博報堂買物研究所、AIエージェントによる新たな購買行動モデル「DREAM」を提唱

ECのミカタ編集部

博報堂買物研究所、「買物フォーキャスト2025」発表 AIエージェントの活用で変わる新しい購買行動モデル「DREAM」を提唱

株式会社博報堂のシンクタンクである博報堂買物研究所は2025年1月21日、「買物フォーキャスト2025」として、AIエージェント(※1)と共に進化する新しい購買行動モデル「DREAM」を発表した。

※1:ここでは、生活者の仕事や日常生活をサポートするために設計されたAIシステムを指す

パーソナライズされた新しい購買体験を体系化

ECを中心に、AIエージェントを活用したリコメンドといった購買体験の変化が進んでいる背景を受けて、博報堂買物研究所が、これからの生活者の買物潮流を予測・提言する「買物フォーキャスト2025」として、新しい購買行動モデル「DREAM」を提唱した。

本モデルは、AIエージェントの普及によってもたらされる、リアルタイムでパーソナライズされた新しい購買体験を体系化したもの。「DREAM」モデルの構築にあたっては、技術や社会トレンドに関する93件の未来事象を収集して分析した後、生成AIを活用して多様な価値観を持つバーチャル生活者(※2)を作成し、それらへのインタビューを通じて商品購入までのジャーニーを具体化し、共通点を探ったという。

※2:博報堂の生活者データと生成AI技術を組み合わせた独自開発の未来生活者像

より深くパーソナライズされた提案が実現

博報堂買物研究所によると、生活者とAIエージェントが協働する新しい購買体験は、以下「DREAM」の5つのプロセスを通じて具体的に理解できるという。

◆Dialogue(対話)
▷生活者はAIエージェントとの対話を通じて、自分の好みや価値観、ライフスタイルを共有。今後の技術進化によって、対話から生活者自身も気づいていない潜在的なニーズを発見するAIの能力が高まれば、さらに深くパーソナライズされた提案が実現する。

◆Recommended(推奨される)
▷AIエージェントが提示する選択肢をもとに、生活者は自分のライフスタイルや嗜好に沿った選択肢を見つけ出す。AIエージェントによる的確な提案と生活者自身の直感が融合し、納得感のある最適な選択が可能。

◆Experience(体験)
▷VR・ARといった拡張体験が一般に広がれば「リアル+バーチャル」が融合した購買体験が可能に。触覚や嗅覚といった視聴覚以外の感覚域でも高精度化が進めば、生活シーンとの適合性をイメージしやすくなる。

◆Assurance(確信/承認)
▷リアルな環境での試用とVRやARを活用した仮想体験を一定期間試用しながら行き来することで、商品の特性や生活シーンへの適合性を多角的に検証。安心感を高め、後悔のない選択を可能にする。

◆Management(管理)
▷体験中の心拍数や視線データなどの生体情報、さらに購入後の商品使用履歴や感想をAIエージェントに共有することで、自分の嗜好や傾向をより深く理解してもらえるようになると予想。この学習が次の対話に活用され、よりパーソナライズされた提案につながる。

今後の商品検索に変化が生まれる

新しい購買行動である「DREAM」モデルでは、AIエージェントが嗜好や行動データをもとに生活者の潜在的なニーズを予測・提案し、効率的かつ直感的に選択を行えるようになる。さらに、VRやARを活用した仮想体験によって購買満足度が一層向上する可能性を秘めている。

また、AIエージェントの的確な提案により、選択ミスや購入後の後悔といった「失敗のリスク」が軽減され、時間や手間を大幅に削減する効果も見込まれている。

同研究所は今後の商品検索について、以下4つの変化が生まれると予測している。

◆商品の探し方は「検索」から「対話」へ
◆選択の仕方は「自分で決める」から「AIエージェントと決める」へ
◆商品試用は「リアル」と「バーチャル」での体験へ
◆顧客の声は「一部」から「みんな」へ


AI技術の急速な発展とともに、EC事業のあり方も変化していくことが想定される。事業者としては最新の動向をキャッチしつつ、柔軟な対応を取っていく必要がありそうだ。


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