トラックドライバーの3割以上が「残業が減り、収入が減少」 X Mile調査

ECのミカタ編集部

【クロスワークしごと白書】物流2024年問題・物流関連二法改正により業界が直面する変化と課題に迫る<第一弾>

X Mile株式会社は全国の物流事業者・トラックドライバーを対象に、【『物流2024年問題』による収入・働き方の変化および、2025年4月1日から開始する『物流関連二法(※1)』への対応実態に関する調査】を実施。本記事では「クロスワークしごと白書2025」として発表された同調査結果の中から、一部を紹介する。

※1:「流通業務総合効率化法」(新物効法)・「貨物自動車運送事業法」(新貨物事業法/改正トラック法)の改正を指す

調査概要

◆調査目的:法改正の影響を定量・定性の両面から明らかにし、実態を把握する
◆調査期間:2025年3月12日〜3月21日
◆調査方法:インターネット調査、ウェブアンケートによる調査
◆調査対象:全国20代以上の男女
▷物流事業者の経営者・役員185名
▷X Mile求人・転職サイト「クロスワーク」の会員登録者720名のトラックドライバー
◆出典:クロスワークしごと白書(X Mile株式会社)

3人に1人が「残業代が減り、収入が減少」

まず、「物流の2024年問題によって、あなたの【収入】にどのような影響がありましたか?」と質問したところ、収入面では、「残業代が減り、収入が減少した」と回答したドライバーが34.8%を占め、3人に1人が収入減を実感していることが明らかとなった。

その一方で、「拘束時間が長くなったが、収入は変わらない」と答えた人も11.4%おり、収入の変化には個人差がある様子がうかがえる。

働き方については、21.7%が「特に変わらない」と回答した一方で、33.9%が「残業時間が減った」、12.9%が「労働環境が悪化した」と答えるなど、労働時間の短縮が進む中で、かえって環境が悪化しているケースも見受けられた。

物流関連二法改正による「ドライバー不足」懸念

「物流総合効率化法や貨物自動車運送事業法の改正を受け、心配していることはありますか?」と質問したところ、物流事業者が最も懸念しているのは「ドライバー不足の深刻化」であり、全体の43.2%と半数近くを占めた。

続いて、「荷待ち時間の増加(25.9%)」「運賃の低下(25.4%)」があげられ、労働環境の悪化に加え、人手不足の深刻化や収益性の低下に対する不安が色濃く現れている。

一方で、「特に心配事はない」と回答した事業者も23.8%にのぼり、法改正への対応に一定の自信を持つ企業や、影響が比較的少ないと見込んでいる層も存在する。

公正な取引や品質向上、労働環境改善への期待

物流関連二法に基づき、取引環境の適正化が進められる一方で、多重下請構造による複雑な取引構造が依然として大きな課題となっている。

この状況を踏まえ、多重下請構造の是正について調査を行ったところ、36.2%が「積極的に是正すべきである」と回答し、3社に1社が是正の必要性を認識していることが明らかとなった。

是正を支持する理由として、「公正な取引環境を確保し、実運送会社の適正な利益の確保のため」が76.1%と最も多く、次いで「物流・輸送品質向上につながるため(47.8%)」「労働条件の改善につながるため(41.8%)」などがあげられ、公正な取引や品質向上、労働環境改善への期待がうかがえる結果となった。

EC事業者としてはドライバーの収入や働き方の変化、法改正に対する懸念は大きな課題となる。働き方改善の兆しもうかがえる中、荷主だけではなく業界全体として持続可能な物流の構築へ向けた取り組みが求められるだろう。