9月の値上げは5カ月ぶりに1千品目超に 帝国データバンク調査
株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は2024年8月30日、9月以降における食品の値上げ動向と展望・見通しに関する分析結果を公表した。本記事では一部内容を抜粋して紹介する。
「人件費」由来の値上げが拡大
主要な食品メーカー195社における、家庭用を中心とした9月の飲食料品値上げは1392品目を数え、5カ月ぶりに1千品目を超えた。
昨年9月に多かったみそ・しょうゆなどの調味料の値上げは小規模だったものの、アイス・氷菓類では1年ぶりに一斉値上げとなった他、チョコレートや冷凍食品などまとまった量の値上げが相次ぎ、年内の値上げとしては4番目の多さとなった。
2024年の値上げ要因としては「原材料高」(92.5%)が最多に。また、円安ドル高の影響が長期化していることを背景に「円安」要因の値上げも29.6%を占めた。「人件費」由来の値上げは27.2%を占め、23年通年(9.1%)を大きく上回る水準が続いた。
※画像元:「食品主要195社」価格改定動向調査2024年9月(株式会社帝国データバンク)
「ビーンショック」の影響が長期化
食品分野別に2024年9月の値上げでは、冷凍食品を中心とした「加工食品」が全食品分野で最も多い757品目となり、9月全体の約半数を占めた。
みそ・しょうゆ製品やスパイス製品など「調味料」(193品目)は、前年同月(1257品目)に比べて1割強の水準に。「菓子」(169品目)ではラクトアイスなど「乳製品」(99品目)を含め冷菓製品で値上げラッシュとなった。
また、菓子では「チョコレート製品」の値上げも多く、「酒類・飲料」(135品目)の中心となるコーヒー飲料同様に、豆不足「ビーンショック」の影響が長期化している状態だ。
値上げの勢いは後退感がみられる
TDBは今後の見通しとして「10月の食品値上げ予定品目数は3千品目前後の着地が予想される。10月としては2022年以降で最少となるものの、24年4月以来半年ぶりの値上げラッシュとなる」とコメント。
値上げを含めた価格設定は難しい局面を迎えており、24年通年の食品値上げ品目数は23年通年から半減となる1万5千品目前後が想定されている。
近時は値上げによる消費者側のショックを和らげるため、本体価格の「引き上げ」から内容量の減量などによる「据え置き・維持」へのシフトが食料品で目立ってきた。様々なコストが上昇する中でも積極的な「値上げ」がしづらい状況が鮮明となっており、値上げの勢いは後退感がみられるといえる。
事業者は引き続き動向に注視しつつ、適切な対応を心がける必要があるだろう。