「楽天市場」公式の店舗支援サービス「RMS Service Square」掲載サービス「らくらくーぽん」からEC事業者のメリットを考える
EC運営において、適切な支援サービスを利用することは、事業の成長に欠かせない。しかし、市場の拡大とともに支援サービスの数も種類も増え続けており、自社に合ったサービスを選ぶことが難しくなりつつある。そこで楽天市場では、出店店舗に対して、楽天が厳選した支援サービスを紹介する「RMS Service Square」を提供している。ここに参加している「らくらくーぽん」を提供するグリニッジ株式会社 代表 田中裕之氏と、楽天株式会社 RMSサービススクエアグループ マネージャー 川瀬洋樹氏に、「RMS Service Square」をの特徴と、店舗がこのサービスを利用するメリット、効果について伺った。
店舗を支援する「楽天市場」公式のサービス
「RMS Service Square」は、2014年8月にリリースされた、楽天・店舗・パートナー企業の3社間で成り立つ、「楽天市場」公式の店舗運営支援サービスだ。このサービスでは、店舗運営に課題を抱える店舗に対して、課題解決のために安心して利用できる基準を満たしたパートナー企業の支援サービスを紹介する。2020年7月時点で、74社232サービスが掲載されている。
「RMS Service Square」というサービスを提供することになったきっかけは、出店店舗の業務効率化をサポートすることだったという。
川瀬「楽天市場では店舗運営システム『RMS(RakutenMarchant Server )』により、店舗構築・受注管理・メール配信・データ分析という、店舗運営に必要な機能を提供しています。しかし店舗様によっては、自社でページを制作することが難しかったり、受注件数が多くなってきて対応しきれなかったりという課題が少なからずありました。そういった課題を解決するために、RMS Service Squareの提供を始めました」。
「RMS Service Square」では、出店店舗に対して、店舗運営に関して特にニーズの高い以下のカテゴリでサービスを展開している。
素材の充実:画像加工・購入/商品撮影
ページデザイン:ページ制作/制作ツール
店舗管理:顧客対応/受注管理
運営強化:運営支援/データ分析・管理
一方、パートナー企業に対しては、「開発サポートプログラム」と「販売プログラム」という2つのプログラムを提供。開発サポートプログラムでは、API公開やRMSテスト環境の提供などでパートナー企業の製品開発を支援、2020年7月時点で105社が参加している。販売プログラムでは、「RMS Service Square」サイトへのパートナー企業の製品掲載、販促の支援など営業を支援しており、2020年7月時点で74社が参加している。
ガイドラインの遵守など安心して利用できるサービスが揃う
「RMS Service Square」の大きな特徴としてあげられるのが、「楽天市場」公式ならではの厳選した支援サービスを提供していることだ。
川瀬「RMS Service Squareの目的は、店舗様に安心してご利用いただける支援サービスを提供することです。そのために、楽天が開発支援を行い、クオリティを担保しています。また、店舗様のさまざまな課題に対応できるよう豊富なサービスを取りそろえ、かつ、導入しやすいリーズナブルな価格でご提供することを目指しています」。
また、サポート体制が充実していることも特徴だ。
川瀬「契約は1カ月単位から可能で、納品完了まで楽天がサポートを行います。万が一、店舗様とパートナー企業様とのやり取りで迷われることがあれば、弊社が間に入りサポートを行います。さらに支払い面でも店舗様をサポートできるよう、支払い月はサービス利用の翌々月としています。これにより、たとえばページ制作を外注したとして、納品後に店舗で売り上げを上げられるため、キャッシュフローに余裕が生まれます」。
店舗に安心して利用してもらうため、「楽天市場」でガイドラインやルールの変更などがあった際には、パートナー企業向けの説明会も開催している。
川瀬「外注サービスを利用する場合、外注先がガイドラインやルールを理解していないと、納品物が利用できないということになってしまいます。そういった点でも、RMS Service Square掲載サービスは、店舗様に安心して使っていただけるところが強みだと思います」。
「RMS Service Square」では、サービス掲載を行うパートナー企業に対して「GOLD SERVICE認定」という認定制度を実施している。
この制度では、定量的基準と定性的基準の両面からサービスに対する店舗の評価を判定し、一定の基準を満たした店舗からの評価の高いサービスを、半年に一度、「GOLD SERVICE」として認定する。第7回目となる2020年上半期の「GOLD SERVICE認定」は、11企業16サービスとなった。
