前年比110.2%!日本のインターネット広告費(電通調べ)

ECのミカタ編集部

媒体別広告費(2005 年~2015 年)

ネット広告が牽引、日本の広告費は4年連続プラス成長

株式会社電通(以下、電通)は、日本の総広告費と媒体別・業種別の広告費を推定した「2015(平成27年)日本の広告費」を2月23日に発表した。

電通の発表によると、2015年の総広告費は、ミラノ万博、企業業績の大幅な伸長、所得増への期待があったものの、前年の消費増税前の駆け込み需要や「ソチオリンピック2014」、「2014FIFAワールドカップ ブラジル大会」開催に伴う反動減、海外経済の景気減速や個人消費の伸び悩みなどが影響し、通年で6兆1,710億円(前年比100.3%)となり、4年連続で前年実績を上回ったとのこと。

媒体別の広告費では、新聞広告費・雑誌広告費・ラジオ広告費・テレビメディア広告費の4媒体が前年を下回るも、インターネット広告費の伸びが顕著で、スマートフォン・動画・新しいアドテクノロジーを利用した広告が堅調に伸長し、「インターネット広告費」(同110.2%)と全体を牽引した。

インターネット広告費の媒体費と広告制作費の総額は、1兆1,594億円。うちインターネット広告媒体費は9,194億円(前年比111.5%)、運用型(最適化が自動化された広告)広告費は6,226億円(前年比121.9%)、制作費2,400億円(前年比105.5%)となっている。成長要因としては、スマートフォン広告市場の継続的拡大や動画広告市場の急成長に加え、「プログラマティック広告取引」(オーディエンスデータに基づいて自動的に広告枠の買い付けを可能にする取引形態)の浸透が進んだことが市場の伸びを後押しが見られる。市場の内訳でみると、枠売り広告から運用型広告へのシフトが進んだ結果、枠売り広告は前年をやや下回ったが、運用型広告は順調に伸長。また、アフィリエイト広告も堅調に推移している。

枠売り広告は、ポータルサイトの中面(トップページを除く第二階層以下のページ)や一部のトップ面に加え、ソーシャルメディアでも運用型広告へのシフトが進んだこともあり、前年より減少。ただし、コミュニケーションアプリ系メディア、キュレーションメディア、専門領域特化型メディアなどでは持続的な成長が見られた。また、動画コンテンツの視聴環境のクロスデバイス化や多様な動画広告メニューの登場により、動画広告市場が急伸した。

運用型広告は、モバイル領域での検索連動型広告(リスティング広告)の伸長は大きいものの、PC領域ではやや成長が鈍化。一方で、DSP(広告主側からみた広告効果の最大化を支援する広告配信システム)などのプラットフォームを活用した運用型ディスプレイ広告は順調に拡大している。

新しい市場動向として、運用型広告では従来の「オープン・オークション」(買い手・売り手が限定されないオープンな自動広告取引市場)ではない、限定された売り手と買い手が自動広告取引に参加する「プライベート・マーケットプレイス」(PMP)の活用が広がり始めている。また、ユーザーの位置情報や地域情報、行動ログなどのデータを元にターゲティングする新たな広告配信モデルが次々と誕生した。

長期的な減少傾向にある新聞広告費や、推定販売金額の減少率が過去最大となった雑誌広告費など、他メディアの広告費が減少する中、インターネットの広告費が伸長することは、消費者の情報の収集源がインターネットを中心としてきている証拠でもある。また、インターネットの広告は、過去データからその人に合った広告を提供できるなど、ここ数年で大きく成長しているため、費用対効果の面でも他メディアより信頼がおけるのも強みだ。表現方法など、さらに規制が厳しくなっていくと予測されるが、ECの成長、スマートフォンの進化と共に、インターネット広告は媒体の主役として君臨し続けることだろう。


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