買い物時にAIを活用する日本の消費者は12%で、前年比増もグローバル平均を下回る Adyen調査

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ECのミカタ編集部

Adyen、買い物および決済体験における消費者と小売企業に関する年次調査「リテールレポート2025」を発表

Adyen Japan株式会社(以下、Adyen)は2025年6月17日、買い物および決済体験における消費者と小売企業に関する年次調査「リテールレポート2025」を発表した。

AIの活用に対しては好意的な反応

世界28か国・地域の消費者4万1089人、小売1万4003社(日本から消費者2000人、企業300社を含む)を対象に実施した今回の調査。

日本の消費者のうち、前年比4ポイント増の12%が買い物の際にAIを活用しており、そのうち35%が今後もAI活用購買に前向きな意向を示した。

一方、グローバル平均の37%より25ポイント下回っていることから、消費者にまだAI活用の価値が十分に伝わっていない可能性が、本調査によって明らかになった。

一方、AIを活用する日本の消費者のうち、34%は「小売業者はAIを活用して興味のありそうな商品を提案してきている」と認識し、34%が服や食事などを選ぶ際AIからヒントを得るなど、AIの活用に対しては好意的な反応が確認されている。

また、35%が「AIを活用して、ユニークなブランドを発見したい」と回答したことから、Adyenは「ブランドにとって、パートナーシップとクロスセル(顧客が購入しようとしている商品と別の商品を提案し、購入を検討してもらう手法)を組み合わせて販売を伸ばすチャンスがあると言える」と分析した。

日本の小売業界、AI投資に慎重姿勢

日本の小売事業者は、2025年の売上拡大戦略について「AIやテクノロジーの導入」が主要な施策の一つとして挙げている。しかし、グローバル(32%)、APAC(34%)と比較した際、日本の小売事業者のAIへの投資意欲は消極的な様子が見受けられる。

新技術への投資は進んでいるものの、オンラインと対面決済をシームレスに連携させた購買体験を提供している日本の小売業者は、全体の28%にとどまっている。さらに「今後12か月以内にこの機能を導入予定」と回答したビジネスリーダーは、わずか13%。また「店舗限定の特別な体験を提供する計画がある」との回答も11%となった。

世界的にデジタル活用の進展が進む中、本調査では日本の消費者の約半数(47%)は依然として実店舗での購買を好んでおり、オンラインでのショッピングを好む人は21%にとどまることが明らかとなった。実店舗を好む理由としては、「実際に商品を見て触れたい」(44%)、「試着したい」(25%)といった意見のほか、24%が「商品をその場で持ち帰ることができることを好む」など、即時性の利点についても言及がある。

Adyenは「日本においては、AIに限らず、統合型コマースの手法は重要と言えます」とコメントする。成長施策の検討に、本調査内容も役立ててほしい。

調査概要

◆消費者調査
▷調査期間:2025年2月26日~2025年3月12日
▷対象者:28カ国・地域の4万1089人(16歳以上)(日本:2000人)
▷対象国・地域(五十音順):アイルランド、アラブ首長国連邦、イタリア、インド、英国、エストニア、オーストラリア、オランダ、カナダ、シンガポール、スウェーデン、スペイン、チェコ、デンマーク、ドイツ、日本、ノルウェー、フランス、ブラジル、米国、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、香港、マレーシア、メキシコ、ラトビア、リトアニア

◆加盟店調査
▷調査期間:2025年2月10日~2025年3月12日
▷対象者:28カ国・地域の1万4003の小売企業(日本:300社)
▷対象国・地域(五十音順):アイルランド、アラブ首長国連邦、イタリア、英国、エストニア、オーストラリア、オランダ、カナダ、シンガポール、スウェーデン、スペイン、チェコ、中国、デンマーク、ドイツ、日本、ノルウェー、フランス、ブラジル、米国、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、香港、マレーシア、メキシコ、ラトビア、リトアニア

◆調査機関:Censuswide
CensuswideはMarket Research Societyの会員であり、その倫理規定およびESOMARの原則を遵守。また、British Polling Councilにも加盟
増加率は、「過去12か月以内に初めて買い物にAIを使用した」と回答した人と、「AIを使ったことがある」と回答した人の割合を比較して算出
◆出典:買い物および決済体験における消費者と小売企業に関する年次調査「リテールレポート2025」(Adyen Japan株式会社)