楽天ID決済の導入店拡大でどうなるECの決済
楽天ID決済がショップサーブなど5社に加えそれ以外にFutureShop2など4社にも導入
2016年を考える上で「決済」というのは、きっと注目のキーワードとなる。というのは、先ほど、楽天株式会社(以下「楽天」)は、二子玉川のクリムゾンハウスで、記者会見を行い、この中で、ショッピングカートASPサービス(ネットショップの構築・運営サービス)を提供する4社が、各社の提供するサービスにおける新たな決済オプション機能として、楽天が提供するID型決済サービス「楽天ID決済」を来年、順次導入することを、発表したのだ。
「楽天ID決済」サービスはこれまでに、株式会社Eストアー「ショップサーブ」などレンタルショッピングカートASPサービスを提供する5社に導入されているが、新たに導入するのは、GMOペパボ株式会社(「カラーミーショップ」)、GMOメイクショップ株式会社(「MakeShop」)、テモナ株式会社(「たまごリピート」)、株式会社フューチャーショップ(「FutureShop2」)の4社だ。
今回、新たに4社の各レンタルショッピングカートASPサービスが加わることで、計9社のサービスを利用する10万以上のECサイトが今後、「楽天ID決済」を新たな決済オプションとして追加することが可能になる。
席上、楽天は「今までは楽天市場への出店をベースにしていたが、加えて、出店しないパターンでもEC業界を盛り上げていこうと考えており、そのうちの一つが、楽天ID決済です。自社サイトに行った場合であっても、楽天の会員ID登録をしていれば、クレジットカードを登録しているので、そのまま、自社サイトでクレジットカードをもう一度、入れる手間も省け、漏洩の危険もない。そして、楽天スーパーポイントの活用ができるという部分がある」とした。
楽天ID決済、メリットはどこにあるのか
実際に導入したメリットは、どれだけあるのだろう。楽天によれば、楽天のID決済のほうが総合物販サイトで11%UPしたという話もある。つまり、10000円を払うつもりでいて、2000ポイント貯まっていれば、12000円の商品を買うという消費行動が生まれるので、店としての客単価があがるというわけだ。
また、年間注文件数28%アップしたという話もある。これは、楽天の話にあったのは、期間限定ポイントが生きているのでは、としている。ポイントを使うと失効していくので、失うくらいなら、と言って、購買動機になったりすることもあったのではないか、とのことだ。
会見の席上、「これからもっと伸ばすべきは、それほどインターネットで買っていない人。ショッピングとの接点を増やしていくことが大事だと思う。そういう人の中には、クレジットカード決済はリスクを感じる人は、いるのではないか」と株式会社フューチャーショップ 代表取締役 星野 裕子さん。
また「1つは本店サイト。路面店に向けてのサービス、モール型。両方出している方がいる。楽天ID決済をやることで、楽天に流れることを避けられる。雑誌の定期購入、毎月購入してもらうのに、決済は重要。」とTEMONA株式会社の代表取締役 佐川隼人さん。
さらに「背景には、スマホの進化がある、カード番号入れたりできない。こういうID決済は意味があるのではないか。モールと本店、両方でやることで、ECの発展がある。10月から楽天ID決済1500の申し込みが集まっており、欲しいのがないと購入しないという点からすれば、決済手段が多いというのは重要。」株式会社Eストアー執行役員 細野 純子さんと言った具合で、それぞれの立場でその楽天ID決済を取り入れる重要性を感じているようだ。
今後、ポイントの使い方や消費行動のあり方に、少なからず影響してくるのは間違いない。ただ、個人的な印象ではあるが、今年に入ってから他社などの話もあり、決済が注目されているのも事実と思う。思うに、楽天ID決済における最大のメリットは、やはり拡大する楽天経済圏をフルに活かせる点だと思う。そして、今までであれば、モールの集客に力をいれる、自分の出店店舗に力をいれるといった部分に力をいれるだけだったところが、それと対比される、独自店舗に自らの持つ強みを提供していくのは、モールだけではない、広い視野に持とうとする、楽天の姿勢の変化に、ECの新たな時代を思うのである。