生活者の購買行動「レビューや口コミの参照」は平均1.5カ所 電通デジタル調査
株式会社電通デジタルは2025年11月26日、「EC・店頭をまたぐ購買行動実態調査2025」の結果を公表した。本調査は2022年から実施しており、今回で4回目となる。
調査概要
◆調査手法:インターネット調査
◆調査時期:2025年5月22日~28日
◆調査エリア:全国
◆調査対象:20〜69歳
◆調査人数:1万名(スクリーニング調査)、8700名(本調査)
◆調査主体:株式会社電通デジタル
◆商品一覧:主要13カテゴリーに含まれる29商品
▷ファッション・インナー・小物/美容・コスメ/食品・スイーツ/ドリンク(お酒以外)/お酒/日用雑貨/ダイエット・健康/医薬品・コンタクトレンズ/ギフト/ペット用品/電化製品/インテリア/キッズ・ベビー・おもちゃ
◆出典:EC・店頭をまたぐ購買行動実態調査2025(株式会社電通デジタル)
着実に進むオンライン化
購買体験がECと店頭をまたいで複雑化する中、生活者の購買行動は引き続きデジタルシフトの傾向を示している。
2022年から2025年にかけて、認知・比較検討・購入の各フェーズにおいてオンライン利用が増加。認知フェーズでの利用が+4%、比較検討フェーズで+6.4%、購入フェーズで+3%と、購買プロセスのオンライン化が着実に進んでいる。

生活者の購買行動においては昨年に引き続き、安全性や信頼性を重視する傾向が継続して確認された。
また、2025年はクーポンやポイントなどの経済的メリットを積極的に活用する動きが強まっている。安心・安全と経済性の両面から購買リスクを軽減しようとする「リスクヘッジ購買」の傾向が一層、顕著になっている。

複数の情報源で口コミを確認する傾向
2025年の調査では、口コミに関するデータを新たに取得。生活者が複数の情報源で、口コミを確認する傾向が明らかになった。
生活者は平均1.5カ所で、レビューや口コミを参照。高価格帯が含まれる家電やインテリアに関しては、平均2カ所以上のレビューや口コミを参照していることが確認された。
電通デジタルはこの結果について「購入に対して慎重な姿勢を示しており、『失敗したくない』『後悔したくない』といった心理が背景にあると考えられます。口コミの確認行動が加わることで、生活者の情報収集はより多面的かつ精緻(せいち)になり、リスクヘッジ購買の傾向をさらに強める要因となっています」と分析している。

生活者の「検討」の捉え方が変化しつつある
今回の調査ではコロナ禍以降、従来の比較・検討プロセスにおいて「検討せずに購入した」と回答する生活者が増加していることも明らかになった。
一般的にレビュー・口コミの参照は「検討」の要素となる。その一方で生活者が「検討せずに購入した」と回答している傾向とは矛盾する。
この結果について電通デジタルは「生活者にとっての『検討』の捉え方が変化していることがうかがえます」とコメント。この変化の背景には、SNS や動画コンテンツなどで非能動的に触れる傾向が高まっているレビュー・口コミが、従来の多角的な情報収集とは異なるため生活者が「検討」に該当しないと捉えている可能性が考えられると続けた。

本調査によって、購買プロセス(認知・比較検討・購入)の各フェーズにおいてデジタル接点の活用は引き続き増加していることが明らかとなった。消費者行動を意識した施策立案において、本調査結果は参考となるデータといえるだろう。


