10月の食品値上げは年内最大のラッシュに 帝国データバンク調査
株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は2024年9月30日、10月以降における食品の値上げ動向と展望・見通しに関する分析結果を公表した。本記事では一部内容を抜粋して紹介する。
年内最大の値上げラッシュに
主要な食品メーカー195社における、家庭用を中心とした10月の飲食料品値上げは2911品目を数えた。前年10月と同様に、ハム・ソーセージ製品など加工食品やPET飲料などで大規模な値上げが発生し、4月(2897品目)を14品目・0.5%上回って年内最大の値上げラッシュとなる。
一方、10月単月の値上げとしては缶ビールなどアルコール製品の多くで値上げが発生しなかったことで、2022年(7864品目)の4割弱、23年(4758品目)の約6割にとどまり、10カ月連続で前年同月を下回った。
2024年の値上げ要因で最も多くなった項目は「原材料高」(92.7%)となった。このほか、「物流費」(68.6%)由来の値上げ割合が上昇傾向にあり、24年10月における「物流費」値上げは7割を占めた。「円安」由来の値上げは24年通年で28.4%、「人件費」由来の値上げは26.7%を占め、それぞれ前年を大幅に上回る水準で推移した。
※画像元:「食品主要195社」価格改定動向調査2024年10月 (株式会社帝国データバンク)
「酒類・飲料」が値上げ全体の46.8%を占める
食品分野別に2024年10月の値上げをみると、PET飲料を中心とした「酒類・飲料」が全食品分野で最も多い1362品目となり、10月全体の46.8%を占めた。
酒類・飲料が全食品分野で最多となるのは7月以来3カ月ぶり、1千品目を超えるのは23年10月以来1年ぶりとなる。
「加工食品」(673品目)ではハム・ソーセージ製品の多くで一斉値上げとなった。「菓子」では10月値上げとなる237品目のうち半数超がチョコ関連製品で占められるなど、引き続きビーンショックの影響が及んだ。
11月以降は総じて落ち着いた推移が見込まれる
TDBは今後の見通しとして「コメ不足に伴う原料米の価格高騰を背景にパック米飯で一斉値上げといった動きもあるものの、11月以降は総じて落ち着いた推移が見込まれる」とコメント。
2024年通年の値上げは前年(3万2396品目)に比べて4割程度の水準となる、1万3千品目以下での着地が想定されている。
2024年における飲食料品の値上げは、当初沈静化が予想された「原材料高」の影響が長期化したほか、食品トレーやびんなど包装資材、物流費、さらには一時1ドル=160円を突破する記録的な円安も加わり、粘着的な値上げ圧力が続いた。
世界的な異常気象の影響によって、食品では年内に複数回の値上げを実施するケースもみられたが、多くは値上げの見送りや、内容量の減量などで価格を極力維持する傾向が強く、値上げの勢いは後退感がみられるといえる。
事業者は引き続き動向に注視しつつ、状況に応じた対応を心がける必要があるだろう。今後も本調査結果を追っていきたい。