過去3年間で約2倍!中小企業の越境EC参入率 PayPal調査

ECのミカタ編集部

「ペイパル 中小企業によるEコマース活用実態調査 2024」を発表

PayPal Pte. Ltd.(以下:ペイパル)は2024年6月24日、「ペイパル 中小企業によるEコマース活用実態調査2024」の結果を発表した。本記事では一部内容を抜粋して紹介する。

調査概要

◆調査方法:インターネット調査
◆調査期間:2024年4月11日~15日
◆調査対象:オンライン販売を行っている日本の中小企業の経営意思決定者
◆調査人数:310名(1人/1企業)
◆出典元:中小企業によるEコマース活用実態調査2024(ペイパル)
※対象企業は、従業員数4人~299人の企業(小売、サービス、製造、公共、運送などを含めた幅広い業種を対象)

「物価高騰」「人手不足」などが影響

中小企業が過去1年間に影響を受けた社外の要因の、トップ3は以下の通りとなった。

◆1位:物価の高騰(50.0%)
◆2位:景気(34.8%)
◆3位:為替レート(31.0%)


また、社内の要因としては「人手不足」(35.5%)と「価格転嫁」(35.2%)がいずれも35%を超えてトップに。次いで「賃上げ」(27.1%)、「新規開拓不足」(21.0%)が続いていることからも、現在の中小企業は資金面での苦労が大きいことがうかがえる。

円安による影響については、「仕入れ価格、その他コストの増加」(49.0%)が最も高く、次いで「売上高の減少」(13.9%)が続く。このように、中小企業が円安による直接的なマイナス影響を受けていることも判明したといえるだろう。

売上高全体に占めるECの割合は23.4%

ECへの取り組みについて尋ねたところ、中小企業の売上高全体に占めるECの割合は、全体の約四分の一となる23.4%であった。事業全体からみると、ECはまだまだ成長の余地があるといえるだろう。

また、現在越境ECを行っている中小企業の合計は50.6%に。2021年の調査(※1)では、越境ECの実施率が28%だったことと比較すると、過去3年で越境ECを行う企業は約2倍に増加したことが明らかとなった。

また「現在、越境ECを行っていないが、今後1年間に行う予定がある」と回答した企業は8.1%であり、1年後には約60%の中小企業が越境ECを行っていることが見込まれる。

※1:「ペイパル 中小企業によるEコマース活用実態調査~日本におけるECの現状と未来~」(対象者は日本全国のECを行っている中小企業における意思決定者310名。ただし、設問内容は本調査とは異なる。)

中小企業のEC参入には複数要素が課題に

中小企業がECを行う上での課題としては「物流・資材コストの増加」が34.8%と最も高くなった。要因として「物価の高騰」が影響していると考えられるだろう。

次いで「対応可能な社内人材の不足」(29.0%)、「多様な決済手段の導入」(28.1%)、「ECサイトのセキュリティ対策」(28.1%)、「在庫・発送管理の煩雑さ」(26.5%)、「専門的な知識不足による不安」(25.8%)、「運用費とメンテナンス時間の増加」(25.8%)といった項目が拮抗して並び、中小企業にとってECにおける課題は、資金、人材、決済、セキュリティ、専門的知識、効率といった複数の要素が絡み合っていることがうかがえる。

長引く円安を背景に、海外市場へ目を向ける事業者は増加しつつある。本調査で明らかとなったように、越境ECビジネスが伸長する可能性は高い。すでに検討を進めている事業者は現状の課題を解決し、早急な参入を検討すべきだろう。


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