若手社長比率が高い業種、2位に「無店舗小売業」 TSR調査
株式会社東京商工リサーチ(以下、TSR)は2025年11月8日、「若手社長」に関する動向調査の結果を公表した。
※東京商工リサーチの企業データベース(約440万社)から代表者の年齢別に企業データを抽出し、分析。「社長」は、代表取締役のほか、個人事業主や理事長などを含む。なお、本記事では、「若手社長」を40歳未満の社長と定義している。
若手社長の比率トップは「情報通信業」
2025年9月末時点のデータで、産業別に社長の年齢構成比を算出。「若手社長」比率が最も高い産業は、情報通信業で7.8%となった。
情報通信業は10産業で唯一「60歳以上」が半数を切り、代表者の若手比率が高い。

※画像元:年代別業績 40代未満の経営者が増収率トップ 「若手社長」比率は、1位東京都、2位徳島県(株式会社東京商工リサーチ)
TSRはこの結果について、「情報通信業はインターネットサービス、アプリ開発、ソフトウェア開発などが中心で、小資本でも創業可能なことから新規参入が多い。若い経営者が続々と参入し、事業を成長させているが、ニーズや技術の変遷が激しく新陳代謝が活発な産業でもある」と分析。
また「柔軟な発想で新しいニーズを察知し、クライアントを獲得することが重要になっている」と続けた。
「無店舗小売業」は2位にランクイン
産業を細分化した業種(中分類)別では、ネットサービス・アプリケーションの運営などの「インターネット附随サービス業」(情報通信業)が19.5%で突出している。SaaSや音楽や動画の配信サービス運営など、多種多様なインターネットサービスが日々生み出され、「若手社長」がシェア拡大を狙う。
TSRはこの点について、「大手も参入する激戦領域から、まだ競合が少ないニッチな領域まで、ニーズが多岐にわたることで若い経営者の新しい発想が生かされやすいためとみられる」と分析。
また、ネット通販などの「無店舗小売業」が10.2%で2位にランクイン。ソフトウェア受託開発などの「情報サービス業」が8.1%、「職業紹介・労働者派遣業」が6.8%で上位に並んだ。
※画像元:年代別業績 40代未満の経営者が増収率トップ 「若手社長」比率は、1位東京都、2位徳島県(株式会社東京商工リサーチ)
若手社長比率、2位に徳島県
都道府県別で、最も「若手社長」比率が高かったのは東京都。3.6%と唯一3%を上回り、次いで「徳島県」が2.9%と続く。
TSRは徳島県について「行政主導でブロードバンド環境をいち早く整備するなど、情報関連が強い地域性も背中を押している可能性がある」と分析している。
※画像元:年代別業績 40代未満の経営者が増収率トップ 「若手社長」比率は、1位東京都、2位徳島県(株式会社東京商工リサーチ)
本調査により、ECに関連する「インターネット附随サービス業」「無店舗小売業」「情報サービス業」で、代表者の若手比率が高いことが明らかになった。
同社は、「社長の高齢化が進むが、情報通信業などを中心に『若手社長』が市場シェアを広げ、事業を大きく成長させている。増収・増益企業率では、社長が若いほど業績を伸ばしている企業が多く、過去の成功体験や価値観にとらわれない柔軟な思考、新しい視点が企業を成長させる重要なキーワードになっている」とコメントしている。
EC事業者としても変化の激しい市場動向を見据え、アンテナを広く張りながらアップデートしていくことが求められるだろう。