「GOLD SERVICE認定」制度の背景として、「RMS Service Square」の掲載サービスが増えるなかで、店舗ごとに合ったサービスを選んでもらいたいという想いがあったという。
川瀬「弊社としては、まず、店舗様に課題解決をしていただきたいという想いがあります。そのためにも、パートナー企業様にGOLD SERVICE認定を目指していただくことで、店舗の声を反映したサービス改善が進み、より店舗様の課題解決につながると考えています」
「GOLD SERVICE認定」事例「らくらくーぽん」
「GOLD SERVICE認定」サービスのひとつが、グリニッジ株式会社が提供する「らくらくーぽん」だ。「らくらくーぽん」は、レビュー投稿の促進を自動で行ってくれるシステムだ。
田中「らくらくーぽんを利用すると、商品発送後にフォローメールを送信して、レビュー投稿で次回利用できるクーポンがもらえることをお伝えします。実際にレビュー投稿がされると、システムが検知して、投稿してくださったお客様に、次回利用できるクーポンをメール送信します。この一連の流れを、楽天市場のガイドラインに則ったうえで完全に自動で行うサービスが、らくらくーぽんです」。
「らくらくーぽん」は、まさに店舗からの要望に応えて作られたサービスだという。
田中「もともと楽天市場では、レビュー投稿で送料無料などの特典を付与するキャンペーンを、多くの店舗様が行っていました。しかし、特典ほしさに商品発送前にレビュー投稿をするなど、レビューとしての意味をなさない投稿が目立つようになり、ガイドラインが定められました。これによりレビューの質は上がりましたが、今度はレビューが集まりにくくなったという店舗様の声を聞くようになりました。
実際、ガイドラインに則ってレビューを多く集めるのは手間のかかる作業で、どの店舗もできるようなことではありませんでした。それを、システムを使うことで簡略化できないかと開発したのが、『らくらくーぽん』です」。
利用店舗のジャンルや規模はさまざまだが、特に、リピート商材との親和性が高いという。
田中「ご利用いただいている店舗様からは、レビューが増えたという声をよく頂きます。店舗ごとの差はありますが、導入後、平均してレビュー投稿率が2倍以上になるなど、結果も伴っています。また、業務が効率化された、コスト削減につながったという声もあります。レビューは購入に直接結びつくものではないかもしれませんが、お客様の印象に大きく影響します。そういった点で、他の店舗との差別化になると考えています」。
グリニッジ株式会社が「RMS Service Square」に参加したきっかけは、楽天からの技術的な支援が受けられる点、そしてサービスの認知拡大に役立つのではないかという期待があったという。実際、「RMS Service Square」参加後には、店舗からの認知度が上がったそうだ。
田中「バナー掲載やメールでの紹介などをしていただけるので、それらを経由してご契約いただける店舗様が増えました。またGOLD SERVICE認定によって、さらなる認知拡大になりました。店舗様に評価いただいているということで、サービスを開発する側のモチベーションにつながっているところもあり、嬉しく思っています」。
「RMS Service Square」に参加することで、システム面での変更などについて楽天から直接情報を得ることができ、早い段階で分かることもメリットとして大きいという。
田中「早い段階で分かることで、余裕をもった対応ができますし、楽天さんに相談に乗っていただけるところも助かります。それが最終的に、店舗様により安心してご利用いただけることにつながると感じています。今後も、GOLD SERVICEに認定いただけるような、弊社ならではのサービス開発に取り組んでいきたいです」。
店舗の声を日々反映してサービスを展開する
「らくらくーぽん」の事例からも感じられることだが、「RMS Service Square」掲載サービスとして重要なのが、一緒に店舗の運営を支援したいという姿勢だ。
川瀬「パートナー企業様は、店舗様の課題を解決できるよう、各社様工夫されてサービスを開発されていますし、店舗様の声を反映しながら機能改善に取り組まれています。EC店舗運営における課題は、日々変わっていきます。それに合わせて支援サービスにも変化が求められます。弊社としては、情報をしっかり集約して、どんなサービスが必要かパートナー企業様にお伝えし、共にサービスを磨き上げていきたいです。
RMS Service Squareは、私たちだけでは完結しないサービスです。今後も掲載サービスを拡充しながら、パートナー企業様と一緒に成長していきたいと思っています。また、店舗様にもっと、RMS Service Squareを知っていただきたいです。そして、店舗様が運営において何か困ったときに、まずはRMS Service Squareを使ってみようと思っていただけるようにしたいと考えています」。