ebay、2025年第3四半期の越境ECレポート発表 「デミニミス・ルール」撤廃で大きな転換期

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ECのミカタ編集部

「#japaneseebay」で海外の Z 世代が注目、日本の良質な商品が世界へ 関税の不安を解消、安心して買える越境 EC の”新配送スタンダード”を提唱

eBayにおける日本セラーの越境ECを支援するイーベイ・ジャパン株式会社が、2025年第3四半期(7月〜9月)の期間に日本のセラー(販売者)から出品されたアイテムの販売動向を発表した。

真贋鑑定による安心感や品質の高さが支持

第3四半期は、日本のセラーと海外の若年層バイヤーとのつながりが一段と広がった期間となった。

TikTokでは「#japaneseebay」が急上昇し、Z世代が日本の中古バッグを購入・紹介する動画が拡散。真贋鑑定による安心感や日本らしい品質の高さが支持され、eBayが若者の間で注目を集めている。

トレーディングカード市場でもポケモンやワンピースなどが人気を牽引。日本のカルチャーやPre-loved(プリラブド)商材に触れる若年層が増加している。

※画像元:イーベイ・ジャパン「2025年 第3四半期 越境ECレポート」を公開(イーベイ・ジャパン株式会社)

「デミニミス・ルール」撤廃で大きな転換期

一方、米国では800ドル以下の輸入品を免税としてきた「デミニミス・ルール」が撤廃され、全輸入品に関税が適用される新制度が開始。これにより、「後から関税を請求されるかも」という不安や、通関・受け取り時のトラブルが発生。購入をためらうケースや、取引途中でのキャンセルといった課題が浮上している。

イーベイ・ジャパンはこうした課題に対し、米国向け取引での「DDP(関税込み配送)(※1)」の必須化を進め、10月の施行に向けたサポート体制を強化。
同社は本件について、「DDPの導入は、価格調整や物流オペレーションの見直しなどの負担をセラーに課すものの、購入時点で支払い総額が明確になることで、バイヤーの安心感と再購入意欲を高める、双方にとってメリットのある”新たな配送のスタンダード”となるでしょう」とコメントする。

加えて、米国制度変更を機に、欧州やオーストラリア、アジアなど非米国地域への販売も拡大。多くの日本セラーは販路の多極化を進め、安定的な成長に向けた転換期を迎えていると分析した。

「デミニミス・ルール」撤廃による駆け込み需要が発生

2025年第3四半期(7月〜9月)の売れ筋商品の詳細について、以下で確認していく。

◆トレーディングカード
第1四半期と第2四半期に続き、第3四半期も前年同期比約2.35倍と勢いがさらに高まっている。特に、来年30周年を迎えるポケモンカードが引き続きカテゴリーを牽引した。

◆デジタルカメラ/カメラレンズ&フィルター
円安の影響と「デミニミス・ルール」撤廃を前にした駆け込み需要が重なり、日本から海外へのカメラレンズ輸出が急増した。

◆レディース アパレル&バッグ ブランド小物
「デミニミス・ルール」撤廃の8月下旬をターゲットにアパレルやスニーカーの駆け込み需要が見受けられた。無料で真贋鑑定を行い、認証された商品のみをバイヤーに届ける「真贋保証サービス」の認知度も浸透し、高額商品では、前年同期比約1.5倍の出品数増加となった。

※画像元:イーベイ・ジャパン「2025年 第3四半期 越境ECレポート」を公開(イーベイ・ジャパン株式会社)

イーベイ・ジャパンは今後について、「越境ECを取り巻く制度環境が急速に変化する中にあっても、すべてのセラーが持続的かつ安定的にビジネスを展開できるよう、公式ツールの強化、制度対応に関する実務的支援、そして市場動向に基づいたインサイトの提供を通じて、引き続き全力で支援を行ってまいります」とコメントしている。

「デミニミス・ルール」撤廃により、越境ECを取り巻く環境は急速に変化している。常に最新の情報を注視しつつ、柔軟な対応を心がけたい。

※1:Delivered Duty Paid の略。関税・税金がセラー側で処理される配送方式。バイヤー側の費用支払いは不要。