「翌日配送」にこだわる消費者は少数派? DMソリューションズ調査
ディーエムソリューションズ株式会社(以下、DMソリューションズ)は2025年9月17日、ECヘビーユーザーを対象に実施した「EC・通販の発送に関する消費者意識調査」の結果を公表した。
調査概要
◆調査対象:20〜70代の男女
◆調査人数:1000名
◆調査条件:日常的にECを利用するECヘビーユーザー
◆調査対象エリア:全国
◆調査期間:2025年8月29日~9月4日
◆調査方法:インターネット調査
◆調査元:ウルロジ調べ
◆出典:EC・通販の発送に関する消費者意識調査(ディーエムソリューションズ株式会社)
翌日配送よりも「確実性」の方が重要
「翌日配送」に対応していない場合、購買意欲がどの程度下がるかという質問に対し「全く下がらない」(24.4%)、「あまり下がらない」(51.2%)を合わせて、75.6%が「購買意欲は下がらない」と回答した。
また、AmazonなどのECモールか自社ECサイトかという、購入経路による意識の差もほとんど確認されなかった。
この結果について、DMソリューションズは「無理なオペレーションを組んでまで翌日配送に対応するコストや負担よりも、確実な発送予定日を明記し、そのスケジュール通りに届ける『配送の確実性』の方が重要である可能性を示唆しています」とコメントする。
送料の有料化についてはネガティブな印象
送料を払って商品を購入することへの違和感をたずねたところ「とても感じる」(25.2%)、「少し感じる」(47.3%)を合わせ、72.5%もの消費者が送料の有料化にネガティブな印象を持っていることが判明した。
物流コストが高騰する中、多くの事業者が送料の有料化や値上げを検討している。しかし、消費者の強い抵抗感につながる可能性がある、ということだ。
DMソリューションズは対策として、「ただ有料にするのではなく、『〇〇円以上購入で送料無料』のボーダーラインを消費者が納得しやすい金額(本調査では5000円以下が8割超)に設定する、あるいは送料が商品価格に含まれていることを丁寧に説明するなど、消費者の不満を和らげる工夫が不可欠である」と分析した。
「カゴ落ち」理由のトップは「配送料」
購入手続きの最終画面で、想定外の送料や配送日が表示されたことで購入をやめた経験があるかという質問に対し「よくある」(13.2%)、「時々ある」(43.7%)を合わせ、54.5%が「カゴ落ち」経験があることが分かった。
具体的な理由としては、「送料が高かった/有料だった」が49.7%で最も多くなり、次いで「お届け日が遅かった」が36.9%となった。
ECサイトにおける最大の離脱ポイントである「カゴ落ち」の主要因が、送料と配送日の不透明性になることが明らかになったといえるだろう。
本調査では、ECを利用する消費者が「発送」に対して抱くシビアな本音と、事業者が陥りがちな「思い込み」とのギャップが明らかになった。
「コストをかけて配送スピードを上げたのに、なぜか売上につながらない」「送料を改定したいが、顧客が離れてしまうのが怖い」といった悩みを抱く事業者は少なくない。本調査の結果は今後の物流戦略を見直す上で、非常に価値のあるデータとなるだろう。