電話でのカスハラ被害は「暴言」「長時間」「繰り返し」が上位、企業が導入すべき対策は? トビラシステムズ調査
トビラシステムズ株式会社(以下:トビラシステムズ)は2024年7月19日、近年増加するカスタマーハラスメントのうち、電話によるハラスメントに関するアンケートに関する調査結果をレポートとして公開した。本記事では一部内容を抜粋して紹介する。
調査概要
◆調査実施会社:トビラシステムズ株式会社
◆実施期間:2024年7月8日〜11日
◆対象:全国の25~60歳の男女で、過去3年以内に電話によるカスタマーハラスメントを受けたことがあると回答した人
◆有効回答数:729
◆調査方法:インターネット調査(Surveroidを利用)
◆出典元:電話によるカスタマーハラスメントに関する調査レポート(トビラシステムズ株式会社)
大声や罵倒、数時間にも及ぶ叱責など
電話によるカスハラを受けた際の勤務先について、上位から以下業種が並んだ。
◆その他サービス業:17.4%
◆医療、福祉:14.7%
◆卸売業、小売業:14.1%
◆製造業:11.1%
◆金融業、保険業:7.7%
接客など、主に個人顧客とのやり取りが多いと考えられる業種で、電話によるカスハラを受けたと回答した人が目立つ結果に。また、電話によるカスハラで最も多かった被害内容は、多い順に「暴言(65.3%)」「長時間にわたる電話(55.0%)」「繰り返しにわたる電話(39.6%)」と並んだ。
具体的な被害例では、大声や罵倒などの電話、数時間にも及ぶ叱責の電話、繰り返しにわたる“リピート型”のクレーム電話、性的な発言による嫌がらせの電話などが多い。一方で、「言った・言わない」の問答によるトラブルの事例もあり、企業が従業員を守るために、正当なクレームとは異なることを証明し、適切に対応した記録を取る重要性も明らかとなった。
通話録音、告知メッセージが有効な対策に
電話によるカスハラを受けた際の勤務先の状況について「ハラスメント対策が導入されていなかった」と回答した人は62.6%と過半数を占めた。その理由について「対応できる部署がなかったから(52.2%)」「企業が対策の必要性を感じていなかったから(39.0%)」「人手が足りないから(29.8%)」などといった内容が並ぶ。
企業において、ハラスメント対策を行うための人的コストが不足している状況や、従業員の求めるハラスメント対策のニーズに対応できていない可能性などが考えらるだろう。
また、電話によるカスハラ被害の経験を持つ人が、企業が導入すべきと思うハラスメント対策は「自動通話録音」「通話前の録音告知メッセージ」が共に5割近くを占める。この2つは、勤務先で電話によるカスハラ対策が導入されていたと回答した人が、実際に役立ったと答えた上位の対策方法でもあることから、導入によって高い効果が期待できるだろう。
全国でカスハラ対策条例の制定が推進
カスハラは企業の活動を阻害するほか、対応する従業員の心身に影響が及ぶ場合もある。こうした問題に対し、政府ではカスハラ対策を企業に義務付けるため「労働施策総合推進法」改正の検討を進める他、全国の自治体でもカスハラ対策条例の制定に向けた取り組みが推進されている。
中でも東京都では現在、「東京都カスタマーハラスメント防止条例(仮称)」を定めることを検討。「東京都カスタマーハラスメント防止条例(仮称)の基本的な考え方」をまとめ、以下内容にて多くの人からの意見を募集している。
◯参考:「東京都カスタマーハラスメント防止条例(仮称)の基本的な考え方」への御意見を募集します(東京都)
◆募集期間:2024年7月19日〜8月19日まで(必着)
◆意見提出方法
▷インターネット(電子申請)による提出
▷郵送による提出
カスハラには事業者、企業単位に留まらず社会全体で対応する姿勢が必要不可欠となる。誰もがカスハラを受ける、行う側になり得るということを念頭に、常に冷静な視点を持つことが重要だろう。事業者としては従業員の心身を守るために適切な対策の導入が求められる。本調査内容を参考に、今後の体制を検討してほしい。