「意図しない定期購入に関する相談」が全国的に目立つ結果 消費者庁が消費生活相談データについて分析

ECのミカタ編集部

PIO-NETデータを用いた消費生活相談の地域傾向分析

消費者庁は2024年5月23日「PIO-NETデータを用いた消費生活相談の地域傾向分析」の結果を公表。インターネットやオンライン取引に関する消費者相談では、全国的に定期購入契約に関するものが多く、ネット通販の返金を求める相談が目立つ状況が明らかとなった。本記事では調査内容の一部を抜粋し紹介する。

全国的に「意図しない定期購入に関する相談」が目立つ

近年、スマートフォンやSNSの普及に伴いインターネットやオンラインに関する消費者トラブルも散見されることを踏まえ、インターネットやオンライン取引に関する消費生活相談についてのトピックモデリングを用いた分析を実施。

全国的に「意図しない定期購入に関する相談」が多くみられた。一定期間後に2回目の商品が送られてくることで、定期購入契約になっていることが判明することが多く、相談者から販売会社ヘ電話やメールをしてもつながらない、解約できないといった相談が多くなっている。

画像元:PIO-NET データを用いた消費生活相談の地域傾向分析(2024年5月公表)(消費者庁)

また、副業サイトへ登録後、儲からないことを理由に解約や返金を求める相談、ネット通販で商品が届かないため返金等を求める相談も目立つ。加えて、関東地区及び近畿地区を中心に、ネット通販で購入した商品が不良品や粗悪品であったため修理、返品、交換等を求めたものの、相手方に応じてもらえないといった相談も多くみられた。

「解約」「返金」に関する相談事例が多い傾向

インターネットやオンライン取引に関する相談の分析結果において、全国共通で多かったキーワードと、それぞれに対する相談事例は以下の通り。

◆キーワード:「SNS」「広告」「商品」「メール」「購入」「定期」「返品」「解約」
ネットやSNSの広告を見て商品(ダイエットサプリ、育毛剤、電子タバコ、美容クリーム、ファンデーション等)を購入した後、2回目の商品発送メールがきっかけとなって定期購入商品だと気付き、返品・解約したいができない。

◆キーワード:「SNS」「広告」「副業」「電話」「クレジットカード」「カード」「詐欺」「返金」
ネットやSNSの広告で見た副業サイトに登録後、電話で仕事内容について説明を受け、初期費用をクレジットカードで決済し、その後も更に課金を求められるがままに支払ったが、詐欺が疑われるため、返金してほしい。

◆キーワード:「通販」「購入」「商品」「代金」「口座」「メール」「電話」「返金」
ネット通販で購入した商品の代金を指定の口座に振り込んだが商品が届かず、メールや電話で問い合わせたが返事が無いため返金してほしい。

消費者が安心できる購買環境作りを

本調査では「19歳以下」「20〜39歳」「40〜64歳」「65歳以上」の年代別での分析結果も公表。それぞれにおける代表的な相談事例は以下の通りだ。

◆19歳以下:オンラインゲームへの課金による高額請求
◆20〜39歳:副業サイトやネット通販に関する相談
◆40〜64歳:意図しない定期購入に関する相談
◆65歳以上:不要な電話回線工事等の契約を行ったことに関する相談


年代別によって具体的な相談は異なるが、内容としては「請求」「解約」そして「返品」といった内容に集約できるだろう。消費者被害を未然に防ぎ、拡大防止を進めるためには各事業者からの正しい案内、アナウンスも重要になるはずだ。本調査内容を参考にしつつショップの信頼性向上、安心できる購買環境作りに努めてほしい。

調査概要

本調査では、テキストマイニング技術の一種であるトピックモデリング(※1)を用いて、全国を9地区(北海道、東北、関東、北陸、東海、近畿、中国、四国、九州沖縄)に分けた上で、各地区の消費生活相談データについて分析を実施。相談におけるトピックの代表的なキーワード20語を抽出し、相談に出てくる確率がより高いキーワードが大きくなるように処理を施した上で、日本地図上に表示している。

◆契約当事者の年齢層別の分析結果について
▷全国の消費生活センター等及び国民生活センターが令和5年7月から9月までの3か月間に受け付け、同年11月30日までに全国消費生活情報ネットワークシステム(PIO-NET)へ登録した消費生活相談情報についての分析結果(契約当事者の年齢及び居住地域が不明であるものを除く)
▷対象相談件数(契約当事者年齢層別)
19歳以下4642件/20~39歳39316件/40~64歳77985件/65歳以上65280件

◆インターネットやオンライン取引に関する相談についての分析結果について
▷1と同時期に受け付け、登録された消費生活相談情報のうち、件名又は相談概要に「ネット」又は「オンライン」の文字列を含み、インターネットやオンライン取引に関する相談であると判断される消費生活相談情報についての分析結果(契約当事者の居住地域が不明であるものを除く)
▷対象相談件数(契約当事者年齢層別)
▷19歳以下1879件/20~39歳11305件/40~64歳21926件/65歳以上8722件/年齢不明3406件

※1:テキストデータにおいて議論されているトピックを特定するために使用されるテキストマイニング技術の一種

◆出典元:PIO-NET データを用いた消費生活相談の地域傾向分析(2024年5月公表)(消費者庁)


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