2月の食品値上げは1656品目 2カ月連続で前年上回る TDB調査

ECのミカタ編集部

2月の食品値上げ、1656品目 2カ月連続で前年上回る 2025年の値上げ、累計8千品目突破 前年比9割増ペース

株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は2025年1月31日、同年2月以降における食品の値上げ動向と展望・見通しに関する分析結果を公表した。本記事では一部内容を抜粋して紹介する。

人件費や物流費などの影響で値上げが拡大

主要な食品メーカー195社における、家庭用を中心とした2月の飲食料品値上げは1656品目、値上げ1回あたりの平均値上げ率は月平均14%となった。

値上げ要因では、2024年のトレンドを引き継ぎ原材料などモノ由来の値上げが多くを占める一方で、人件費や物流費など「サービス」価格上昇の影響を受けた値上げが拡大し、値上げ品目数の押し上げ要因となっている。

25年の値上げ要因のうち、最も大きいものは「原材料高」(97.6%)となり、3年連続で値上げ品目全体の9割を超えた。一方、トラックドライバーの時間外労働規制などが要因となった輸送コストの上昇分を価格に反映する「物流費」由来の値上げは79.4%を占め、集計開始以降で過去最高に。

最低賃金の引き上げや定期昇給など賃上げによる影響を含む「人件費」由来の値上げも50.9%と、初めて値上げ品目数のうち半数を超えた。「エネルギー」(56.6%)、「円安」(15.2%)由来の値上げ割合は前年を下回った。

※画像元:「食品主要195社」価格改定動向調査2025年2月(株式会社帝国データバンク)

春先にかけて大規模な値上げラッシュが発生する見通し

2025年2月の値上げを食品分野別に集計すると、冷凍食品やチルド麺製品など「加工食品」(589品目)が全食品分野で最も多くなった。

「調味料」(357品目)は、たれ製品など液体調味料を中心に「菓子」(329品目)では、カップゼリーなど洋菓子のほか和菓子、シリアル製品などで値上げが目立った。

2025年通年の値上げは累計で8867品目となり、年間の平均値上げ率は16%に到達。24年1月31日時点で判明した年間値上げ予定品目数合計(4556品目)に比べ、9割超の増加ペースで推移しており、25年は春先にかけて前年を上回る大規模な値上げラッシュが発生する見通しだ。

コメのほか、チョコレートの原料となるカカオ豆、コーヒー豆などの高騰も背景に関連する製品で値上げが続き、25年3月は24年10月以来5カ月ぶりに単月で2千品目を超えるほか、4月は23年10月以来1年6カ月ぶりに3千品目を突破し、今後さらに増加するとみられる。

※画像元:「食品主要195社」価格改定動向調査2025年2月(株式会社帝国データバンク)

値上げ圧力が弱まる局面は想定しづらい

TDBは今後の見通しについて「円安による輸入物価の上振れが見込まれるほか、賃上げによる人件費などのコスト上昇も背景に、値上げ圧力が弱まる局面は想定しづらい」とコメント。

全体的に値上げの動きが低位に抑えられた前年に比べ、企業努力によるコスト吸収が限界に近付きつつある様相もみられる。実質賃金の伸び悩みなどを背景に、小売現場などでは消費者の値上げに対する拒絶反応から販売量減といった影響も顕在化しているものの、少なくとも今夏までは大幅な価格の引き上げを伴う値上げが相次ぐ可能性がある。

2025年の値上げ品目数は、現状のペースが続いた場合、早ければ4月にも累計で年1万品目を突破し、年間では前年(1万2520品目)を大幅に上回る1.5万~2万品目前後に到達する可能性があると、TDBでは予測している。


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