正社員不足を感じている企業は5割以上に 帝国データバンク調査

ECのミカタ編集部

正社員不足を感じている企業は51.0%、高止まり傾向続く

株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は、2024年7月の人手不足に対する企業の動向調査の結果を公表した。本記事では一部内容を抜粋して紹介する。

調査概要

◆調査期間:2024年7月18日~31日
◆調査対象:全国2万7191社
◆有効回答数:1万1282社(回答率41.5%)
◆出典元:人手不足に対する企業の動向調査(2024年7月)(株式会社帝国データバンク)

5割以上の企業が「正社員不足」と回答

2024年7月時点における全業種の従業員の過不足状況について、正社員が「不足」と感じている企業の割合は51.0%だった。前年同月比で0.4ポイント低下したが、依然として5割を上回るなど高止まりが続いた。また、非正社員では28.8%と前年同月から1.7ポイント低下し、7月としては2年ぶりに3割を下回った。

正社員の人手不足割合を業種別にみると、主にIT企業が当てはまる「情報サービス」が71.9%でトップ。唯一の7割超となり、人手不足感が際立っている状況だ。

月次ベースの推移でみると、8割に迫った2024年の年初からは若干の低下傾向にあるものの、依然として7割を上回る高水準で推移している。当業界は旺盛なDX需要によって景況感も好調であり、今後も堅調な需要な拡大にともない人手不足は長引くと見込まれるだろう。

「運輸・倉庫」でも人手不足は深刻

業界別の正社員の人手不足割合では、7業種が6割台となった。

特に、時間外労働の上限規制が強化された、いわゆる「2024年問題」に直面している「建設」は、69.5%で7割に迫る水準に。企業からは「大規模工場や大型再開発事業の影響で、地場の建設業者は大変な状況」(北海道)「大阪府の建設業者全般を見渡すと万博工事の影響により、人手不足や資材の高騰に悩まされている業者が大多数」(大阪府)といった、各地の異なる事情を映した意見が寄せられた。

また、若年層の不足が顕著な自動車整備や警備などが当てはまる「メンテナンス・警備・検査」(65.9%)や、訪日客が過去最多の勢いをみせインバウンド需要が好調な「旅館・ホテル」(65.3%)、トラック・軽貨物などの「運輸・倉庫」(63.4%)においても人手不足は深刻となっている。

企業の人事戦略が一層重要に

本調査の結果、人手不足割合は正社員では51.0%、非正社員では28.8%であることが明らかとなった。いずれも直近では前年同月比で低下したが、高水準で推移している。人手不足が深刻な業種のなかには、緩和に転じているケースもあるものの、依然として上位10業種の顔ぶれは大きく変わっていない。

こうした状況を背景に、人手不足倒産は急増傾向にある。2024年上半期(1〜6月)は182件が発生し、過去最多を大幅に上回るペースで推移(※1)。そのうち建設業は53件、物流業は27件とそれぞれ増加が顕著で、「2024年問題」が直撃した結果となった。両業種とも人手不足が一因となってオペレーションが回らなくなり、業績が維持できず倒産に追い込まれるケースが続出している。

一方、2023年時点の転職等希望者は1035万人となり、過去最多を記録するなど転職市場は大きな盛り上がりを見せている。業界を問わず、人材の流出を防ぐには自社でしか得られないスキルや経験、給与水準などの差別化が欠かせない。企業にとって最も重要な経営資源ともいえる人材の確保・定着に向け、企業の人事戦略は一層重要性が増しているといえるだろう。

※1:帝国データバンク「人手不足倒産の動向調査(2024年上半期)」2024年7月4日発表


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