注目の越境EC市場「フィリピン」最新情報まとめ

ECのミカタ編集部

 越境EC市場として注目されている国と言えば、どの国が思い浮かぶだろうか。アメリカや中国は定番になりつつあるものの、実はASEANも市場成長が著しく、見逃せない地域となってきている。

 しかしそうは言っても、実際にどのくらいの成長を遂げている市場なのか、また、日本のEC事業者が参入できるチャンスはどのくらいあるのかといった最新の情報を得ることは、なかなか難しい。

 そこで今回、ECのミカタはASEANの中でも大きな成長を見せている「フィリピン共和国」へと向かい、フィリピンがEC市場において具体的にどのような発展を見せているのか、最新情報を入手した。

【プロローグ】海外視察に行ってみた!海外ぷるるん放浪記
https://ecnomikata.com/column/9241/

【第1回】海外ぷるるん放浪記inフィリピン(市場調査)
https://ecnomikata.com/column/9242/

【第2回】海外ぷるるん放浪記inフィリピン(EC市場)
https://ecnomikata.com/column/9244/

経済成長率が6%越え「メトロマニラ」

 フィリピンは、マニラを首都とした7,109の島々から成り立っている島国であり、日本のおよそ8割である299,404平方キロメートルの面積をもつ。

 また、首都マニラを中心としたフィリピンの政治・経済・情報・文化等が集まる地域群を、「メトロマニラ」 と呼んでいる。

 メトロマニラには、フィリピン全体の人口約1億人(2014年時点)のうちの約2200万人が集中しており、世界第五位の大都市圏 を形成している。

 私が勝手にイメージしていたフィリピンは、もう少しリゾートチックな国であったが、実はメトロマニラのような大都市圏が存在し、経済成長率も2012年以降毎年6%を超えている のだ。
 
 ”経済成長率が毎年6%超え”と言われても、あまりピンとこない人もいるかもしれない。以下のグラフを見てほしい。

「日本の経済成長率の推移」(引用:世界経済のネタ帳)

 このグラフは、日本の経済成長率の推移を表している。最も大きな伸びを見せているのは、1988年の7.15%だ。それ以降から現在に至るまで7%を超えることはなく、過去5年間に関しても-0.03~1.74の間で増減を繰り返しており、安定していないことがよくわかる。

 これに比べフィリピンは、2012年から毎年安定して6%の成長率を維持しており、もちろん”発展途上国”であることが関係してくるものの、それでもいかに今注目すべき市場であるかが理解できるはずだ。フィリピンの詳しい経済成長率及びGDPを知りたい方はこちらから確認していただきたい。(https://goo.gl/Xzc3JC)

 フィリピンが新たな経済市場として注目される理由は、安定した経済成長率を見れば納得することができるが、実は更に越境EC市場として注目される秘密がある。それは、フィリピンの国民性だ。

越境ECのカギ、フィリピンの国民性は?

 中国には「簡単に情報を信じない国民」が多いため、「ECにも慎重」という傾向がみられるなど、国民性というのはECに大きな影響をもたらしている。

 フィリピンはというと、大きく分けて3つの国民性が見られる。

①浪費家が多い
 フィリピンの国民には浪費家が多く、貯蓄が少ない傾向にあるどころか、会社に給与の前借りを申請する人も多いのだとか。そのため、メトロマニラの中心部でクレジットカードが段々と普及してきている にも関わらず、破綻してしまうのではないか?と不安視される声もある。しかし、こうした国民の”購買意欲”は、EC業界にとっては大きなチャンスへとつながるのではないだろうか。

②仲間意識が強く寂しがり屋
 ファミリー意識が強く、寂しがり屋が多い。そのため、友人同士で”お揃い”の商品を揃えるなどの購買行動が期待できたり、食事も必ず複数人でするため、日本の外食産業の参入が大きく伸びている。

フィリピンの富士そば

③親日
 フィリピンの国民は日本の商品に対して、「品質が高く安全である」という非常に良いイメージを持っている。それは、②でも紹介したように、日本の外食産業が現地で売上を伸ばしていることからも言えるだろう。

 このようにフィリピンの国民性には、これからフィリピンが越境EC市場としてまだまだ伸びていく可能性を大いに感じられるポイントがいくつもある。
 
 越境EC参入を成功させるためのカギとなる”国民性”を抑えたところで、実際にECに関わる現地のインフラ環境はどのようになっているのだろうか。そのまとめ一覧は次のページで公開。

フィリピンのインフラ事情とCtoCから見る可能性

 フィリピンは、元々1898年~1946年までアメリカに統治されていた歴史があり、その影響でほとんどの国民がフィリピン言語のひとつであるタガログ語と英語のバイリンガルなのだ。そして、その発音の美しさには定評があり、世界からオフシュア開発の場としても注目されている。

 また、東南アジアの中で比較しても識字率が93.9% と高く、英語でのコールセンター事業の展開や、BPO産業が全就業人口の約55%を占めるなど、 世界有数のBPO産業国としても発展している。

 現地のインフラ環境について、インターネット接続でいえば高額なパソコンよりもスマートフォンを利用されることが多いので、インターネットでビジネスを展開している事業者は、 SNS広告やリスティング広告を実施して集客を行っている。

 その他、「現地の物流機能は整っているのか」「決済事情はどうなのか」等、こちらで紹介しているので是非目を通していただきたい。(https://goo.gl/6ef6ci)

【EC通販に関わるインフラ状況】(上図)詳しくはこちら⇒http://ecnomikata.com/knowhow/detail.php?id=9709

 そして、上の【EC通販に関わるインフラ状況】の図の中で「EC通販の種別」について説明しているが、身近な人からモノを購入できる”CtoCモール”がフィリピンの国民にとってウケが良い。

 というのも、日本ではBtoCが既に当たり前であるためにあまり実感がわかないかもしれないが、相手の顔が見えない・よくわからないところから商品を購入するECは、実はフィリピンの国民にとってハードルが高い。

 いや、フィリピンだけでなく、思えば、ECの始まりも、CtoCの「Yahoo!オークション」 がアメリカで広まったことからであり、また、越境EC市場としては一番盛り上がりを見せているといっても過言ではない中国でも、CtoC「淘宝網(タオバオワン)」 が2年という短い期間で中国のオンラインショッピング市場を制覇した。

 最近になって注目され始めたと思われていた「CtoC市場」 が、実はECの始まりを作っていたのだ。

 そして今、フィリピンがCtoCを始めとして着々とEC市場をカタチづくっていることには、フィリピンにおけるEC市場の更なる発展を期待せざるを得ない。

 積極的にフィリピンへと参入したいと考えている日本のEC事業者は、是非 下記関連リンクからフィリピンの最新情報を入手していただきたい。フィリピンのEC市場が完成してしまう前に挑戦し、1からビジネスを確立させることが大きなチャンスとなるのではないだろうか。


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