国民生活センター、テレビショッピングに関する注意喚起
独立行政法人国民生活センター(以下、国民生活センター)は2025年9月3日、全国の消費生活センターに寄せられた「テレビショッピングに関わる消費者トラブル」を紹介し、消費者への注意を喚起した。
テレビショッピングに関するトラブルを紹介
国民生活センターの発表によれば、2024年度に全国の消費生活センターに寄せられた「テレビショッピングに関する消費者トラブル」の相談件数は8705件。契約当事者を年代別にみると、70歳以上の相談が全体の約8割弱を占めているという。
テレビショッピングに関する相談件数とそのうち契約当事者が70歳以上の占める割合(相談件数等は2025年7月31日までのPIO-NET登録分。消費生活センター等からの経由相談は含まれていない)
◎出典:テレビショッピングにかかる消費者トラブル(独立行政法人国民生活センター)
同センターでは今回、テレビショッピングにかかる消費者トラブルのケースとして、以下のような事例を紹介している。
◆テレビショッピングでマッサージ器を購入したが…
先週、高齢の母がテレビショッピングで紹介されているマッサージ器を見て電話で注文した。さっそく使ってみたところ、叩く力が強すぎて使えないと感じたようだ。母はすぐに事業者に「返品したい」と電話で連絡したが、事業者は「通電した商品の返品はできない。注文時の電話でも説明している」と言い、返品に応じなかったようだ。使えないのであれば返品したい。(80歳代 女性)
◆テレビショッピングでポータブルバッテリーを購入したが…
テレビショッピングで太陽光で発電させるポータブルバッテリーが紹介されていた。定価は8万円だが、約7万円で販売されていたので電話で注文した。しかし冷静になると、高額だし必要ないと思った。電話をかけてキャンセルしたいと伝えたところ、「キャンセルできない商品だ」と断られた。返品できないということは、テレビ広告内でも書かれていなかったように思う。また、電話をかけた時にも説明を受けていないように思う。まだ受け取っていないので解約したい。(80歳代 女性)
クーリング・オフ適用外の可能性も解説
テレビショッピングに関する相談について、「マッサージ器の力が強く使用できない」「衣類のサイズが合わないため使用できない」等、使用感やサイズが合わないため使用できないといった相談も確認されているという。
国民生活センターでは、テレビショッピングは基本的に通信販売に当たるため、クーリング・オフの適用はないと指摘(※1)。返品特約がない場合には、商品を受け取った日から8日以内であれば解約が可能だが、テレビ広告において返品特約が適正に示されていた場合には、返品・解約の条件はその特約に基づく、と続ける。
そのため、「テレビショッピングを利用する際は、このような特徴を踏まえ、テレビ広告の情報だけではなく、商品の使用感やサイズ等について電話口でもよく確認したうえで購入するようにしましょう」と注意を促した。
誤解を生まないような表示対応が求められる
また、同日に国民生活センターは「65歳以上の消費生活相談の状況」も発表。
2024年度の販売方法・手口別の相談件数を契約当事者65歳以上と65歳未満で比較したところ、いずれも「インターネット通販」や「定期購入」に関する相談が多くなった(※2)。また、65歳以上では「点検商法」「テレビショッピング」に関する相談が10位以内に現れる。
◆販売方法・手口別の相談件数《2024年度》上位10位
◎出典:2024年度 65歳以上の消費生活相談の状況(独立行政法人国民生活センター)
テレビショッピングに限らず、EC事業者は全ての顧客にわかりやすい記載を心がけ、誤解を招かない表示対応を行うことが求められる。さらに、今回紹介されている事例のような相談が発生した際には、顧客に寄り添った柔軟かつ適切な対応を心がけたい。
※1: テレビ広告内で定期購入に関する記載がなく、注文時の電話で定期購入を勧誘された場合等は電話勧誘販売に該当しクーリング・オフできる場合がある。
※2:1件の相談に複数の販売方法・手口が含まれる場合は、各々に対し1件ずつカウント。「インターネット通販」「家庭訪販」「電話勧誘販売」「代引配達」「テレビショッピング」は、販売方法に問題があるとカウントされたもののみを対象に集計。また「インターネット通販」「定期購入」は、販売購入形態が「通信販売」以外のものも含めて集計