二次流通を活用した「対流消費」が顕在化 博報堂調査
博報堂生活総合研究所(以下、生活総研)は2025年9月11日、2019年から6年ぶりとなる「消費調査」の結果を公表した。
現代の消費スタイルは「対流消費」
「売る・あげる」についての消費意識については、2019年と2025年のスコアの差分ランキングTOP5の1位の「ものを手放すと、新たなものが欲しくなる(’19年42.2%→’25年51.8%)」や、2位の「ものが中古品として売れると、その売上金で買い物をしたくなる(’19年40.1%→’25年49.3%)」などが6年前から増加。ものを手放すことによって、新たな購入意欲が高まる生活者が半数近くを占めた。
「買う」についての消費意識では、1位は「他人のSNS投稿を見ると、買いたい気持ちが高まる(’19年26.0%→’25年37.2%)」、2位は「実際に買わなくても、誰かが投稿した写真や動画を見るだけで欲しい気持ちが満たされる(’19年19.4%→’25年30.2%)」となった。
こうした「売ると買う」や「自分と他者」がつながり、新しい消費欲求が生まれて循環していく現代の消費スタイルを、生活総研は「対流消費」と名づけた。
売る時のことまで意識した行動
「売る・あげる」項目において’25年、単年のスコアで若者(10〜20代)の方が全体より特に高くなっている項目は、「ものを捨てることなく誰かにもらってもらえるとうれしい(全体:42.8%、若者:66.5%)」「ものを手放す時には、大切にしてくれる人に売ったりあげたりしたい(全体:46.5%、若者:65.4%)」「買ったものの価値が下がらないようにものを大事に扱う(全体:29.6%、若者:57.9%)」などがあげられた。
所有物を手放す際に捨てるのではなく他者に使ってもらいたいという意識や、購入品を使う際に売るときのことを意識した行動をとっている様子がうかがえる。
他社の情報で欲求が左右される
「買う」項目では、2019年との差分でみても、若者の方が全体よりも変化幅が大きい項目が多くなっている。
特に「ネットでの買い物で、欲しいものリストや買い物カゴにいれただけで買った気持ちになる(全体:+10.5pt、若者:+15.6pt)」「実際に買わなくても、誰かが投稿した写真や動画を見るだけで欲しい気持ちが満たされる(全体:+10.8pt、若者:+15.3pt)」などの差分が若者で大きくなった。
経年変化の観点でも、他者が何を買うのかという情報で自分の欲求が左右される若者が増えていることがうかがえる。
インターネットやSNSを中心とした情報量の増大や、フリマアプリや中古ショップなどの二次流通市場の拡大・浸透が続いている。そうした背景がある中でで本調査結果からは、所有物を二次流通で売ることで新たな購買意欲が生まれたり、他者の消費行為が自分の欲求を代替したり、購買スタイルに影響を与えていることが明らかになった。
特に「対流消費」という新たな消費スタイルは、若者世代において顕著に現れている。本調査を参考に、現在の消費者トレンドに適した販売やマーケティングを検討したい。
調査概要
◆2025年調査
▷調査地域:全国
▷調査手法:インターネット調査
▷調査対象:15〜69歳の男女
▷調査人数:5000人
▷調査時期:2025年3月21日~3月25日
▷企画分析:博報堂生活総合研究所
▷実査集計:QO株式会社(旧、株式会社H.Mマーケティングリサーチ)
▷調査地域:全国
▷調査手法:インターネット調査
▷調査対象:15〜69歳の男女
▷調査人数:1万人
▷調査時期:2019年5月28日~6月1日
▷企画分析:博報堂生活総合研究所
▷実査集計:株式会社 H.Mマーケティングリサーチ(現、QO株式会社)
◆出典:博報堂生活総合研究所 「消費調査」2019年-2025年変化の結果を発表(株式会社博報堂)