JECCICA定例セミナー「越境ECと米国小売業のEC最新情報」

JECCICA定例セミナー開催

一般社団法人ジャパンEコマースコンサルタント協会JECCICA(代表理事:川連一豊 以下、ジェシカ)は、7月17日に都内で定例セミナーイベントを開催した。

ジェシカは、Eコマーススペシャリスト、Eコマースコンサルタントを養成し認定する協会。中立的な立場で、優秀なEコマーススペシャリストとEコマースコンサルタントを養成・認定することを目標に、様々な活動を展開している。発展と成長が著しく、人手不足問題が浮き彫りになっているEC業界において、質の高いコンサルタントや知見の深い人材を多数輩出している。

越境EC最前線

今回のセミナーのテーマは「越境EC」。二部構成で構成される。
第一部セミナーでは、個人向け海外転送サービス「御用聞き屋」、法人向け発送代行サービス「ジーワイロジコム」の運営で越境ECの最前線で日々活躍する、株式会社ワンプラスワン、田中氏が登壇し講義を行う。

「越境EC最前線!1万人の海外セレブは日本の何を買うのか?」と題されたセミナーでは、

1:海外市場のポテンシャル
2:売れ筋商品ケーススタディ
3:得られる示唆

という順を追い、具体的に海外の日本人は何を買っているのか、海外の外国人は何を買っているのか。移り変わる越境ECの最前線における接客と、うまくいくためのコツについて、ノウハウに溢れた内容を展開した。

海外市場のポテンシャルと、広告の出し方の日本と海外の違い、越境ECの史上規模やユーザーの推移など具体的な数字を元に解説し、肌感覚として年々越境ECは倍々ゲームで拡大していると田中氏は語る。

さらには、越境ECというと対外国人を想像しがちであるが、海外に居住している日本人の需要も忘れてはいけないポイントであり、そこも見逃せないと田中氏は喚起する。海外ではなかなか手にする事ができないような、日本国内で日常的に使用するデイリーユース商品なども無視できない位置にあるのではと語る。

「越境ECは特殊な装備が必要だが、ツールは既に揃っている。ポイントはまさに『マーチャンダイジング』であり、商品をどうするのか、というところが重要。売れ筋商品の模索を行うとともに、通常の商行為を海外に向けて行えば良いのではないか」

田中氏はそのように述べ、講義を締めくくった。

「IRCE2015シカゴ」報告会

第二部セミナーでは、JECCICA代表理事である川連一豊氏が登壇する。
EC最新情報として、6月2日~6月5日にかけ米国で開催された「IRCE2015シカゴ」の事例を紹介した。
「IRCE2015シカゴ」は、世界最大のインターネットリテーラーのための勉強会と展示会、スピーカーセッションが行われる4日間。700社以上の展示があり、今回で11回目。日本人の参加も年々多くなっているとのこと。
海外と日本のEC事情には、約半年から一年の誤差があり、つまり米国の最新事例を読み解く事は約半年から一年先の国内EC事情が分かると川連氏は語る。今回、川連氏の感想として、ソーシャル系のソリューションは2年くらいまでは多かったが今年はゼロ、つまり、もはや当たり前になってしまったのでないかという。全体感としてIoTのセッションが主であったと続けた。
当日会場で放送された数々の動画を紹介し、イベントの様子を映像で振り返る。

「IRCE2015シカゴ」3つのポイントとして

•オムニチャネルや越境EC、CRMなんてもう当たり前
•パーソナライゼーション
•ソーシャルコマース?

などに絞り、米国最新のデータを元に、具体的な数字を見ながら紐といていった。

「全体的な感想では、スマホECにおいて米国も日本もまだまだ研究段階だといえます。進化等含め、今後さらに変わってくるのではないか」

川連氏はそのように語った。次回、「IRCE」は2016年の6月7~10日に開催。
旅費等含めると、本日ご紹介した映像など、総制作費約100万円でしたと締めくくり、会場内には笑声が起こった。

総括

越境ECを切り口に、米国EC最新情報がてんこ盛りとなった定例セミナー。個人的には、川連氏が「IRCE2015シカゴ」の会場で見聞きしたという、テクノロジーについての話題が興味深かった。

アパレルショップなどで、「ミュージック×アパレル」のコンセプトの元で展開されている施作の一つに、試着用の服にタグを貼付けておき、試着室に入るとプレイヤーと連動し音楽が流れるというもの。これによりユーザーは、まるでファッションショーを楽しむ感覚で服を選ぶ事ができるということになる。

このような、従来では不可能であったことなどがテクノロジーの進化により、実現可能になる。IoT関連の話題が多くあったという今回の「IRCE2015シカゴ」であるが、ECにも関わってくるであろうテクノロジーの進化なども含め、次回開催の同イベントにも期待が高まる。