美容・健康の今年のトレンドは? FYTTE×Qoo10が共同で取り組む2020ダイエット&ヘルス大賞
美容・健康に関する幅広い情報発信を行うWebメディアFYTTEでは毎年1回、その年のトレンド商品を発表する企画を行っている。2020年はこの企画に、インターネット総合ショッピングモールQoo10が参画し、共同で企画を行っている。なぜ、この二社が手を取ることになったのか、その背景や、新型コロナウイルス感染症の影響で生活スタイルが変わる社会における美容や健康のトレンドについて、FYTTEを運営する株式会社学研プラスの保母千佳恵氏と、Qoo10を運営するeBay Japan合同会社の沼沢士朗氏にお話を伺った。
Qoo10特集ページ「FYTTE2020ダイエット&ヘルス大賞」
→ https://bit.ly/3dzBZKn
FYTTE×Qoo10、新たな取り組みの理由
FYTTE は、美容や健康に高い関心を持つ女性を多くのユーザーに持つWebメディアだ。もともとはダイエット専門誌として1989年に創刊し、現在はWebメディアとして、ダイエットだけでなくヘルスケア、ビューティー、メンタルなど美と健康に関して幅広い情報を発信している。
そのFYTTEが毎年1回発表しているのが、FYTTEダイエット&ヘルス大賞だ。約10年続いている企画で、食品を中心とした全25部門で、FYTTE編集部とユーザーが選んだ1~3位の商品を発表する。
保母氏「商品選定では、まず編集部で、昨年10位までに入った商品10商品と新たに注目の商品を10商品、最大20商品を部門ごとに選びます。その後、FYTTEユーザー1,000名にアンケートを行い、ダイエット、美容、健康のために使ってみて良かった商品、これから使ってみたい商品を回答いただくという形になります」。
この大賞のベースには、FYTTEが雑誌だったころの企画があるという。
保母氏「当時、ダイエットに成功した方々に取材をするなかで、人気のアイテムというのがなんとなくあることが分かり、そこから、ダイエッターたちはなにを使って成功しているのかを調べてみようと始まった企画が、今の企画につながっています」。
そんなFYTTEダイエット&ヘルス大賞が今年、インターネット総合ショッピングモール「Qoo10」と連動した企画を行っている。Qoo10において「FYTTEダイエット&ヘルス大賞」の特設ページが作られ、受賞商品のうちQoo10に出品されているものを購入することができるのだ。
保母氏「毎年の企画を続けるなかで、選ばれた商品をもっと多くの人の手にとってもらうためにはどうしたら良いかということを常に考えていました。実店舗ではプロモーション棚が年間で決まっていて、新たな商品の枠を作ることがなかなか難しいのですが、Qoo10さんのようなECのショッピングモールでは、柔軟に露出ができるところが大きかったです」。
Qoo10としても、今回の取り組みは新たな可能性につながっているという。
沼沢氏「弊社としては、今年、健康食品とダイエットサプリメントを最重要カテゴリとして取り組んでいました。そのため、FYTTEさんのような健康意識の高い女性がメインターゲットのWebメディアと一緒に取り組みをさせていただくのは良い機会となりました」。
美容・健康ジャンルの最近の傾向
日々、美容・健康に関心の高いユーザーと接し、情報発信を続けているFYTTE。最近の傾向として、トレンドに加えて、「安心安全」「付加価値」という基準で商品を選ぶユーザーが増えているという。
保母氏「素材にこだわって、安心安全で体に良いものを選ぶという傾向は年々高まっていて、『ナチュラル』や『無添加』を謳う商品が増えていますね。また、カフェインの入っていない『デカフェ』なども近いものがあります。例えば、昼はコーヒーを飲んで夜はデカフェにするというふうに、ライフスタイルに合わせて上手に取り込まれています」。
保母氏「また、付加価値という点では、たとえば、甘酒は体に良いといわれていますが、それにプラスして乳酸菌が入っているなど、ひとつでふたつお得なことがある、さらなる健康効果が加わっているもののほうが、注目度が高い印象です。ユーザーの気持ちに立つと、より少ない行動でたくさんお得なことがあったほうが嬉しいですよね」。
