DHL Expressがグローバル市場進出を後押し 「マイグローバルトレードサービス」に新機能追加 

星野新【MIKATA編集部】

DHL Expressが、同社の通関情報ポータルサイト「マイグローバルトレードサービス」に新機能「トレードレーン比較機能」を追加。この機能により、輸出国と輸入国または地域間の既存のトレードレーン規制や通関要件を検索できるようになると発表した。

新機能「トレードレーン比較機能」

国際輸送を手掛けるDHL Expressは、AIを活用した通関情報ポータルサイト「マイグローバルトレードサービス(以下、MyGTS)※1」に新機能「トレードレーン比較機能」を追加したことを発表した。

「MyGTS」は、企業が新規市場に参入したり新製品を発売したりする際に、荷物の出荷計画に必要な通関情報を簡単に取得できるオンラインツール。今回追加された「トレードレーン比較機能」は、AIと機械学習を活用することで、既存の貿易協定の概要や各貿易ルートにおける陸揚げコストに含まれる関税や税金の推定額を提供するもの。

陸揚げコストとは製品を工場から顧客先まで届けるための総費用を指し、送料や保険料に加えて、海外輸送にかかる推定関税額や税額も含まれる。また、「MyGTS」は特に通関規制などの専門知識を扱う部門がない中小企業にとって利便性を高めるツールであり、複雑な手続きをスムーズに進める支援をするとしている。

新規市場参入時の戦略策定に役立てることが可能

DHL Expressの発表によれば、「トレードレーン比較機能」を活用して、輸入および輸出条件を最も有利に提供するルートを分析することで、企業は潜在的なコスト削減と収益性の向上につなげることができるという。工場やサプライヤーから資材を調達する場合には、その輸入に必要なライセンスなどの参考情報を特定でき、一方輸出の際には、仕向け国に出荷する荷物の輸入要件についての情報を取得することが可能。これらの情報は、企業の新規市場参入時のポジショニング戦略策定に役立つとしている。

日本貿易振興機構が2024年3月に発表した調査によれば、ECを利用または検討している企業のうち、海外向け販売でECを活用/検討している企業は5割超(調査対象企業は、海外ビジネスに関心が高い日本企業 ※2)。新機能の追加を発表し、企業のグローバル市場進出を後押しするDHL Expressの次なる展開にも注目したい。

※1 DHL Expressサイト内「マイグローバルトレードサービス」詳細
※2 日本貿易振興機構(ジェトロ)「2023年度|ジェトロ海外ビジネス調査 日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」より