円安の進行により企業の6割以上が「利益にマイナス」と回答 円安に関する企業の影響アンケート(2024年5月)

ECのミカタ編集部

円安に関する企業の影響アンケート(2024年5月)

株式会社帝国データバンク(以下:帝国データバンク)は2024年5月17日、「円安に関する企業の影響アンケート(2024年5月)」の結果を公表した。本記事では一部内容を抜粋して紹介する。

調査概要

◆調査期間:2024年5月10日~15日
◆有効回答企業数:1046社
◆調査方法:インターネット
◆出典元:円安に関する企業の影響アンケート(2024年5月)(株式会社帝国データバンク)

3社に2社が利益面でマイナス影響を受ける

「昨今の円安が自社の業績(売上高と経常利益)にどのような影響があるか」と尋ねたところ【売上高】に「プラス影響」が16.0%、「マイナス影響」が35.0%、「影響なし」が49.0%という結果に。

一方【利益】については「プラス影響」が7.7%、「マイナス影響」が63.9%、「影響なし」が28.5%と、およそ3社に2社がこのところの円安によって、利益面でマイナスの影響を受けていることが判明した。

企業からは円安の影響について、以下のような意見が上がった。

◆「輸入材料が多く、メーカーが価格を上げてきたら、それを受け入れるしかない」(医療・福祉・保健衛生)
◆「輸入資材やエネルギーの高騰分を価格転嫁できておらず、収益が低下している」(不動産)
◆「国内メーカーなど仕入先の価格調整(上昇)を受けて販売価格へ転嫁したところ、得意先の購買意欲が減退」(建材・家具、窯業・土石製品卸売)

為替レートは適正に考える水準から大幅に乖離

「自社にとって適正な為替レートの水準」については、以下回答を合わせて半数以上となる結果に。

◆120円以上~130円未満(28.9%)
◆110円以上~120円未満(21.2%)


このことから「1ドル=110円~120円台」を適正な水準と考えており、現在(2024年5月15日17時時点)の「1ドル=156円」とは大幅なかい離がある。

好循環へ繋げる姿勢が重要

円安は輸出企業の利益を押し上げる一方、輸入依存度の高い内需型産業などでは原材料やエネルギー価格の上昇による物価高をさらに加速させる。こうした上昇分を自社の商品・サービス価格へ十分に転嫁することは厳しいうえ、物価がいっそう上昇すれば家計の負担が増えて消費意欲が減退し、企業の設備投資意欲も低迷してしまうだろう。

輸出面での好調、インバウンド需要の活発化など前向きに捉える企業も一部見られるが、大多数の企業がマイナス影響を受けている状況だ。

円安による原材料などの価格上昇分を十分に転嫁できる機運を高め、継続的な賃上げによる消費拡大、設備投資の増加という好循環へ繋げる姿勢が重要になる。まだまだ先行きが見えない状況ではあるが、各事業者は最新動向に注視しつつ、常に柔軟な対策を講じる必要があるだろう。


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