迷うユーザーをCVRにつなげる5つのステップとは?

福島 れい

ECのミカタセミナーフェア開催!

 2016年7月27日に開催した「ECのミカタセミナーフェア ~単品リピート通販ノウハウ~」より、今回はパート2として「多様化する選択肢に迷う顧客を誘導して売上を伸ばす方法」について、「株式会社リスティングプラス」と「ピコもん株式会社」2社の講演からお伝えする。

 インターネット上にはECサイトや商品情報、コンテンツなど多様な選択肢がある。選択肢が多いというのは良いことのように聞こえるのだが、迷った末に何のアクションもとらないお客様も多いと言われている。それならば、ある程度選択肢を限定し、導いてあげることで購入につなげようというのがここでのテーマだ。

パート1では基調講演に登壇した「世田谷自然食品」と「スタークス」からOne to One接客が導くリピート購入についてまとめています。

リタゲ広告を成功に導く5つのポイント

リタゲ広告を成功に導く5つのポイント

 1度はサイトを訪れたものの、購入には至らなかったお客様というのは、購入に至ったお客様よりはるかに多く存在する。こうしたお客様をもう1度サイトに導くのは、全く新しいお客様をサイトに導くよりも成功しやすいといわれている。1度サイトに訪れたお客様に再訪問を促す際に有効といわれているのが「リターゲティング広告」だ。そんなリターゲティング広告の効果を高める方法として、株式会社リスティングプラスの高橋 憲一郎氏は5つのポイントを説明した。

 そもそもリターゲティング広告とは、”WEB全体から広告主のサイトにアクセスしたことのあるユーザーに対してターゲティングする広告”のことで、”サイトリターゲティング”、”リマーケティング”などとも呼ばれるものだ。その効果は高く、とあるECサイトでは、全CVRのうち30%がリターゲティング広告からの流入だったとの実績も上がっている。

 では、高橋氏が語るリターゲティング広告の効果を高める5つのポイントを見ていこう。

 まず、ポイント1:訪問したサイトごとにユーザーリストを分けて調整すること。これは、ページやサイトによってパフォーマンスが異なることを考慮した対応になる。ある程度、広告の配信ボリュームが出てきたところで、ページやサイトごとに訪れたユーザーをリスト化するのだ。キャンペーンごとにリストを分ける方法もあるが、複雑になりがちなためあまりお薦めしないとのこと。こうしてできたユーザーリストに対し、パフォーマンスの高いところから予算をかけていくことでより効果の高い運用ができるのだ。

 ポイント2:サイト訪問からの期間別に分けて配信。商材にもよるが、”鉄は熱いうちに打て”が鉄則とのこと。サイト訪問からの期間ごとに分け、細かな単価調整をしていくことで効果を高めるのだ。高橋氏によれば、リターゲティング広告で獲得が見込めるのは30日間程度、特に効果が高いのは1週間以内。

 ポイント3:類似リターゲティング広告を活用する。これは新規ユーザーに対するアプローチだ。しかし、すでにリターゲティングに使用しているユーザーリストの情報に類似したユーザーをターゲットとするため、獲得確率が高まるのだそう。

 ポイント4:動画視聴ユーザーを対象としたリターゲティング。リターゲティング広告というとサイト訪問の印象が強いが、動画コンテンツを視聴したユーザーに対する配信においても高い効果が見込めるのだという。動画コンテンツを活用している企業ではぜひ活用すべきだと強調した。

 ポイント5:Googleアナリティクスを活用したリターゲティング配信。Googleアナリティクスから抽出したユーザーリストでは、「オーガニック経由」「リピート2回以上」「カートで離脱」「3分以上滞在」など様々なユーザーセグメントができる。これを活用し、獲得するユーザーを限定することでCVRが高まるのだ。

 以上、講演内で紹介された5ポイントだが、どれも共通するのはユーザーを限定していることだろう。決断を迷い、離脱してしまったユーザーに対し、改めてアプローチする。選択肢が多い現状だからこそ有効な手法ともいえるかもしれない。

次のページでは、サイト上で迷うユーザーを誘導する方法についてお伝えする



キャラクターとの会話が選択を促しCVRアップ

キャラクターとの会話が選択を促しCVRアップ

 リターゲティング広告で流入してきたユーザーは、サイト上で商品を探したり、見たりすることになるが、ここでもユーザーは多数の情報に迷ってしまうのというのだ。ピコもん株式会社 ファウンダーの大前 創希 氏はお客様一人一人に合わせた接客をリアルタイムに行うことで、CVRまでつなげることができると語った。

 サイト上で目的のものが見つからない、迷ってしまっているユーザーは、そのままサポートがなければ離脱してしまうが、目的のページまで導くことができれば購入につながる場合も多い。そんなユーザーを誘導する仕組みをECサイトも備えるべきだというのが、大前氏の主張だ。

 特に大前氏はキャラクターを用いた会話形式の接客を勧める。そのわけについて、例えばアンケートフォームなどでお客様の状況や希望を聞くと、多くの人は面倒に思い、回答を避ける。しかし、キャラクターが話しかけるという形式をとると、不快感なく回答できるためだと語った。つまり、会話のなかで自然に誘導し、購入まで導いていくのがキャラクターの役割なのだ。

 キャラクターとの会話の中で得た情報より、セール好きのユーザーにはセールの情報を。新商品が好きなユーザーには新商品の訴求を。とユーザー一人一人に合わせた接客ができれば、ユーザーは迷うことなく好みの商品を見つけ、購入する。ECサイトに訪れたユーザーのCVR率を高め、売上を伸ばそうという視点だ。

 ここで紹介されたのは、ピコもんが提供するキャラクターを用いたWeb接客ツールTagment(タグメント)。ユーザーを特定のページに誘導できるよう、会話のシナリオを用意し、接客をしてくれるサービスだ。

 
 「選択肢が多すぎると、何も選択しない。」というのは、商品情報やキャンペーン情報などを多く提供しているEC事業者からすれば非常に残念な結果だ。選択肢を絞ってあげることで、サイトの訪問や購入につながるのであれば、取り組まない手はないだろう。広告出稿の方法や、サイト上での接客のあり方などをユーザー一人一人に合わせる。多くの商品、情報に手軽に触れられるようになった今だからこそ、ECサイトに求められていることなのではないだろうか。


記者プロフィール

福島 れい

ECのミカタ編集部に所属するバドミントンと和服、旅好きの記者、通称れーちゃん。ミニ特集「アパレルECの未来(https://goo.gl/uFvr2C)」等、これからEC業界がどんな風に発展していくのか。に注目しながら執筆しています。2017年の執筆テーマは、”私にしか書けない記事をタイムリーに”。

福島 れい の執筆記事