AmazonのFBAが「儲からない」と言われる理由。儲かる条件も解説
ネットショップで購入した商品が翌日配送されることが当たり前になった昨今、多くの事業者が即日発送を実現するためにフルフィルメント(一般的に受注から配送までの一連の業務のこと)を外部委託しています。
有名なフルフィルメントサービスの1つに、Amazonが提供しているFBA(フルフィルメント by Amazon)がありますが、果たしてコストを支払ってでも利用すべきなのでしょうか。FBAを利用すれば、儲かるのでしょうか。
Amazonの出品者なら1度は悩むであろうこのテーマについて、本記事で解説していきます。
FBAとは
そもそもFBAとは、Amazonが提供しているフルフィルメントサービスです。事前にAmazonの倉庫に商品を保管しておき、注文受付から梱包、発送、カスタマーサービス、返品対応まで、すべてAmazonが対応してくれます。
FBAを利用することで、土・日曜日や祝日などにかかわらず即日発送できるため、ユーザーにいち早く商品を届けることができます。総じてユーザーに商品が届くまでのリードタイムが短くなることから、他社との差別化やCVRアップにつながるため、多くの事業者がFBAを活用しているのです。
AmazonのFBAは「儲からない」と感じている人は多い?
FBAを利用すると発送までのリードタイムを短縮できるメリットはあるものの、もちろんコストが発生するため、「儲からない」「採算が合わない」と感じている方もいるのではないでしょうか。
Amazonが提供してるFBAのサービス概要によると、FBAを導入した事業者の74.9%が売上増を実感しています。また全体の15.6%の事業者は3倍以上も売上が上がっていることから、一定数の事業者が満足している実情がうかがえます。
参考:フルフィルメント by Amazon(FBA)サービス概要|フルフィルメント by Amazon®
AmazonのFBAが「儲からない」と言われる理由
では7割以上の事業者が売上増を実感している中、FBAが「儲からない」と言われている理由は何でしょうか。
各種手数料が利益を圧迫している
FBAを利用するとさまざまなコストが発生します。主に発生するのが、FBA配送代行手数料とFBA在庫保管手数料です。
FBA配送代行手数料
FBA配送代行手数料は読んで字のごとく、売れた商品を配送する際に発生する手数料となります。
商品の寸法、重量のサイズと、商品価格の2軸で手数料が決まります。1点あたりの料金は、注文商品のピッキング・梱包・配送・カスタマーサービス・返品の料金を含んでいます。
FBA在庫保管手数料
FBA在庫保管手数料は、商品をAmazon倉庫(フルフィルメントセンター)に保管することで発生する手数料です。つまり、商品の売れ行きにかかわらず発生するコストです。
1日あたりの平均スペース使用量に基づいて算出され、商品カテゴリーと保管時期によって変動します。
FBAの手数料一覧
上記2つのコスト以外にも、FBAの利用にあたってはさまざまな手数料が発生します。よって、取り扱う商品の販売計画から手数料を試算し、適切な数・頻度で計画的にAmazon倉庫に納品する必要があります。
そこで、FBAの手数料を一覧で見てみましょう。詳しくは、以下の記事でも紹介しています。あわせてご覧ください。
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FBAの手数料を一覧で紹介。計算方法や値上げについても解説
販売手数料 | 販売する商品ごとにかかる手数料で、料率は8~15%と、 Amazonが定める商品カテゴリーによって異なります ※Amazonデバイス用アクセサリのみ45% |
カテゴリー成約料 | メディア商品(本やCDなど)に関しては、上記の販売手数料とは別に、 一部カテゴリーではカテゴリー成約料が商品ごとに発生します |
FBA在庫保管手数料 | Amazon倉庫に保管している商品の保管費用です。 1日あたりに使用するAmazon倉庫のスペースによって算出されます |
返送手数料 | Amazon倉庫に納品した商品は、 返送手数料を支払うことで返送を依頼できます |
廃棄手数料 | 売れない商品について、 返送ではなくAmazonに処分を依頼した際に発生します。 |
大量出品手数料 | 出品している商品が200万点を超えると、 200万点を超過した商品に大量出品手数料がかかります |
返金手数料 | 購入ユーザーからの返金が発生した際、 Amazonから該当商品にかかる販売手数料が返金される場合に発生します |
FBA配送代行手数料 | FBAを利用して商品を発送する際にかかる代行手数料です |
納品不備受領作業手数料 | Amazon倉庫に商品を納品した際、 ラベルの貼り付けや梱包に問題があった場合に発生します |
出典:料金プラン、配送手数料、料金シミュレーター|Amazon
AmazonのFBAで「儲かる」条件
上で見たように、FBAにおけるFBA配送代行手数料は商品サイズと商品価格の2軸で変動し、FBA在庫保管手数料は占有するスペースと時期、カテゴリーによって変動します。
よって自社が扱う商品がFBAと相性の良い(コストが抑えられやすい)商品か否かを理解することが大切です。以下からは、FBAで「儲かる」条件を解説します。
回転率の高い商品
特にFBA在庫保管手数料を抑えるには、商品を倉庫に納品してから売れるまでのリードタイムを短くすることが重要です。回転率の高い洗剤やシャンプーなどの日用必需品かつ消耗品は相性が良いといえます。
コンディションが変化しない商品
FBAに商品を納品した後で商品のコンディションを確認するためには、返送手数料を支払って商品を返送してもらうしかありません。よって一般的には、納品後にコンディションを確認する必要のない商品が向いています。丈夫で、経年劣化しにくい商品がよいでしょう。
小さくて軽い商品
FBAでは、FBA在庫保管手数料およびFBA配送代行手数料の両方が商品サイズに左右されます。よりサイズが小さく、軽い商品が向いているでしょう。
リピートしやすい商品
リピートしやすい商品はユーザーの購入頻度が高く、自社のリピーターとなる可能性もあります。リピートされることで回転率も上がるほか、商品が売れるスパンが予想しやすく、Amazon倉庫で保管する商品量を適切に管理しやすくなります。
FBAを使わないほうがよいケースは?
