船井総研の「EC•通販経営研究会」第4回例会:後編
第二講座は「自社内SEO対策のすすめ」と題し、船井総研コンサルタントの白神孝幸氏が登壇し、SEOについての講演を行う。
◆数字で見るSEOの重要性~SEO順位だけでこれだけ売上げも変わる~
船井総研は例会をより充実した内容に徹底するため、次回よりリニューアルを予定していると発表、その第一弾のテーマが「SEO」であるという。中でも自社内でのSEOに集中したいとし、継続テーマとして白神氏が今回を皮切りに第5回、第6回と全3回に渡りセミナーを行い説明するとした。
◆自社内SEO、5つのポイント
自社サイトを強化する上でSEOは重要な集客手段であり、その重要性を数字で振り返る。SEO対策実施企業の成功事例をサンプルとし、ビックキーワードから単品カテゴリーキーワードまで網羅した直近1年の施策の結果、非常に好調な推移を見せた売上を数字で確認していく。
施策としての重要性を踏まえた上で、SEOを取り巻く「過去」から「現在」、そして「今後」の予測を行う。
外部リンクの重視、他サイトからの評価が重要視されていた過去は、外部リンクは買う事ができ、そのため質の悪いサイトも上位表示される減少も起こっていた。それが今、「量の時代」へと突入し、テキストとコンテンツの量を見られるようになり、内部コンテンツの量で最適な情報を持ったサイトかどうか判断されるように変化してきている。従って現在SEOで重要になることは「スピードと量」に尽きるとし、ここに対応できる体制作りが第一歩であると白神氏は語る。
そして「量の時代」から「質の時代」へのシフトチェンジしていくことが予測され、よって今後は量だけでなく質も重要となっていく。そうなってから慌てないため、まずは自社内でコンテンツを量産できる体制を整えることは明白であるという。
そのための具体的なアクションはどのように起こすべきかを、豊富な船井総研のデータベースや実績ベースのロジックで、図式を交え解説していく。SEOの仕組みに則したアプローチを的確に行っていくことが重要であるとし、裏付けとともに自説を展開する。
コンテンツ量産の仕組み構築の手段としては、クラウドソーシングサービスの活用で外部業者に依頼するなど、自社内リソースを疲弊させない方法も効果的であるという。自社の強みに即したカテゴリを強化するとともに価値観を伝えていける啓蒙型のコンテンツを作成していくことで、「質の時代」に突入した際の立ち位置が決まってくると白神氏は語った。
最終的に、本日のまとめポイントとして
・市場性、競合性、自社の状況に合わせまずは攻めるカテゴリーを決める
・SEOはあくまでも集客の一手段。商品力と売場力も必ず高める
・今はとにかく量とスピードで効果は発揮される、今すぐに取り組む
・仕組み作りを行ない、定期更新ができる体制の構築をする
・コンテンツの品質が求められるようになるまでに店舗力を付け、最適な提案やコンテンツ提供ができるようにしておく
の5点を総括し、講演を締めくくった。
顧客分析から見るLTVの伸ばし方
最後は、株式会社LTV Innovation取締役、事業開発部マネージャーの野口学夫氏が登壇し、自社サービスのビジネスセミナーを展開する。
ECショップ向けCRMシステム「わくわく通販」や、実店舗向けCRMシステム「わくわく店舗」などのASPサービス等を提供している同社が、LTVやCRMの成功事例の紹介及び、どこをどうターゲティングしたらいいのか。というポイントにしぼり、様々な層の企業でテストした結果一番成功が出そうなパターンの解説を行った。
野口氏は
・自社のLTVを計算してみてください
・過去一年の売上げを顧客軸(購入回数)で見てください。
・その推移を見て、二回目以降の購入数、割合推移を計算してみてください。
と3点のまとめを示唆しさらに、300社の取り組み実例から同社が見出したLTVを伸ばす3つのポイントとして
顧客セグメント(どこを狙うのか)
商品別(何を買った人を狙うのか)
最適クロスセル(何を買った人に何を進めるのが良いのか)
この3つで引っ張れば効果が出るとし、一番ターゲットが多い初回購入者のところで売れる商品を押し出すことが重要であると語った。自社の強みを活かすということが、やはり一番のポイントであると締めくくる。
「EC•通販経営研究会」第4回例会:総括
以上をもって、第4回「EC•通販経営研究会」の全てのアジェンダは終了した。
最後に、参加企業各社が今回のセミナーで感じ取った課題を一つずつ発表し、それらが次回の情報共有時に進捗材料として扱われるものとなる。発表企業の感じた課題は様々であり、「自社商品の開発を行ないたい」「CRMをしっかりとしていきたい」「LTVをきちんと見て対策をしたい」「SEOの自動化を目指したい」「LPの改善を行ないたい」「コンテンツを充実させたい」「キーワードの絞込を考える」など、今回のセミナーでも議題に上がった切り口で十人十色の課題が発表された。
こうして、参加企業各社全ての課題も網羅したところで同セミナーは閉幕となった。
毎回自社だけでなく、他社の課題も知ることで、自社以外の切り口での戦略に触れる事ができる点も大きな魅力だろう。確実に課題を見つけ、限られた期間内に潰していくフローを一年間続けた先には、大きな進歩があることは明白だ。次回、リニューアルを予想しているというの同セミナー、秋口は2ヶ月続けての開催となるため、一気に事業を加速させる大きなチャンスとなりうるだろう。