置き配標準化に対する懸念点「盗難リスク」が最多 カクヤス調査
株式会社カクヤスは2025年10月14日、「置き場所の指定配達における利用状況と悩み」の調査結果を発表した。本調査は、オンラインショップの利用拡大による宅配便の取り扱い件数の増加や、ドライバー不足による政府の再配達の削減と物流の効率化政策。さらに、国土交通省が2025年内に予定している、再配達削減を目的とした「置き配」を標準とする新たな宅配ルールの検討・導入を背景に実施されたものである。
調査概要
◆調査機関:2025年9月11日〜9月16日
◆調査対象:一都三県に在住する20代以上の男女
◆調査人数:330名
◆出典:株式会社カクヤス調べ
半数以上が「置き配標準化」に賛成
本調査では「置き配」の利用経験が「ある」と回答した人は74.8%、「ない」と回答した人は25.2%という結果に。「置き配」が生活に根付き始めていることがうかがえる。
「置き配標準化」については、「賛成」が65.5%と多数派となった。一方で、「反対」(16.7%)や「わからない」(17.9%)と回答した層も一定数存在している。
「置き配の標準化に対する懸念点」として最も多かったのは、「荷物の盗難リスクが高まる」で半数(50.0%)を占めた。
これに続き「荷物の破損・汚損リスク」(33.3%)や「天候による荷物への影響が心配」(32.1%)が挙げられた。さらに「集合住宅での管理・運用が困難」(17.6%)、「配達品質の低下」(17.0%)、「プライバシーの侵害」(12.7%)など、さまざまな不安が挙げられている。
利用者の安心感をどのように担保するかが、「置き配の標準化」に向けた大きな課題であることが浮き彫りとなった。
安心できない荷物は「置き配」に任せられない
「置き配や宅配BOX」で困ったことやトラブルの経験についてたずねたところ、「利用したが特に困ったことはない」が最も多く、48.6%を占めた。
具体的な「困ったこと」や「トラブル」としては「指定した場所以外に置かれていた」(16.1%)、「雨濡れや汚れで荷物が傷んだ」(13.6%)といった回答が並んだ。さらに「荷物が破損・汚損していた」「配達完了通知が来たのに荷物がなかった」(各 10.8%)という回答もあった。
「困ったこと」「トラブル」の経験も約半数という結果となり、配送精度と安全性の確保が今後の大きな課題であることが明らかとなった。
「置き配」を利用したくない荷物については「高額商品(家電・貴金属・ブランド品など)」が最も多く、55.5%を占めた。次いで「精密機器」(52.7%)、「壊れやすい商品」(45.8%)が続いている。
「飲料・食料品」(34.8%)や「医薬品・サプリメント」(24.5%)なども一定数見られ、生活者の間では〝安心できない荷物”は置き配に任せられないという心理が根強いことが明らかになった。
「置き配」の利用条件、最多は「配送料の安さ」
「置き配を利用したい条件」として最も多かったのは「配送料が安くなる・割引がある」(35.8%)となり、コストメリットへの期待が大きいことが明らかになった。続いて「盗難補償制度が充実している」(33.0%)、「配達完了通知がリアルタイムで届く」(27.3%)といった項目が挙げられた。このことからも、安心感と利便性を高める仕組みが、消費者の利用意欲を後押ししている様子がうかがえる。
「特に条件はない(現状でも利用したい)」と回答した人も14.8%おり、既に積極的に「置き配」を受け入れている層の存在も確認された。
大手宅配事業者は置き配専用バッグの提供や、AIを活用した再配達予測システムを導入し始めている。コンビニエンスストアやEC事業者も、受け取り拠点の拡充や自動受け取りロッカーの普及に取り組んでいる。
持続可能な物流構築のためにも、本調査を参考にしながら置き配標準化への対応を進めていきたい。