6月の飲食料品値上げは1932品目で、昨年比の約3倍に 帝国データバンク調査

  公開日:
最終更新日:

ECのミカタ編集部

「食品主要195社」価格改定動向調査 ― 2025年6月

株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は、2025年6月以降における食品の値上げ動向と展望・見通しについて分析を行い、5月30日に公表。同調査によれば主要食品メーカー195社における、家庭用を中心とした6月の飲食料品値上げは1932品目で、2024年6月の623品目から約3倍に増加しているという。

調査概要

品目数および値上げは、各社発表に基づく。また、年内に複数回値上げを行った品目は、それぞれ別品目としてカウント。値上げ率は発表時点における最大値を採用した。なお、価格据え置き・内容量減による「実質値上げ」も対象に含む。

◆調査機関:株式会社帝国データバンク
◆出典:「食品主要195社」価格改定動向調査―2025年6月 (株式会社帝国データバンク)

6カ月連続で前年同月を上回る

主要な食品メーカー195社における、家庭用を中心とした6月の飲食料品値上げは1932品目、値上げ1回あたりの平均値上げ率は14%となった。

前年6月(623品目)から1309品目・+210.1%と約3倍に急増し、単月の値上げ品目数としては2カ月ぶりに1000品目を突破。

また、1月以降6カ月連続で前年同月を上回り、連続増加期間としては記録的な値上げラッシュの1年となった2023年6月以来、2年ぶりの長さとなっているという。

「調味料」分野の値上げが最多に

2025年6月の値上げを食品分野別に集計すると、カレールウなど香辛料のほか、だし製品などを中心とした「調味料」(962品目)が最多に。

「加工食品」(755品目)では、即席めんのほか、不作により供給量が大幅に減少している海苔製品、コメ高騰を背景としたパックごはんの値上げが目立つ。「乳製品」(106品目)は、乳価改定の影響を受けて加工乳やヨーグルトなど発酵乳、クリームなどの製品が中心となった。

また、「酒類・飲料」(3485品目)は、清涼飲料水に加え、原料米の価格上昇で清酒製品が約2年ぶりに値上げとなり、2023年以来2年ぶりに3000品目を超えた。2025年における飲食料品値上げの勢いは前年に比べて強い状態が続いている。

年間累計で2万品目を超える可能性

今後の見通しについてTDBは「2025年の値上げは、年間累計では2023年以来、2年ぶりに年間2万品目を超える可能性が高いとみられる。また、今後の動向次第では飲食料品の値上げラッシュが本格化した2022年(2万5768品目)に並ぶ水準に到達する可能性がある」と予測している。

また、近時はコメ品薄の影響による食品の値上げが目立ち、原料米の価格高騰に由来する値上げは、2025年6月実施分のうち概算で100品目を超え、約6%を占めた。コメ以外にも、世界的な天候不順による供給量の不安定化や、円安による輸入コストの上振れといった要因もあり、原材料高による値上がりは当分継続する可能性が高いとみられるとも。

電気・ガスなどエネルギーコスト増による値上げで再燃の兆しもみられるなど、値上げ要因は多様化・複合化が一層進んでおり、飲食料品メーカーでは内容量の減量による実質値上げを含め、当面は難しい価格設定の判断を迫られる状況が続くと想定した。引き続き市場動向に注視しつつ、消費者に対して適切なアナウンスを行っていきたい。