アスクル、一部商品の出荷トライアル運用を開始 WMSの復旧は未定
アスクル株式会社は、2025年10月19日に発生したランサムウェア感染に起因するシステム障害に関する第3報を発表。10月29日より、一部商品を「新木場物流センター」「ASKUL 大阪DC」の2拠点から出荷するトライアル運用を開始した。
なお、本情報が発表された2025年10月29日現在、倉庫管理システム(WMS:Warehouse Management System)の復旧スケジュールは決定していない。
手運用による一部商品の出荷トライアルを開始
アスクル株式会社は去る2025年10月19日、ランサムウェア感染によるシステム障害が発生し、「ASKUL」「ソロエルアリーナ」「LOHACO」の法人および個人向けECサイト全般で、受注・出荷業務を停止したと発表した。
この状況を受け、アスクルは10月19日14時に対策本部を設置。本部配下に「事業継続部会」「IT復旧部会」を設け、外部の専門機関とも連携して障害範囲の特定、影響の詳細調査を実施している。
今回公表された第3報では、WMSを使用しない手運用による出荷スキームを構築し、10月29日より、一部商品を「新木場物流センター」「ASKUL 大阪DC」の2拠点から出荷するトライアル運用を開始した。
◆出荷トライアル運用(第1弾)の概要
▷開始日:2025年10月29日
▷出荷拠点
・新木場物流センター(東京都江東区新木場二丁目6番8号・ASKUL LOGIST配送拠点)
・ASKUL 大阪DC (大阪市此花区北港緑地2丁目)
▷対象商品:コピーペーパー、ペーパータオル、トイレットペーパー、ゴミ袋等の37アイテム
※すべて「箱」単位(ケース品)
▷注文方法: FAXによる注文
▷注文対象: BtoBサービスの一部の顧客
※対象顧客へ個別で案内を実施
運用開始時点では、医療機関や介護施設を含む一部顧客からの注文のみを受け付けている。また、本トライアル運用は注文から配送までのリードタイムなどが、通常時のサービスレベルとは異なる。
現時点ではWMSの復旧スケジュールは未定
なお、本トライアル運用は、WMSを使用せずに手運用で行うもの。2025年10月29日の時点で、WMSの復旧スケジュールは確定していない。WMSを使用して運営しているASKUL LOGIST株式会社の3PL事業における顧客企業(株式会社良品計画ほか)の出荷業務については本トライアル運用の対象外となっている。
アスクルは現在、被害の拡大を防ぐため、ランサムウェアに関する詳細については情報開示を控えている。システムの詳細なログ解析、異常に関する監視、原因・障害対象範囲の詳細調査は継続しており、現時点では個人情報等の流出は確認されていないという。
今後の対応について、同社は「今回の出荷トライアル運用による検証結果を踏まえ、拡張性を確認のうえ、順次運用を拡大してまいります。今後、WMSシステムの復旧にともなう本格的なサービス再開までの間、お客様への商品のお届けを実現するためにあらゆる手段を検討してまいります」とコメントしている。
一部サービスは引き続き停止中
また、2025年10月29日現在、以下のサービスは引き続き停止している。
◆新規利用登録
◆注文(新規、定期配送他)
◆領収書の郵送依頼
◆返品の申込み
◆各種回収サービスの申込み
◆カタログの申込み
◆各種メールの配信(一部)
※注文キャンセルやリコール、他一部のメールは配信中
◆医薬品に関する問い合わせ・受注業務(ロハコドラッグ東日本及びロハコドラッグ西日本)
問い合わせ窓口については、以下の通り営業時間を縮小している。
◆受付時間:月曜~土曜日(午前9時~午後6時)
※日曜・祝日は休業
◆Webサイトのお問い合わせフォーム:停止中
※本記事は2025年10月29日の第3報公表時点の情報に基づく
参考:アスクルのランサムウェア感染により、無印良品ネットストアが受注・出荷を停止


