Azoop「2025年物流業界10大ニュース」 改正物流2法が1位に
株式会社Azoopは2025年11月13日、「2025年物流業界10大ニュース」を選定した。
「改正物流2法」がランキング1位
本ランキングでは「改正物流2法」が1位となった。
物流業界における労働環境の改善と取引の透明化を図るため、政府は「流通業務総合効率化法」と「貨物自動車運送事業法」を改正。これらは物流の効率化と適正化を目的とした基幹法であり、2025年4月1日から段階的に施行されている。
これまで物流業界では、不透明な取引慣行や多重下請け構造により、実運送事業者の経営が圧迫されてきた。本改正により、こうした長年の課題を是正され、物流全体の適正化と業界の持続可能な発展が期待されている。
法改正や置き配標準化などがランクイン
2位〜5位の概要は以下の通り。
◆2位:トラック事業適正化関連法
トラック事業適正化関連法は2025年6月に成立し、段階的に施行が開始される予定。物流業界の多重下請け構造や不透明な取引を是正するため、運送事業者と荷主双方に対する新しい規制が導入される。
◆3位:日本郵便のコンプライアンス違反
2025年6月、集荷・配達を行う運転手の酒気帯び確認の不備(点呼問題)を指摘され、国土交通省から約2500台のトラック・バンの貨物運送事業許可取り消しの行政処分を受けた。日本郵便はこの処分を受け入れ、該当車両の売却を検討するとともに、業務の約58%を外部の運送会社に委託する方針を決定。
◆4位:公正取引委員会荷主調査・注意喚起
2025年6月24日、公正取引委員会は独占禁止法上の問題につながる行為を行った荷主646社に対し注意喚起を行うことを発表。具体的な事例として、不当な給付内容の変更、支払遅延、買い叩きなど、荷主側が行う不公正な商慣習が列挙されている。
◆5位:置き配の標準化検討
国土交通省は2025年6月26日、ラストマイル配送のあり方に関する有識者会議を開催。小口・多頻度化が急速に進行しており、国土交通省は従来の「対面手渡し」を原則とする商習慣の転換を検討している。
構造的な課題への対応が急務
7位には「運送会社の倒産数リーマンショック以来最大」がランクイン。帝国データバンクの調査によると、2024年度の運送業倒産件数は360件となり、2008年のリーマンショック時(371件)に次ぐ歴史的な高水準に達したという。また、10位には「ドライバーの賃金上昇」も。全日本トラック協会が実施した調査によると、1カ月平均賃金は36万300円で、前年比7.4%の増加となった。年間賞与の1カ月平均額を加えた月額では40万4100円(前年比6.3%増)に達している。
運送業界は、市場規模20兆円という大きなマーケットだ。その一方で、2027年には24万人のドライバー不足が予想されるほか、働き方改革への対応、燃料費の高騰、環境規制の強化など、かつてないほどの変革期を迎えており構造的な課題への対応が急務となっている。
EC事業者としては物流現場の状況を把握しつつ、消費者への呼びかけなど、持続可能な物流構築へ向けた取り組みが求められるだろう。


