オイシックス・ラ・大地のCVCがSECAI MARCHEに投資 東南アジアで生鮮食品ECの可能性広げる

ECのミカタ編集部

オイシックス・ラ・大地株式会社の投資子会社であるFuture Food Fund株式会社が運営する、フードイノベーション領域に特化したCVCファンド「Future Food Fund 2号」(※1)が、東南アジアで生鮮食品ECプラットフォームを提供する株式会社SECAI MARCHEへ、シリーズAエクステンションラウンドでの新規投資を実行した。

※1:Future Food Fund 2号投資事業有限責任組合

日本の農産物の輸出拡大も期待

株式会社SECAI MARCHE(以下、SECAI MARCHE)はマレーシアを拠点に、生産者と消費者を直接結ぶグローバル産直ECプラットフォームを開発・運営。農作物を公正な価格で流通させる生鮮食品ECと、フルフィルメントの最適化システムを生産者と消費者向けに提供している。

東南アジアの生鮮食品市場をターゲットとしている同社だが、これまで構築してきたシステムによって、越境での日本の農産物を東南アジアへ輸出することも可能。現地の消費者、事業者が高品質な日本の農産物を購入することで、日本からの輸出拡大も期待できるだろう。

Future Food Fund株式会社(以下、Future Food Fund)は商品仕入れや流通面での支援、リミテッドパートナー企業との協業機会の創出などを通じて事業成長をサポート。同時にSECAI MARCHEの生鮮食品ECプラットフォームやサービスを通じて、日本の農産物の海外市場での販路拡大にも貢献できるようにサポートすると発表している。

SECAI MARHCEのビジネスモデル。生産者の商品を全量買取り、商流マージンを乗せて消費者に販売する

※画像元:東南アジア地域で生鮮食品ECプラットフォームを提供する株式会社SECAI MARCHEへの投資を実行(Future Food Fund株式会社)

生鮮食品の流通環境を改善

東南アジアにおけるEC市場は2021年の1200億ドルから、2025年までに約2倍となる2340億ドルまでの成長が見込まれている(※2)。中でも、食品は大きく成長しているカテゴリーの一つだ。

一方、東南アジアの生鮮食品流通は、配送時の温度管理や、効率的な配送のためのロジスティクスシステムの整備の課題から、消費者が品質の高い食材を入手することが難しい状況となっている。また、生産者側には食品ロスの発生や受発注作業の複雑さなどの課題があることから、市場における生鮮食品の流通のために改善が求められている。

SECAI MARCHEは、こうした課題に対してソリューションとなる生鮮食品ECプラットフォームと、フルフィルメント効率化のためのシステムを開発、提供している。

Future Food Fundによる今回の新規投資は、現在設立中のファンド「Future Food Fund 2号」における第13号投資案件となる。生鮮食品流通の品質向上による、日本の農作物の輸出拡大が期待されるだろう。

※2:日本政策金融公庫「各国における越境ECの状況」

生鮮食品のインフラを整備

Future Food Fund投資担当である、長谷川浩之氏は本件について以下のようにコメントしている。

「(SECAI MARCHEの)創業者お二人に初めてお話を伺った時、事業に直結するバックグラウンドの強さはもちろんのこと、考え抜かれたオペレーションや、会社として行ってきた一つ一つの選択に確かな理由と意思があることを感じました。また、食関連事業にとって非常に厳しい環境であったパンデミック下でも力強く事業を構築し、長期視点での戦略的な投資を進めてこられた経緯を伺い、投資をさせていただきました。今後も経済成長を続ける東南アジアにおいて、なくてはならない食のインフラを作り、日本の農産物が東南アジアにも販路を広げ、現地の消費者に多様でおいしい食を提供してくれることを期待しています」

東南アジアにおける生鮮食品のインフラ整備を通じて、食の可能性を広げることが期待される。日本の農産物の海外販路拡大を含め、今後の動向に注目したい。


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