2025年猛暑「プラス影響」は小売業が約4割でトップ TDB調査

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ECのミカタ編集部

上場企業「今年の猛暑」影響調査―2025年10月

株式会社帝国データバンク(以下、TDB)は2025年10月27日、国内の各証券取引所に株式を上場する全企業を対象に、2025年10月16日までに「2025年の猛暑」による影響や対応について調査。適時開示資料などを中心に情報を収集・分析した結果を公表した。

猛暑によるプラス影響は「小売業」がトップ

2025年の「猛暑」「酷暑」による影響や対応について具体的な情報開示を行った上場企業は、10月16日までに少なくとも183社。このうち、売り上げの増加や新商品の開発など、自社の業績・企業活動に「プラス」効果がみられた企業は114社にのぼり、開示企業の6割で「猛暑」「酷暑」が追い風となった。

※画像元:上場企業「今年の猛暑」影響調査―2025年10月(株式会社帝国データバンク)

プラス効果が最も多くみられた業種は「小売業」(45社)で約4割を占め、前年の25社から1.8倍に増加した。

夏物衣料を中心としたアパレル製品や冷感商品、エアコンなどの空調機器、ハンディファンなど猛暑対策グッズの需要が急増。熱中症対策による止渇(しかつ)需要の高まりを受けた、清涼飲料水やアイスクリームなどの販売増も恩恵となった。

また、今夏は飲料など直接的な「涼を求める」需要以外に、大手ショッピングセンターやスーパーなど涼しい屋内施設を開放することで「避暑」需要を取り込み集客力の向上、滞在時間の長期化で消費を促す動きが広がった。その結果、アミューズメント施設など室内設備の稼働率上昇、出店テナントの販売増といった好循環が生まれたことも、小売業界にとって追い風となった。

猛暑の影響は一層大きくなる可能性

猛暑の影響は一層大きくなる可能性

自社の業績・企業活動に「マイナス」となった企業は69社となり、前年(39社)から76.9%増加した。このうち、業種別ではプラス効果と同様に「小売業」が28社で最も多く、前年(18社)から55.6%・10社増加。小売業での「マイナス」は、飲食店をはじめ路面店を展開する企業で多く、猛暑により外出を控える動きを受けて入店客数が減少するといった影響が多かった。

TDBが今年8月に行った試算では、2025年夏における東京都内の家計消費支出が、猛暑により世帯当たりで月平均3512円増加する見込みとなった。飲料や冷菓・調理済み食品、エアコン類など家具・家事用品では増加する一方、猛暑による外出機会の減少で外食などは悪影響が見込まれるなど、同じ業態でも「猛暑需要」の取り込みには差異もみられた。

同社は今後について、「来年以降も、猛暑が経済活動に与える影響は気温上昇に連動して一層大きくなるとみられ、企業の戦略や取扱商品によって業績面でも二極化が進む可能性がある」と分析している。本調査結果を参考に、来年の春夏向けの施策を検討したい。


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