KPMGジャパン、「顧客体験価値を向上させるテクノロジーに関する調査(国内小売業)」を発表
KPMGジャパンは2024年10月17日、「顧客体験価値を向上させるテクノロジーに関する調査(国内小売業)」を発表した。本記事では一部内容を抜粋して紹介する。
調査概要
◆消費者アンケート調査
◆調査期間:2024年3月
◆調査対象:15歳から69歳までの消費者4000名
◆調査方法:インターネットによるアンケート調査
◆対象地域:日本国内
◆企業アンケート調査
◆調査期間:2024年5月
◆調査対象:小売業および消費者への直販を行うメーカー売上10億円以上の企業104社
◆調査方法:郵送・インターネットによるアンケート調査
◆対象地域:日本国内
◆企業インタビュー調査
調査期間:2024年6月
調査対象:国内大手小売業における経営企画またはIT企画部門に所属する専門家11名 (9割以上が部長職であり、3名のCIO・CDOが含まれる)
調査方法:インタビュー調査
対象地域:日本国内
◆出典元:「顧客体験価値を向上させるテクノロジーに関する調査(国内小売業)」を発表
OMOにおけるロイヤルティプログラムのトレンド変化
コロナ禍をきっかけに、衣料品小売・住関連小売(日用品)など、店舗とECを両立させるオムニチャネルショッピングが浸透しつつある。
その中でも、会員登録に基づく情報把握と、インセンティブの提供によるファン化を支援する「OMOにおけるロイヤルティープログラム」のテクノロジーが注目されている。特に、衣料品小売や百貨店といったブランドを重視する業種は、会員ランクに応じたマーケティング活動を展開中だ。
しかし、こうした会員システムを6割程度の企業が導入済みまたは導入を検討しているのに対し、活用済み・活用意向がある消費者は3割程度とギャップが生まれている。
この要因として、ロイヤルティープログラム自体の一般化により差別化が難しくなっている点や、消費者が求めるものが単純な割引ではなくなっている点など、トレンドの変化から生じているとKPMGジャパンは指摘。金銭的なインセンティブ以外のロイヤルティー獲得手段を検討したうえでデータの活用目的を再定義し、管理や連携を行うことが重要と続けた。
パーソナライズド広告・販促に対する嫌悪感も
また、AI・機械学習の発展によって、顧客の好みや行動データをリアルタイムで収集し、様々な顧客体験をカスタマイズする「ハイパーパーソナライゼーション」も普及しつつある。
本調査では、すでに6割強の企業が「パーソナライズド広告・販促」に取り組む一方、半数以上の消費者はマイナスの心象を抱えていることが明らかとなった。その理由としては、以下のような内容が並ぶ。
◆監視されている気分になる
◆情報漏洩リスクへの懸念
◆活用目的が分からないことへの抵抗感
ハイパーパーソナライゼーションの実現に向けては、プライバシー保護におけるさまざまな観点からの配慮が求められるほか、それらに対応するための人材や知識が必要不可欠となる。ユーザーの購買履歴や同じ商品を購入したセグメントにもとづいた商品をレコメンドすることで、自然で受け入れやすい広告になっていくと考えられるだろう。
本調査では、テクノロジーを活用した購買支援ツール・サービスの活用について、企業と消費者の間に多数のギャップが見られた。AIによって一人ひとりに寄り添った施策が可能となったことで、より一層消費者に信頼される必要が生まれたといえるだろう。信頼関係を強化しつつ、透明性のある施策展開が長期的な競争力を維持するために重要となるはずだ。