新たなEC運用形態のスタンダードPaaS、EC業務特化型「Commerble EC PaaS」とは
「PaaS」というスタンダード
進化速度の著しいEC業界で複雑化していくソリューションの数々…。抱えている課題もアウトラインがぼやけてしまい、何がいけないのか分からないまま日々の業務に追われてしまう事業者様も多くいらっしゃることだろう。本当にこんなにコストがかかるものなの?というブラックボックスが、もしかしたら自社内に存在するかもしれない。
今回は、「今後ECの新しいスタンダードな利用形態になっていく」と言われる「PaaS」について、EC業務特化型「Commerble EC PaaS」の提供を行う株式会社Commerbleの代表取締役である橋本圭一氏に、ショップの価値を高め続けるための選択肢「PaaS」についてお話を伺った。
必然的需要から生まれたプロダクト
――まずは、完全に理解されていない方も多くいらっしゃると思いますので、クラウドということでIaaS、PaaS、SaaSについてご説明お願い致します。
○IaaSというのは、サーバーやネットワーク機器、電源空調など含むいわゆるインフラの部分になります。PaaSはその上の、OSやミドルウェアなどプラットフォームの部分も加わったもの。SaaSはASPとほぼ同じ意味で、PaaSの上にアプリケーションまで搭載されたものです。ざっくりイメージで説明するとこのようなかたちではないでしょうか。
――三段階なんですね。一番下にインフラがあって、真ん中にプラットフォームがあって、一番上にアプリケーションがあるイメージですか?インフラだけのものがIaaS、インフラの上にプラットフォームが乗ったものがPaaS、その上にアプリケーションまで設置されているものがSaaS、ASPという?
○大体そのようなイメージです。IaaSの場合、フルスクラッチで開発すると莫大なコストがかかる。SaaSやASPでは同じことしかできないために差別化が難しい。となると、インフラとプラットフォームをクラウドで提供して、ECで重要な「売る」部分と「管理」する部分(アプリケーション)に関する自社固有の仕様だけを自社管理・開発するPaaSが主流になるのは当然の流れだと思います。
我々のプロダクトのメインターゲットは、年商が数億規模かつトランザクションも大量といった大規模な事業者様で、頻繁にシステムをリプレースすることに辟易している方たちです。そういった大規模の事業者様の場合、パッケージを購入しカスタマイズというケースが非常に多いと思うのですが、その場合最大の問題が、パッケージは買った瞬間が完成形で一秒後から陳腐化が始まるという点です。数年間高いコストをかけツギハギ的にカスタマイズしながら使用して、限界がくると乗り捨てなければいけなくなります。高コストなのに使い捨てをしている点だけではなく、本来蓄積されて然るべきのプログラムやノウハウもリプレース時点で全捨てになってしまう。そのような資産的なものを、乗り捨てずに蓄積できるプラットフォームでビジネスができるように、継続してアプリケーションの開発ができる環境が必要となってきます。
――という背景があって、「Commerble EC PaaS」の開発が行われたのですね
従来のスタンダードとの比較
○自社でEC構築の手法として、フルスクラッチ(IaaS)で構築、SaaS(ASP)のレンタル、パッケージ購入でカスタマイズ、など方法がいくつかあります。ですがそれぞれに、莫大なコスト、差別化できない、高額かつ陳腐化する、などの弱点が出てきます。
フルスクラッチ(IaaS)は自社で全てをコントロールできるメリットはあるものの、莫大なコストがかかります。また、サーバーは劣化していくので数年に一度全部置き換えないといけない。さらには本来のEC業務以外にもサーバー等の管理業務も発生し、ここにもコストがかかります。ですので、自社でインフラから全てを所有するというのは賢い選択ではありません。
SaaS(ASP)の利用はスタートしやすいですがカスタマイズがやりにくい。従って他社と同じことしかできず、差別化が図れない。
短期間での導入ができテンプレート的に業務を投入可能な、パッケージのカスタマイズという手法が主流だったのですが、こちらも結局はインフラを自前で持たないといけない。しかもカスタマイズの部分が非常に高額になってきます。そして先程も言ったように、買った瞬間から陳腐化が始まり数年で乗り捨てになってしまう。
となると、インフラやベースになるIaaSに加え、欲しいアプリケーションを自由に開発できるプラットフォームが乗ったPaaSが「いいとこ取り」ということです。「Commerble EC PaaS」は、開発自由度の高いPaaSの中でも、EC運用に最大特化したクラウドサービスです。
インフラを所有しないクラウドという使い方ですから、売上が上がる時期なのにサーバーのパフォーマンス不足で捌けなかったり、チャンスに備え常に高額なインフラ投資をし続けなくてはいけない、という状態からも脱することができます。プラットフォーム部分まで所有せず全てを使用する、つまり、SaaS的な設定の上で開発ができる形で提供できたのは、業界初だと思います。
――EC運用に最大特化とは、具体的にはどのような内容なのですか
○フロント部分がいじりやすいCMSに加え、API連携で自社システムと外部システムの連携ができるので、開発の自由度が非常に高いです。独自IDとの連携、複雑な検索に耐えうる独自検索の実装、基幹システムの連携、POSとの連携などのフロント業務、例えばよく買ってくれる顧客層や新規顧客層などカテゴリ別にユーザープロファイリングができたり。プラットフォーム側で捌くので大量トランザクションにも対応できます。他にも、多店舗連携や在庫同期、コールセンターとの連携などのサービス拡張も可能です。
競合との差別化には、フロント部分で特出した機能の開発は必須です。だからこそ、セキュリティ面など強固なプラットフォームはクラウドまかせにしコストを押さえ、フロント部分にあたる独自機能などを付加してくれるアプリケーションの開発に全力を費やせる環境は、非常にメリットです。
――先程、メインターゲットは年商数億円規模の中~大規模事業者様とうかがいましたが、EC運用特化型である「Commerble EC PaaS」の特性が特に響きやすいポイントとは?
○従来の主流であった「高額パッケージを購入しカスタマイズ」という手法と比べ最大のポイントは、陳腐化していくものを所有するというナンセンスをなくせることです。また、高額なカスタマイズ費用を投資しツギハギしたものを、数年ごとに全て捨ててリプレースを行わなくてはいけなかったストレスを最後の一回に集約できます。提供するPaaSの上で開発をずっと継続していけるので、出した瞬間におしまいではなく、新しい機能は常に出続ける。今までのコンピューターの使い捨てのようなやり方をもうやめて、蓄積を前提とした運用を、というのが一番のメッセージです。
また、初期費用や月額という定額ロイヤリティでなく、1受注180円以下(継続的に値下げしているので以下と表記)の完全重量課金制なので、コストも大幅に下げることができます。フルスクラッチやパッケージ購入と比較すると、それらが10であることに対し、「Commerble EC PaaS」は3前後というコスト感です。ユーザーの増加と共に利用料金も安くなるので、今後随時一受注あたりの単価も見直していく予定です。