2024年上半期の円安関連倒産、物価上昇の影響も? TSR調査
株式会社東京商工リサーチ(以下:東京商工リサーチ)は2024年7月1日、上半期における「円安」関連倒産に関する情報を公開した。本記事では一部内容を抜粋して紹介する。
「円安」倒産の半数近くを卸売業者が占める
2024年上半期の「円安」関連倒産について、産業別では卸売業が14件(前年同期13件)と半数近く(構成比45.1%)を占めた。次いで、小売業9件(前年同期3件)、製造業4件(同6件)と続く。
東京商工リサーチ(TSR)が6月に実施したアンケート調査によると、2024年にメイン商品・サービスの値上げ意向を示す企業は74.8%と7割を超えた。
コロナ禍から平時に戻るなか、売上低迷から抜け出せない企業ほど新たな資金調達が難しい。円安に伴う仕入コストの上昇に見舞われると、価格転嫁も容易ではないだけに経営難に陥りやすく、倒産を押し上げる要因が揃い始めているといえるだろう。
※画像元:2024年上半期(1〜6月)「円安」関連倒産(6月28日現在)(株式会社東京商工リサーチ)
「円安」関連倒産は24カ月連続で発生
2024年6月28日には東京外国為替市場で一時、1ドル=161円台にまで下落。37年半ぶりの円安ドル高となり、7月に入っても1ドル=160円台で推移し、歴史的な円安水準が続いている。
2024年上半期(1〜6月)の「円安」関連倒産は、31件(前年同期比14.8%増)に達した。今回の円安局面では、2022年7月から24カ月連続で発生しており、コロナ禍からの円安が企業収益に重しになっているといえるだろう。
負債総額は110億1500万円(同94.2%減)と、前年同期に発生した携帯電話販売のFCNTほか2社で合計1775億円の大型倒産の反動減となったが、一方で中小・零細企業への深刻な影響を示している状況だ。
「円安」に伴う物価上昇など、市況を取り巻く環境は一段と厳しさを増している。事業者は常に最新の情報を確認しつつ、柔軟な対応、施策を心がける必要があるだろう。