楽天 2016年度第1四半期決算発表
国内ECに関しては営業利益が189億円、前年同期比 -17.3%
楽天株式会社(以下、楽天)は、楽天のクリムゾンハウスにて、副社長 執行役員山田善久氏らにより、記者会見を行い、2016年度第1四半期決算を発表した。
2016年度第1四半期決算のハイライトに関して、まず触れる。連結売上収益は、前年同期比+13.5%、フィンテックを中心とする、カード・銀行の営業利益は、前年同期比10台後半%増の高成長を果たしている。国内と海外の主要なところを合わせたグローバルEC流通総額は、前年同期比15.1%増となっている。
国内のEC流通総額は、前年同期比12.5%増で、その要因としては、楽天市場内の品質向上の取り組みの成果が出てきたということだ。
事業別にみると、国内ECに関しては、売上利益は712億円で、前年同期比+8.3%、営業利益が189億円、前年同期比 -17.3%、フィンテックは売上利益は715億で、+9.3%、営業利益が157億円で-1.5%となっている。ノンギャップ営業利益が、267億で、前年同期比 -16.8%となっている。
全体を振り返る中で、同社としては、国内ECにおいて積極的な投資をしたことに伴って、減益になっている部分もあるが、逆に言うと、この投資のおかげで、流通総額がまた、再加速しているので、今後のさらなる伸びに期待したいとした。
なお、ECに関連したところの項目で言えば、グローバルECの部分の説明に当たるだろう。この点に関しては、会見で、上級執行役員 河野奈保さんが説明にあたった。グローバルECの流通総額に関しては、8313億円。前年同期比+15.1%の成長をしている。
続いて、国内EC流通総額の推移に関して。今回は6879億円、前年同期比+12.5%の成長となっている。2015年の第4四半期であれば、10.9%であったことから、再加速をしているとした。大きな要因としては、スーパーポイントアッププログラム、そして品質向上の取り組みが奏功している。
スーパーポイントアッププログラムは、楽天のエコシステムを活用した新たなプログラム。内容としては、楽天カードやアプリなどを使うことで、楽天市場のポイントが貯まりやすく、ユーザーに対してきちんとそれを還元していくというものだ。一過性のキャンペーンではなく、ポイントプログラムとして取り組んでいる点を同社は強く押す。この効果として、一つは新規・復活ユーザーの増加、もう一つはライトユーザーからの流通総額の増加。そして、中有長期的な流通総額への自信だとした。
ここで触れた復帰ユーザーとは過去1年以上、購入のなかったお客様。実際、このプログラムによって、これらの層が増加している。また、新規・復活ユーザー数の成長率(前年同期比)が改善 (15年Q1から16年Q1) されており、+11.6ptとなっている。
さらに、同社が強化しているアプリ経由での流入も増えており、今期は+110.8%となっている。増加だけではない。モバイルアプリ月間アクティブユーザーにおける デイリーアクティブユーザーの比率 (2016年3月) 、要はどの程度のユーザーが長くアクティブに使っているのか、というデータだが、も増えており、Yahoo!JAPANが21.5%で、Amazonが20.5%というのに対して、楽天は27.4%となっている。
他にも幾つか好材料があって、楽天カードと市場の親和性が高くなっており、46.4%のユーザーが楽天カードのユーザーとなっているなどの報告も見られた。
顧客満足度の向上が、流通総額を再加速させ、次へとつなぐ
この会見の冒頭に、同社はNO1 Membership Companyであるとした。楽天会員というメンバーに対しての付加価値を強化していく中で、同社がこれまで培ってきた楽天経済圏をフル活用しようというわけだ。とりわけ、その中において、楽天市場では、ポイントプログラムなどで投資もするけれど、それらの理念と姿勢に伴ったものであるがゆえに、それが減益を呼び起こしたとしても、それは想定の範囲だとしているのだ。現に、それを証明するように、流通総額も、再加速しているというわけだ。
顧客満足度の向上に対する取り組みで、変化は見られる。今後、それがどうじわりじわりと、生きてくるか。お客の心理がどう変わり、楽天にとってどれだけ好材料を招き入れることになるかは、今後、注目したいところだ。