シニア世代「健康食品」への物価高の影響は限定的 電通ダイレクト調査

最終更新日:

ECのミカタ編集部

【電通ダイレクト】シニア世代の健康食品市場における購買動向の調査分析レポートを公表

株式会社電通ダイレクトはダイレクト広告の成果最大化を目指し、ダイレクトマーケティング領域の分析ラボを設立。その第1弾として、健康食品市場の購買動向を分析したレポートを公開した。

調査概要

◆調査手法:インターネット調査
◆調査機関:株式会社ネオマーケティング
◆調査時期:2025年6月2日~6月3日
◆調査対象:全国の50代以上の男女で、健康食品を自分で購入し、使用している人
サンプル数:600ss
※本調査のスクリーニング調査では2142ssを対象としている。
◆調査元:電通ダイレクト調べ
◆出典:健康食品市場の購買動向を分析したレポート(株式会社電通ダイレクト)

健康食品はシニアにとって「必需品」

滋養強壮・肝機能改善・美容エイジングケアなど、健康食品・サプリメントの機能別全20カテゴリーを対象に、利用状況を調査した。

現在、健康食品・サプリメントを利用している人に2024年と比較して、2025年の健康食品・サプリメントへの支出額の変化の有無を質問。過半数が全20カテゴリー中、19カテゴリーにおいて「支出に変化がない」と回答した。

また、大半のカテゴリーで「3年以上継続利用している」と回答した人が50%以上を占めた。一度、生活に定着した健康食品は家計が厳しい状況でも購入が続けられることから、「(健康食品・サプリメントは)『必需品』と考えられている可能性が考えられる」と電通ダイレクトは分析している。

健康食品の継続は「効果の実感」がポイント

健康食品の利用を中止した理由をたずねた項目では「効果が実感できなかったから」が58.4%で最多だった。「物価高で出費を抑えたかったから(16.9%)」や「物価高により購入を続けるのが難しかったから(13.2%)」を大きく上回った。

シニア層は価格以上に「価値=効果実感」をシビアに判断していると推測される。

シニアを6タイプに分類

電通ダイレクトは独自のクラスター分析により、健康食品を購入するシニアを6つのタイプに分類。

同社は、通販事業者が特に注目すべき点として、ターゲットボリュームが大きい「健康賢者型 健康長寿予防層」と、月平均支出額が全体平均の約1.8倍である「健康投資型 情報収集アクティブ層」を取り上げた。

電通ダイレクトは本調査結果を踏まえ、次のように考察している。

「シニアの健康食品市場は、単なる価格競争ではなく『いかに信頼を勝ち取り、効果を実感していただくか』という本質的な価値競争のフェーズに入ったことが明確になりました。また、顧客像の解像度を上げ、例えば『健康投資型』のような優良顧客層に合わせたコミュニケーションを設計するなど、それぞれの顧客に対して施策を最適化することが、今後の事業成長に不可欠です」

消費者の財布の紐が固くなっている今、衝動買いは期待できない。だからこそ、オフラインでの認知からオンラインでの深い理解、そして信頼できるクチコミの醸成まで一貫した顧客体験のデザインが求められている。本調査結果を参考に、今後のマーケティング施策を検討したい。