食品廃棄642万tの実態!一石を投じるYahoo!の施策

石郷“145”マナブ(編集長)

左:グラウクス関藤 竜也さん 右:ヤフー北川達郎さん

ヤフオク!が食品ロスの問題に真摯に向き合う

 何気なく口にしている食品の裏で、日の目を見なかった食品が一体どれだけ廃棄されているかを皆さんは知っているだろうか。

 その答えは642万トン。昨年度、農林水産省で試算された本当の数字である。実にこれは日本の米の総収穫高80%にもあたり、飢餓に苦しむ子供に支援して送る数の2倍に相当するという。

 ヤフー株式会社(以下、ヤフー)とそんな話をする機会があった。その理由は、ヤフオク!が、この問題に真摯に向き合って、新たなビジネスを開始していたから。ヤフーのヤフオク!カンパニーリユース推進部部長 北川達郎さんは言う。「まさか僕らが口にしている食品は生産された食品のうちの一部でしかなくて、多くが廃棄されているという実態を。この問題を多くの人が知らない限りは、何もこの問題は解決しない」と。

 そこで、ヤフーは『KURADASHI.jp』というサイトを運営するグラウクス株式会社(以下、グラウクス)に協力を要請した。グラウクスは、ヤフーよりもずっと前から、廃棄される食品のことを社会問題として取り上げ、そうした廃棄される前の商品を買うことの意味合いを説き、『KURADASHI.jp』という店舗の中で販売を続けていた。オトクに商品を買えてしかも人の為になる、そんなキャッチフレーズで。

 その上で、ヤフーは、そうした食品が廃棄されている問題、いわゆる「食品ロス」という問題を徹底的に取材。それに関連づける形で、食品ロスに絡む商品に関して、多くの仕入れ先を持つグラウクスに対して、同社が扱う商品をヤフオク!に出品することを提案。それが実現に至った。お茶などが、時に80%OFFで出品されている。

なぜ、食品ロスが生まれるのか?

 しかし、僕は思った。なぜに、そもそも、そんなに廃棄物が生まれるのだろうと。日本人は「もったない」等の精神により、物を大切にする人種ではなかったのか。これに関して、グラウクスの代表取締役 関藤 竜也さんは、その原因もまた、日本人の国民性によるところもあると説明する。

 一つはお店の都合。棚が用意されたとして、ある一定期間を過ぎれば配置の関係で外される。この外された商品は結果、クレームになることを恐れ、その後、再度売られることなく、廃棄されるということも少なくない。もう一つは、メーカーの都合。余剰在庫はあまり明らかにしたくない、という事情がある。本来であれば、ファミリーセールなどにかけて、安価にして売りさばくということもできそうだが、SNSの発達などで、安価にして買ったことがどんどん拡散されてしまう。企業のイメージを優先するあまりセールにかけることすらせずに、廃棄してしまう事もあるようだ。

 “大人の事情”でそれらの商品はいつしか煙たがられる存在となった。ただ、しかし完全に欠落していることがあるように思う。それは、これらの商品が皆“価値がない”なんてないという事だ。賞味期限が近づいていたからと言って、不味いのだろうか、食べたら問題がおこるのだろうか。その商品の価値は低下していること自体がおかしいのである。世の中が敏感になりすぎて、リスクヘッジをするあまり、肝心なことを忘れてしまっているように思う。

ヤフオク!が果たす役割は、価値をもたらす事

 だからこそ、ヤフオク!なのだと僕は思う。ヤフオク!の根本理念はオークションにある。出品者にとって価値あると思う物を出品し、その価値に理解ある人たちが購入する、という関係性でビジネスが成り立っている。

 今回の食品ロスによって、廃棄されかかっている食品たちは、なんら企業側の都合などで表舞台から消えただけのこと。食品ロスの問題を今一度、皆が理解し、それらの商品の本当の価値に迫る必要がある。ヤフオク!は、ここで扱われている食品ロスの商品が実は、価値を持った物であると言うことをメディアとしてしっかり伝えるべきなのだ。そして、彼らがただメディアとして発信するのと違うのは、その食品ロスの問題を知るとともに、購入者に価値を理解してもらい、実際に食べてもらったりして、多くの消費者に対して、その問題を“自分の問題”として、受け止めるきっかけを作る事ができる点にある。

 実際、この取り組みに共感する人はヤフー社内にも多い。現にヤフオク!のカテゴリー欄で食品を選ぶと、この企画について表示され、企画ページに飛ぶように設定されている。カテゴリー欄と言うのは普遍的なもので、ナビゲーションの為にあるものなので、そこに企画系が入れられるのはかなり異例なことではあるが、それだけこの問題の深刻さを感じていることの裏返しでもある。

ネットショップにも他人事ではない

 思うに、ネットショップにおいても、決して他人事ではない。ある意味、この問題はもう売る時から始まっているのだから。それに、北川さんはこんな話もしてくれた。「ヤフオク!って不思議な場所で、トイレットペーパーの芯から太陽光発電まで、本当に色々な物がオークションにかけられています。そこには売れると思って出しても売れなかったり、売れないと思って出したのに売れたりということがあります。要は、人にとっての価値と言うのは、わからないんです。だとすれば、廃棄をしようと自分だけで判断する前に、そのものの価値を考えてみてもいいのではないか、と思います」と。楠(くす)んでいるようなものに、光を与える存在なのだ。

 思うに、食品に限らず、何かを廃棄しようとする場面において、頭ごなしにその商品の有無で考えるのではなく、正当な価値を見極めることが、販売する人にとって必要だ。だから、思う。スベコベ言わずに、広く人々に価値を問うてみればいいのだ。その時の受け皿には「ヤフオク!」があるのだから。ここには、これだけのポリシーを持ってやっているスタッフがいるのだから、その辺は託してみればいい。

 正当な価値を見極めようとするその一歩が、世の中を変える大事な一歩になる。彼らは、次にまたどんなものに価値という光を当ててくれるのだろう。このプロジェクトの動き、引き続き、僕は期待したいと思う。

企画・構成 石郷“145”マナブ

記者プロフィール

石郷“145”マナブ(編集長)

メディア編集部 ゼネラルマネージャー。キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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