3割以上が機能性表示食品の新基準「PRISMA2020」に準拠した体制を整備済み EAS調査
株式会社EASは2025年12月10日、消費者庁への食品・サプリメントの機能性表示食品に関する届け出を担当している品質管理の代表者・担当者を対象にした「機能性表示食品の制度改正後の企業の課題」に関する調査結果を公表した。本記事では食品関連事業者へ向け、一部内容を抜粋して紹介する。
調査概要
◆調査期間:2025年11月18日~11月19日
◆調査方法:PRIZMAによるインターネット調査
◆調査人数:1013人
◆調査対象:調査回答時に消費者庁への食品・サプリメントの機能性表示食品に関する届け出を担当している品質管理の代表者・担当者と回答したモニター
◆調査元:株式会社EAS
◆モニター提供元:PRIZMAリサーチ
◆出典:機能性表示食品の制度改正後の企業の課題(株式会社EAS)
3割超がPRISMA2020に準拠した体制を整備
「現在扱っている機能性表示食品は、どの届出時期の商品か」についてたずねたところ、下記のような回答結果となった。
◆2025年3月31日以前に届出を完了した商品(旧基準:PRISMA2009対応):50.0%
◆2025年4月1日以降に届出を行った商品(新基準:PRISMA2020対応):39.5%
◆旧基準・新基準の両方の商品を扱っている:10.5%
「2025年3月31日以前に届出を完了した商品」が半数を占めているが、「2025年4月1日以降に届出を行った商品」もすでに約4割となっており、移行が進んでいることがうかがえる。
続いて、企業のPRISMA2020対応はどの段階まで進んでいるのかを確認したところ、すでにPRISMA2020に準拠した体制を整えた企業は3割以上。半数以上が「一部対応を進行中」と回答。新基準への移行が、着実に進んでいることが明らかになった。

約7割が審査や差し戻しを「不安視」
「PRISMA2020対応を進める上で、負担が大きいと感じる業務」についてたずねたところ、「文献検索条件や採択基準の整理・記録作業」「科学的根拠(エビデンス)の再評価・再解析」が共に46.2%と最多となった。

続いて「PRISMA2020対応において、消費者庁の審査や差し戻しへの不安を感じるか」とたずねたところ、「とても不安である(18.1%)」「やや不安である(55.8%)」と約7割が回答している。
「PRISMA2020対応において感じる課題」については、「専門人材の不足(43.6%)」が最も多く、「時間的リソースの不足(41.0%)」「コスト負担の増加(36.2%)」と続いた。

「専門性」と「信頼性」がカギ
紅麹サプリメントの健康被害報道をきっかけに、サプリメントなどの機能性表示食品の「安全性」や「科学的根拠のあり方」に改めて注目が集まっている。そうした中、機能性表示食品制度では、エビデンスの透明性向上を目的として「PRISMA2020」に準拠したシステマティック・レビュー作成が求められるようになった。2025年4月以降は新基準での届出が必要になっている。
本調査により、PRISMA2020対応で「文献検索条件や採択基準の整理・記録作業」「科学的根拠の再評価・再解析」という精度と網羅性が求められる業務の負担が大きいことが可視化された。こうした負担の背景には、「専門人材・時間的リソースの不足」「コスト負担の増加」という課題がある。
EASは本件に対して「PRISMA2020対応は『専門性』『信頼性』がカギとなります。高度な専門性を必要とする領域を適切に支え、確かな科学的根拠とスピード感をもって支援できる外部支援機関の存在が、今後ますます重要になると考えられます」とコメントしている。消費者に信頼されるサイト運営のためにも食品に関連する事業者は、スムーズな対応を心がけたい。


