店頭受取と宅配ロッカーは利用されているのか

ECのミカタ編集部

『ネットショッピング実態調査』からわかる物流の今

 皆さんはECサイトを利用し購入した荷物を、自宅以外の場所で受け取ったことがあるだろうか。株式会社ジャストシステム(以下、ジャストシステム)が、マーケティングリサーチに関する情報サイト「Marketing Research Camp(マーケティング・リサーチ・キャンプ)」にて、ネットリサーチサービス「Fastask」を利用し実施した『ネットショッピング実態調査』配送編の結果を発表した。

 この調査は、20代~50代の男女670名を対象にして行われた。

 ジャストシステムの調査によると、ECサイトで購入した商品をコンビニや配送会社の営業所などで「店頭受取」した経験がある人は32.9%であった。

 およそ3人に1人が店頭で商品を受け取ったことがあるという結果となる。なぜ自宅ではなく、店頭受取を希望したのかという問いに対し一番多かった理由としては、「配達員の対応時間内に、自宅で受け取るのが困難」といった声が56.3%と約半数もの人からあがった。

 実際に、東日本旅客鉄道(JR東日本)とヤマト運輸株式会社(以下、ヤマト運輸)の調査によると、駅の宅配ロッカー利用者が荷物を引き取りにくる時間帯として最もひとけが多かったのは、宅配業者が業務を終えている21時以降なのだとか。

 そのような調査結果が存在するにも関わらず、直近1年以内にECサイトを利用した人の意識としては、面白いことにそのうち81.9%もの人が「指定した配達日時に荷物の受け取りができるよう心がけている」と答えたのだ。

 しかし、実際のところ、国土交通省の調査によると、2015年に国内で動いた宅配便の数が36億個なのに対し、このうち2割の荷物が一度の配達では完了せずに再配達の対象となった。再配達の現状は、利用者の意識とミスマッチであることがわかる。

物流業界、新たな施策”宅配ロッカー”の課題

 利用者の意識とは裏腹に、再配達というのは、起こるべくして起こっていると言える。だからこそ、物流業界は利用者に寄り添った対策を考えなければならない。そこで、最近になって各社が導入を急いでいるのが”宅配ロッカー”なのだ。

 その宅配ロッカーについて、直近1年以内にECサイトで買い物をした人のうち、注文した商品の受取専用ロッカーを「利用したことがある」人は7.5%、「知っている」人は48.8%であったとのこと。店頭での荷物受取に対し、宅配ロッカーでの荷物受取を利用する人は、その存在を認知しているものの、かなり少ない。

 調査回答者は宅配ロッカーに対して、「他者にロッカーを開けられてしまわないようにしてほしい」(42.5%)、「衛生面に配慮してほしい」(31.5%)というような要望を持っており、セキュリティー面や衛生面での気がかりがあるために、あと一歩、宅配ロッカーを利用するまでに至らないのかもしれない。

”再配達”は社会全体の問題

 調査回答者は「今後、宅配ロッカーがどこに設置されたら使ってみたいか」といった問いについて、「コンビニ」(41.5%)が最も多く、次に「駅」(24.4%)、「スーパー」(21.7%)と回答した。24時間営業しているコンビニに宅配ロッカーが設置されれば、利用者は配達荷物を受け取る時間を全く気にする必要がなくなる。

 そしてなにより、配達員が何度も不在であった届け先に訪問する必要がないため、配達員の負担を減らせるということだけではなく、CO2の削減から環境面への配慮が行えること、道路の混雑が緩和されること、それに伴い交通事故も減ることなど、社会的な面からも様々な改善が期待できる。

 再配達は、物流業界だけの問題ではなく、社会全体で考えていかなければならない問題なのだ。今はまだ、利用者の少ない宅配ロッカーについても、5年経てば利用することが当たり前になってくるのかもしれない。日々進化することで創造される物流の未来は、私達にとっても無視できないものなのではないだろうか。


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