Gmailガイドライン変更、メール送信者への影響は? リンク調査
株式会社リンク(以下:リンク)は、メールマガジンや一斉配信、システムからの通知メールを配信する全国の事業者の会社員を対象に「Gmailガイドライン変更に伴う、メール送信者を対象とした意識調査」を実施した。本記事では一部内容を抜粋して紹介する。
調査概要
◆調査方法:インターネット調査
◆調査主体:株式会社リンク
◆調査期間:2024年5月29日〜6月5日
◆調査対象:メールマガジンや一斉配信、システムからの通知メールを配信する全国の事業者の社員
◆調査対象地域:全国
◆回答数:1000
◆出典元:Gmailガイドライン変更に伴う、メール送信者を対象とした意識調査(株式会社リンク調べ)
6割以上が「メール到達度」に影響を感じている
Gmail宛にメールを配信することがあると回答した人を対象に、Googleの「メール送信者のガイドライン」への対応状況について質問したところ「全て対応できている」という回答はわずか34.6%に留まった。
40.9%は対応を進めているものの未完了であり、約24%が対応していないもしくは分からない(対応していない・対応しているか把握していない・そもそもガイドラインについて知らなかった)という結果に。
また、2024年2月以降、メールが届かない・遅延しているなど、メールの到達率に変化があったか聞いたところ、21.5%が「メールが届かない・遅延していることが問題になっている」、40.9%が「問題にはなっていないが、不達や遅延が増加している可能性がある」と回答。
Gmailガイドラインが適用された2月以降、少なからずメールの配信状況に変化が起こっていることが判明した。
約8割が「対応に困難な点があった」と回答
Googleの「メール送信者のガイドライン」に「全て対応できている」「対応を進めているが未完了」と答えた人にガイドラインへの対応を進める上で困難な点があったか聞いたところ、約8割(約77.4%)が「ガイドラインに対応する上で困難な点があった」と回答。
課題となった点については「自社のメール送信状況や送信環境の把握」67.2%と最も多く、次いで「自社の対応要否の確認(何に対応すべきか把握・理解するのが難しい)」50.3%、「送信ドメイン認証やDNSなど、技術的な対応」48.5%と続く。
ガイドライン対応の未完了項目について確認したところ「正引き・逆引きDNSレコードの設定」が約半数(47.4%)で最も多くなった。また、注目されたSPF・DKIM・DMARCといった送信ドメイン認証への対応よりも、DNSの正引き・逆引きの設定やSTARTTLS対応が意外な落とし穴となっていることがうかがえる。
早急なガイドラインへの準拠が求められる
リンクのベアメールサービス責任者である菱沼憲司氏は、送信者ガイドラインへの対応が進まない要因として「メール送信環境が把握できていない」「メール配信における責任範囲の曖昧さ」の2点があげられると指摘した。
「近年SaaS活用が進み、利用する外部サービスが増えていることから、自社のメールサーバ以外の様々な環境からもメールが送信されています。そのため、メール送信環境の把握が困難になっていると考えられます。(中略)部署単位で外部サービスを利用してメール配信を行っている場合、誰が責任持ってガイドラインへ対応していくのかが課題になります。特に、外部サービスや外部ベンダーへ委託している場合は責任範囲がより曖昧になります。このように責任範囲が曖昧なため、ガイドラインへの対応が漏れてしまいやすいのも大きな要因だと考えられます」
2024年2月にガイドラインの適用が開始されてから、Gmail宛のメール配信に対する規制は段階的に強化されてきたが、いよいよ猶予期間も終わり2024年6月以降はガイドラインに準拠していないメールは拒否されてしまう。各事業者は自社状況を確認し、円滑なメールコミュニケーション実現に向けた環境を整える必要があるだろう。