さらに具体的な最近の流行として、少し前から流行が続いている「糖質オフ」に加えて、「高たんぱく食」があるという。
保母氏「今、フィットネスに取り組む女性が増えて、女性向けのプロテインドリンクや、飲み物以外で摂れるプロテイン入りの食品やお菓子などの商品が増えています。こういった変化に合わせて、FYTTEダイエット&ヘルス大賞の部門も毎年少しずつ変化させています」。
新型コロナによる生活スタイルの変化がもたらしたもの
美容・健康ジャンルのトレンドに加えて、今年、大きな影響をもたらしているのが、新型コロナウイルス感染拡大だ。
沼沢氏「新型コロナウイルス感染拡大の危機感が高まった3月の始めごろは、Qoo10では『免疫力を上げる』といった謳い文句の商品がよく売れていましたね」。
保母氏「FYTTEでも、3月ごろは免疫力を上げるためのメソッドを紹介する記事が人気でした」。
その後、緊急事態宣言が出て、多くの人が自宅で過ごす時間が長くなるなかで、今度は、ダイエットへの関心が高まったという。
それを示しているのが、eBay Japan合同会社が4月22日~4月27日の期間、全国の20代~40代女性500名を対象に実施した、「女性のおうち時間と美意識に関する調査」だ。この調査では、外出自粛となり自宅で過ごす時間が増えた結果、以前よりも「太った」と感じている女性が6割以上になることが分かった。
沼沢氏「こういった意識は消費行動にも表れていて、Qoo10において、今、健康・ダイエット関係の商品が非常によく動いています。特に4月はその伸びが著しく、健康食品・ダイエットサプリのカテゴリは110%以上の売上増となりました」。
保母氏「FYTEEでも、5月に入ってからはフィットネスやダイエット、食事系の記事が人気で、ダイエットに対する熱がかなり高まっているのを感じます。在宅時間が長くなったことで太ってしまったことに加え、薄着の季節になってきたことに対する危機感があるのだと思います」。
そういった変化のなかで、今だけでなく、中長期にわたる生活習慣や消費行動の変化も予想されるという。
沼沢氏「Qoo10に出品されている商品は、低単価のまとめ買いが多いのが特徴です。まとめ買いをしていただくことで、生活習慣になりやすいという傾向もあります。FYTTE大賞の受賞商品すべてがQoo10に揃っているわけではないので、今後、そういった需要に対応できるように商品を強化して、ユーザーの期待に応えられる体制を作っていきたいと考えています」。
保母氏「多くの人が自宅に長くいて、買い物もなるべくまとめてするという生活スタイルは、ある意味、健康的な生活習慣を作る機会になっているのかもしれませんね。たとえば、野菜ジュースをまとめ買いすることで毎日継続的に飲むという習慣ができやすいと思います。その結果、自分に合っている、健康や美容に良いと感じたら、自主生活後も習慣として継続してもらいやすいのではないでしょうか」。
EC事業者は今後、どう取り組むべきなのか
最後に、特に健康・美容ジャンルの商材を扱うEC事業者にとって、参考となるであろう今後のポイントを、両社に教えていただいた。
沼沢氏「強いブランドの商品、人気商品は価格勝負になってしまうところがあるのですが、特に低単価のダイエットサプリや青汁、ヨーグルトなどで、知名度は低いけれども成分の訴求力があるという商品もまだまだあります。そういった商品は、価格のバランスを取りながら訴求していくことで、ヒット商品が出てくる可能性があると考えています」。
保母氏「新型コロナウイルス感染拡大の影響で、よりシビアに、お金の使い方を見直すという方も少なくないと思います。いくら健康に良くても、あまりに高いと続けることができません。商品設計がしっかりしていることはもちろん、価格も手頃というものが一番嬉しいですよね。先ほどお話しした『安心安全』『付加価値』と合わせて、価格設定というのも大事になると思います」。