船井総研の「EC•通販経営研究会」第4回例会:前編

ECのミカタ編集部

「船井流経営法」から学ぶ、自社で行えるSEO対策

株式会社船井総合研究所(以下、船井総研)は、定期的な会員制の限定セミナー「EC•通販経営研究会」を運営している。同経営研究会は、業績の向上を本気で目指すEC•通販会社経営者のための実践的な業績アップ勉強会。
年間6回開催されるこの定例会では、実際にECにおいて成功を納めている事業者のノウハウ講演を受ける事ができる他、繁盛店が自店、楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazonその他などのモール別で実際に利用している帳簿や、実際に配信しているメルマガのレポートなどがもらえたり、繁盛店への秘訣が集積した貴重なデータを手にする事ができる。

2015年度の第4回となる今回。船井総研が定義する業績アップとは、事業規模だけでなく『お客様から最も必要とされ、最も役に立つネットショップに近づくこと』を意味している。 本経営研究会を通じ、豊富な実績から蓄積構築された「船井流経営法」をネットショップの経営に活かすと共に永続的な発展を目標とし、そのために会員企業と船井総研の緩やかなネットワークを形成し、互いの強みを生かし、弱みを補完しながら生成発展していくこと。それが 「EC•通販経営研究会」の大きな目標である。

2015年第4回「EC•通販経営研究会」アジェンダ

•第一講座
「販促費200万⇒0円で!昨年対比200%、月商5000万円突破!」
ゲスト講師:株式会社 ユニオンスポーツ
      代表取締役 林 宣孝 氏

•総勢約30企業によるテーマ別情報交換会
ファシリテーター:株式会社 船井総合研究所のコンサルタントが担当。

•第二講座
まとめ講座&自社で行えるSEO対策について
担当講師:株式会社 船井総合研究所
     佐藤 隆史朗

•第三講座
LTVやCRMの成功事例についてのビジネスセミナー
担当講師:株式会社LTV Innovation取締役 事業開発部マネージャー
野口学夫氏

◆販促費10分の1で昨年対比200%月商5000万円突破

第一講座では、株式会社ユニオンスポーツ代表取締役の林宣孝氏が登壇し、講演を行う。同社は、昭和42年に創業、サッカー用品専門店としてJリーグ発足よりも以前から事業を展開している。2002年に自社サイトでEC事業に参入し、楽天やYahoo!、Amazonなど様々なモール参入を展開、 業績が伸び悩み、苦しい時期もあったものの現在はV字回復を見せ好調な業績をキープしている。そのV字回復に多いに貢献したという「経営理念の見直し」の秘密に迫る。

経営理念の見直し

経営理念の見直し講演を行う株式会社ユニオンスポーツ代表取締役の林宣孝氏

新ユニオンスポーツ経営理念

1:店は従業員とその家族にためにある
2:店はお客様のためにある
3:店は仕入れ先様とともにある
4:商人である前に正人であれ
5:より高い頂をめざそう

自社について簡潔に経歴を説明した後、ユニオンスポーツの経営理念についてのショートムービーを放送する。
実際にユーザーやショップ店員より寄せられた言葉をもとに、同社が重要視するモノやコトは何かについて、ムービーを中心に視覚的に解説を行っていく。

一番業績が落ち込みつらかったとき、支えてくれたのが仕入れ先の業者であった。林氏は、5年前ほどから仕入れ先の業者を呼び決算発表をしていた。例え赤字であっても隠さずに全てを発表、そのような誠意を持った接し方をずっと続けて来たからこそ、つらいときに在庫面でも融通を効かせてくれるなどし、助けてくれたのではないかと振り返る。手法論にいきがちなネットショップだが、実店舗における「小売り」と同様のフェイストゥフェイスのひと付き合いを重要視したことで、窮地を救われたという。
また、ユニオンスポーツの扱っているサッカー用品は在庫状況が特殊で、何が売れるのか分からない状況で半年ほど前から抱えないといけない。商品の展示会が開催され、半年後売り出す商品を確実に売れるかどうかわからない状況でその場で発注を決めるため、在庫状況の読みが難しいという。ユニオンスポーツの場合は、比較的高額で、競合が不安がって在庫として持ちたがらない値段帯の商品を強化したことが成功につながった。
ネットならではのノウハウではなく、実店舗寄りの考え方で戦略を展開したことが、結果的に業績をV字回復へと導いた要因であった。

V時回復以前、業績が落ち始めたことの理由については「成功体験をやり続けていた」ことが原因であったという。
成功パターンのみを選択することで、それ以上の成功を得ることができず、また成功パターンは日々古くなっていくため革新していく必要があった。著名なビジネス書を読むなどし自己啓蒙を行い、体験の切り替えや仕組みの変更を心がけた。船井総研のファシリテーターとはこの時期も、二人三脚で戦略を錬り「悠々として急げ」というテーマに添い「経営理念の見直し」を行っていったという。
体制の見直しやシステムの入れ替えなど、様々な変化を受け入れていく中で、気合いと根性もやはり必要となってくると精神論の重要性も示唆し、様々な著名ビジネス書からの引用文なども紹介する。

結果的に経営理念の見直しすることによって、重要なことを見直す環境が整った。林氏が経営理念の見直しを考えた理由は、社員との距離を縮め、同じ理念の共有を徹底して行いたかったからだという。経営理念は、社員と共有してお客様とも共有することが重要であると林氏は語った。

「社員あっての会社です。社員が幸せになれない会社は、お客様を幸せにすることはできない。そんな思いでこれからも仕事に取り組んでいきます」

と述べ、林氏は講演を締めくくった。

◆テーマ別情報交換会

◆テーマ別情報交換会グループ別に分かれ情報交換会を行う参加企業

続いて参加者はAからDまでの4グループに別れ、テーマ別情報交換会へと展開する。
「EC•通販経営研究会」の中でも多大なウエイトを占めるこの時間は、最も魅力的なアジェンダとなっている。二ヶ月前に自社課題として認識した事項に対し、具体的な進捗について話し合う場だ。船井総研のコンサルタントをファシリテーターに向かえ、参加企業は真剣な表情で自社の取り組みについて発表を行う。
毎回、それぞれ持ち帰った課題を確実に潰していき、その発表の場を共有できるだけでなくプロのコンサルタントから生のアドバイスを受けることのできる時間は、非常に貴重かつ刺激的である。定期的にこのように軌道修正を図ることは、事業戦略を練る上で欠かせない工程であろう。
途中休憩をはさみ、約2時間以上に及ぶ熱心なディスカッションが展開された。

その後は、各ファシリテーターが登壇し、「EC•通販経営研究会」恒例のディスカッション内容全体共有が行われる。
目的別にグループ分けされた参加企業も一堂に介し、テーマの違う事例の中から自社課題解決のヒントを探す。各グループの特徴は以下の通り。

A:単品通販6社、自社で作って自社で販売するグループ。
B:品添え型の店舗11社、中古ECやリユース等含むグループ。
C:品揃え型が多い混合グループ。多かった事例は自社サイトのSEOが上がったというもの。
D:様々なジャンルが混合したグループ。「ターゲットをどこに設定するか」「顧客が望む納期とは何ぞや」が主なテーマ。

各グループで発表された事例や課題、解決策など、取り扱い商品の垣根を超えた情報共有を行った。別業界の横串を入れることで、発送が広がり、思いもしなかった課題解決策などアイディアが多く出てくるかもしれない。


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