「ネクストエンジン」のNE、東証グロース市場に上場 EC業界を支えるプラットフォームとして次のステージへ

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ECのミカタ編集部

2025年11月4日、SaaS型ECバックエンドシステム「ネクストエンジン」で知られるNE株式会社(本社:横浜市、代表取締役社長:比護則良)は、東京証券取引所グロース市場に新規上場を果たした。同日、取引所内で上場セレモニーが開催され、代表取締役社長の比護氏をはじめ役員・社員が出席。上場通知書の授与や鐘の打鐘などが執り行われた。

Hameeからスピンオフし、独立経営体制へ

NE株式会社は、Hamee株式会社からの分社化により2022年5月に設立。同年8月には、受注・在庫・出荷・データ分析を一元化するSaaS型ECバックエンドシステム「ネクストエンジン」をはじめとするプラットフォーム事業を会社吸収分割によって承継し、事業をスタートさせた。

(左から)打鐘の準備をするNE社株式会社 代表取締役会長 鈴木淳也氏、同社 代表取締役社長 比護則良氏

上場セレモニー後の会見で比護氏は、「EC業界のさらなる発展を支えるプラットフォームとして、Hamee株式会社からスピンオフし、新たなステージへ踏み出すことになりました。スピンオフにより、より迅速な意思決定と柔軟な成長戦略の実現を目指し、独立した経営体制のもとで事業を拡大してまいりたい」と力強く語った。

背景にあった「最適化」への課題意識

スピンオフ上場の背景について比護氏は、「Hameeという小売をメインにしている会社と、システムをメインにしている会社の間で、最適化がなかなか図れなくなっていたという事実があります。エンジニア中心の会社と営業中心の会社では、制度や仕組みを変えていくのも難しい。そうした中で、いかに早く意思決定を行い、経営を進めていくかを考えたときに、このスピンオフという方法が最も最適だと判断しました。結果として、会社としての価値の総和を大きくできると確信し、この道を選びました」と振り返る。

(左から)上場会見での比護則良社長とNE株式会社 執行役員 冨山幸弘氏

「これからの3年間が大事な期間に」

今回の上場について、比護氏は次のように心境を語った。「ようやくここまで来られたなという気持ちがある一方で、今回の上場は、いわゆる発射台から一気に飛び立つようなケースとは少し違って、ちょっと独特な形になったと思っています。これからの3年間がすごく大事な期間になると考えていますし、上場後3年間は無配とし、成長投資に集中する方針もすでに示させていただいております。株主や投資家の皆さんにしっかりご理解いただきながら進めていくという、難しい局面に入ってきたなという気持ちです。ぜひ、これからも温かく見守って、ご支援いただければと思います

スピンオフからわずか3年で上場を果たしたNE株式会社。Hameeの子会社としてスタートした同社だが、上場に際してHameeが株主に現物配当としてNE株式を分配するスピンオフを実施したことで、上場後は独立した経営体制へと移行した。迅速かつ柔軟な意思決定を強みに、EC業界の成長を支える新たなプラットフォームとして次のステージを見据える同社にとって、「ここからの3年間」は真価を問われる重要な期間となりそうだ。