ禍で広告出稿先がアナログからデジタルへのシフトが加速するなど、広告業界が直面する環境は大きく変化している。
AIやビッグデータの活用など、マーケティング手法も多様化しており、顧客の新たなニーズに対応できない広告関連業者を中心に、淘汰が加速し倒産は増勢をたどると考えられる。コロナ禍で加速したデジタル化への対応など、今後の課題対応に注目したい。