新紙幣が日本経済に及ぼす影響は? 帝国データバンク調査

ECのミカタ編集部

紙幣の刷新、企業の 35.1%が「プラスの影響」

2024年7月3日に日本銀行は新しいデザインの紙幣の発行を開始し、20年ぶりに紙幣が刷新された。今回の新紙幣発行に伴い、自動販売機やレジ、両替機などを保有・設置する企業は、システム改修や機種の入れ替えに追われる一方、新紙幣発行による経済効果も期待されている。こうした状況を受け、株式会社帝国データバンク(以下:帝国データバンク)は2024年7月12日、新紙幣が日本経済へ及ぼす影響についてアンケートを実施、結果を公表した。本記事では一部内容を抜粋して紹介する。

調査概要

◆有効回答企業:1003 社
◆企業規模区分

▷製造業その他の業界:「資本金3億円を超える」かつ「従業員数300人を超える」「資本金3億円以下」または「従業員300人以下」「従業員20人以下」
▷卸売業:「資本金1億円を超える」かつ「従業員数100人を超える」「資本金1億円以下」または「従業員数100人以下」「従業員5人以下」
▷小売業:「資本金5千万円を超える」かつ「従業員50人を超える」「資本金5千万円以下」または「従業員50人以下」「従業員5人以下」
▷サービス業:「資本金5千万円を超える」かつ「従業員100人を超える」「資本金5千万円以下」または「従業員100人以下」「従業員5人以下」
◆出典元:新紙幣発行にともなう影響アンケート(株式会社帝国データバンク)

プラスの影響があるが35.1%とトップ

2024年7月3日から始まった新紙幣の発行は、日本経済にどのような影響がある(見込み含む)と思うか尋ねたところ、「プラスの影響がある」(プラスの影響の方が大きい)が35.1%で最も高くなった。「マイナスの影響がある」は14.3%、「影響なし」は32.5%という結果に。

新紙幣を歓迎する意見としては以下のような内容が並ぶ。

◆「券売機などの対応は大変なようだが、20年に一度の新紙幣発行は国民の気分を高揚させる」(飲食料品・飼料製造)
◆「機種入れ替え・システム改修などかなりの業務内容になり、更にそれらのキャッシュレス対応を兼ねる動きも出てくると、円安などで経済マインドが停滞するなか、大きな経済効果だと考えられ、期待できる」(建設)

「企業の費用負担の増加」による影響

日本経済への具体的な影響としては、55.5%の企業が、機種入れ替えやシステム改修など「企業の費用負担の増加」をあげた(複数回答、以下同)。

次いで「特需による企業の売り上げ拡大」(37.3%)、「「肖像の人物ゆかりの地・企業の活性化」(35.6%)と続く。「キャッシュレス化の後押し」も(31.6%)と上位にあがっていることから、今後の決済方法の変化にも注目すべきだろう。

キャッシュレス化が進む可能性

偽造防止などを目的に定期的に実施されてきた紙幣の刷新だが、現金の利用減少によって市場に与える影響が徐々に小さくなっているといえるだろう。しかし、本調査でも「プラスの影響」が最も多くなったように、物価高や人手不足などで低迷する日本経済にとって明るい話題と捉えられているようだ。

一方、55%の企業が「費用負担の増加」をあげていることに対しては、補助金など行政による支援が求められるかもしれない。

機器の入れ替えやシステム更新の影響は一時的であるものの、キャッシュレス化は新紙幣発行が後押しするかたちで徐々に進んでいくことが期待される。決済方法が多様化する中での新紙幣発行は、消費者行動に大きな影響を与えるだろう。各事業者は決済利用動向を注視しつつ、ニーズを捉えた対策を講じる必要があるはずだ。


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