LINE Payを徹底解明!3つの変化に注目
「LINE Pay」チャージ、決済シーンが大幅拡大
LINE Pay株式会社(以下、LINE Pay )より、「LINE Payの提携先拡大」、「オフライン店舗でも利用できるプリペイドカードの発行開始」、「LINEポイントの開始」の3つについて発表があった。
LINE Payは、コミュニケーションアプリLINEを通じてユーザー間での送金や、提携サービス・店舗での決済を簡単・便利に行うことができるモバイル送金・決済サービスだ。イメージとしては、ネットショップにLINE Payという”スマホ上のお財布”を持って買い物に行くという様子を思い浮かべてもらうといいだろう。
どういうことかもう少し詳しく説明したい。現状、主流となっているクレジットカードや銀行振込等の決済手段を利用してネットショッピングをする際には、購入しようとするショップそれぞれに対して代金と、それを支払うに必要な決済に関する情報を渡す必要があるが、LINE Payがあれば、その必要がなくなるのだ。
LINE Payの利用は、パスワードを設定後、LINE Pay上においてクレジットカード情報の登録や入金を行うことで始められる。ネットショップで支払をする際に、LINE Payを選択することで直接ネットショップに決済情報を送信することなく決済が完了する仕組みだ。お金のやり取りだけを行うことができるという意味でまさにお財布と言えるのではないだろうか。
このお財布へのお金の出入りが、今回発表された「LINE Payの提携先拡大」により、さらに便利になる。提携先拡大については、大きく6つの動きがあったので詳しく見ていこう。
まず、チャージの面から。いつでもどこでも無料でチャージ(入金)できる環境を目指し、「連携先銀行が拡大」する。これまでに連携済みの5銀行(みずほ銀行、三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行、りそな銀行、埼玉りそな銀行)に加え、今後さらに5銀行(横浜銀行、滋賀銀行、伊予銀行、百五銀行、十六銀行)の追加が発表された。また、「オートチャージ機能が追加」される。銀行口座を連携させているユーザー限定で、LINE Pay残高が一定額を下回ると自動的にユーザーが指定した金額がチャージされる仕組みとなっている。加えて、「チャージ専用口座」の提供が開始される。これは株式会社ジャパンネット銀行(以下、ジャパンネット銀行)と連携したことで実現したもので、ユーザーは自身に割り当てられる専用のジャパンネット銀行口座に振込を行うことで、LINE Pay残高にチャージすることができる。このような3つの提携拡大で、LINE Payに入金する際の利便性が向上する。
また、決済の面から見てみると、LINE Payで決済ができる環境を拡大するため「オンライン・オフラインの導入加盟店の拡大」が進められている。オンライン加盟店では、ファッションからデジタルコンテンツ、家電まで多様な業種・業態へと拡大している。また、ECサイトでの利用拡大を目的に、2社の決済代行会社、ソフトバンク・ペイメント・サービス株式会社とSMBC GMO PAYMENT株式会社との提携について合意したと発表があった。最後に、オフラインの加盟店においてもLINE Payを利用できるよう、バーコード決済による対応も始まっており、入金しやすい体制を整え、利用する場も拡大することで利便性を向上し、利用者の増加を図っていることが感じられる。
プリペイド式、LINE Payカードもスタート
続いて、今回発表された新しいサービスとして、「オフライン店舗でも利用できるプリペイドカードの発行開始」について詳しく見ていこう。昨日、3月24日に「LINE Pay カード」の発行が開始された。これはLINE Payと株式会社ジェーシービー(以下、JCB)の協業により実現したもので、LINE Payの残高を国内・海外約3,000万店のJCB加盟店での支払いに利用できるカードとなっている。
利用特典として利用金額の2%分(100円につき2ポイント)の「LINE ポイント」(後述)が貯まる仕組みになっている。ポイント還元率は、各種のクレジットカードやポイントカードと比べ最高水準だという。貯めたポイントは、1,000ポイント以上でユーザー自身のLINE Pay残高に電子マネーとして交換することもできる。また、「LINE Pay カード」は、クレジットカードと異なり申込時の与信審査や年齢制限がないため、クレジットカードを持たない若年層にとっても使いやすいものとなっている。
※申し込みはLINEアプリ内にあるLINE Payのホーム画面からでき、入会金・年会費は無料
さらに、還元率の高いLINEポイントも
最後に「LINEポイントの開始」について。こちらも「LINE Payカード」と同じく昨日より開始されたサービスだ。
「LINE Pay カード」を介した日々の買い物やインターネットの各種サービスの支払いなどで、ポイント(100円につき2ポイント)を貯めることができる。また、2016年4月25日からは「LINEフリーコイン」がLINEポイントに統合され、LINEアプリ内のサービスでもLINEポイントを貯めることができるようになる。
貯まったポイントは、1ポイント=1円として、LINE STOREやLINE FRIENDS 公式オンラインショップでの買い物代金として利用できるほか、1,000ポイント以上でご自身のLINE Pay残高に電子マネーとして交換することができ、LINE Pay加盟店でのショッピングへのご利用や、ユーザー間の送金、指定の銀行口座への出金も可能となる。さらに、この夏をめどに外部企業のポイントプログラムや特典への交換開始を予定しているという。
※現在、提携開始予定のポイントプログラムはAmazonギフト券、nanacoポイント、Pontaポイント、WAONポイント
「LINE Pay」拡大の背景にあるものとは?
これまで見てきたように利用範囲、提供サービスを拡大してきた「LINE Pay」だが、ユーザーにとって、またEC店舗にとってのメリットとは何か考えてみたい。
まず、ユーザーからすれば、初めて購入するショップなどの購入において不安があるショップであっても、安心して購入できるというメリットがある。また、コンビニなどからLINE Payへの入金も可能なため、クレジットカードを持たない学生やシニア層も手軽にネットショッピングを楽しめるようになるだろう。
また、ショップ側の立場に立てば、特に独自ショップにおいて、かご落ちの原因となりがちな決済のハードルを下げ、購入率を高められることとなる。また、若年層に向けた商品を展開するショップにおいては、手軽に決済ができる購入しやすいショップという印象を持たせることもできるだろう。
このようにLINE Payに様々な企業、サービスが連携する意味、それは、決済の分野におけるLINE Payの認知、価値が向上しているということではないだろうか。現状、加盟店がまだまだ少ないのは事実だ。しかし、一方でコミュニケーションツールとしてLINEを利用するユーザーは学生からシニア層まで、非常に多い。このユーザーがLINE Payのユーザーとなる可能性を考えると、とても無視できる存在ではないと思うのだ。今後、LINE Payがクレジットカード決済や後払い決済、代引き決済などと並ぶネットショッピングにおける主流な決済手段となってくることは十分に考えられる。