ここまで、主にFBAで「儲かる条件」について解説してきましたが、一方でFBAに向いていない商品もあります。
壊れやすく状態が変化しやすい商品
上でも書いたように、FBAに納品した後で商品のコンディションを確認するためには返送手数料を支払って返送してもらうしかありません。経年劣化しやすい商品や、ガラス製で壊れやすい商品などは状態の確認が必要になる場合が多いため、自社発送が無難でしょう。
他社の取り扱いが少ないニッチな商品
他社の取り扱いが少ない=競合が少ない一方、倉庫に保管してから売れるまでのリードタイムが長くなりやすいです。回転率が低ければFBA在庫保管手数料がかさむ可能性があるため、FBAとは相性が悪いといえるでしょう。
大きな保管スペースが必要な大型商品
大型の家具・家電など、Amazon倉庫内の保管スペースがより必要になる商品はFBA在庫保管手数料がかさむため、避けるべきでしょう。
AmazonのFBAで儲けるためのポイント
FBAで儲けるためには、下記のポイントを押さえましょう。
FBA料金シミュレーターで利益を計算しておく
Amazonでは無料のFBA料金シミュレーターが提供されています。FBAの利用を検討する際にはこのシミュレーターを活用してコストを計算し、必ず採算が合うことを確認してから申し込みましょう。
FBA料金シミュレーターは、JANコードなど商品を特定できる情報と、仕入れ価格と販売価格が分かれば利益が計算できます。下記を参照しながら、実際に計算をしてみましょう。
- FBA料金シミュレーターにアクセスする
- Amazonストアを選択する
- 利益計算したい商品の商品名・SKU・JANコードなどを入力する
- 検索をクリックする
- 商品候補が表示されたら、該当商品をクリックする
- 販売価格を入力する
- 出荷費用をクリックし、追加するサービスを選択する
- 在庫保管の時期を選択する
- 販売された商品の原価に仕入れ価格を入力する
このシミュレーターでは、Amazonから出荷するパターンと自社倉庫から出荷するパターンで料金の比較ができるので大変便利です。ぜひ試してみましょう。
取り扱う商品のカテゴリーやサイズ、回転率が異なる場合、複数パターンで試算する必要があり手間がかかるかと思います。
しかしFBAに一度商品を納品した場合、商品が売れるか返送されない限りはFBA在庫保管手数料が発生します。また在庫を返送または処分するのにも手数料が発生するので、「とりあえず利用してみよう」というどんぶり勘定では赤字になる可能性があり、危険です。手間であっても、利益計算は必ず行いましょう。
FBAにおける損益分岐点とは
損益分岐点とは、売上とコストがちょうど等しくなる(利益がちょうどゼロになる)分岐点を指します。
すでに解説したFBA料金シミュレーターで純利益の欄が0円になった場合、それがFBAにおける損益分岐点となります。
FBAへ商品を納品する際の送料を抑える
FBAへ商品を納品する際、送料が発生します。また販売する商品の種類によってAmazon倉庫の所在地が異なります。所在地を確認し、できるだけまとめて配送することが送料の抑制、ひいては利益を出すために重要です。
保管期間の長い商品を売る販売戦略を立てる
FBAへ商品を納品してからしばらく売れていない商品は、その商品についての販売f戦略を見直す必要があります。セールなどのイベントでは多くの商品の回転率が向上するので、こうした機会を逃さずに商品を動かすようにしましょう。
それでも売れ行きが芳しくない場合は、ただ待つのではなく、返送または処分を検討することも重要です。
Amazon出品に関する物流のお悩みはプロに相談するのがおすすめ◎
Amazonでの売上アップにおいては、商品発送までのリードタイムの短さが重要な要素の1つであり、FBAの利用を検討している事業者が増えています。しかしFBAの手数料を支払ったうえで利益を出せるのか、不安に思う方も多いでしょう。
また、自社で利益計算をしてみたものの不確定要素も多く、正しく試算できているのか懸念が残り、意思決定に踏み切れていない場合もあると思います。
このようにAmazonでの売上アップおよびFBAの利用を迷われている方は、ECコンサル会社と連携することをおすすめします。
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